本は10冊同時に読め/成毛眞

ブリア・サヴァラン「どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人か言い当ててみよう」と言ったが、これは本も同じで本棚を見れば、その人のほとんどが分かるのである。

イソップ童話では、遊び暮らしたキリギリスよりも勤勉なアリが正しかったというオチがある。だが、人が遊んでいる時もせっせと働く人生の何が面白いのだろう。せっかく生まれてきたのに、楽しみを全く知らないまま死んでいくのでは、誰のための人生なのか分からない。

今の生活を10年、20年、30年と送っても、後には何も残らない。50年後、自分の一生を終える時に、自分が生きていたという証はなくなってしまう。祖父や祖母の記憶はあっても、曾祖父、曾祖母については知らないという人がほとんどだろう。知はつながっていても名前は知らない、どんな生き方をしたのかもわからない、それではこの世に存在しなかったのと同じである。今この本を読んでいるあなたはどうだろう。50年後も自分のひ孫に名前を覚えてもらえるような生き方をしているだろうか。お墓に戒名を刻まれる以外は何も後世に残せないようでは、あまりにも寂しい

拠るべきものを持たない無宗教の私にとって、本は人生の全てである。ただひたすら本を読むのが生きている証でもあり、本を読まなければ生きている意味が無いと思っている。人生の節目ごとにさまざまな本から刺激を受け、感化されてここまで生きてきた。



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