『イリアス』と『オデュッセイア』を読み通すための道案内 (10)
前半の時系列
『オデュッセイア』も全24歌からなるが、第12歌までの前半は、オデュッセウスがイタケに戻るまでの冒険譚である。
時間順に次のような出来事がある。
ここで注意すべきは、語りの順が時系列とは異なるということである。
第1歌~第4歌はテレマコスの話である。
上の記載で言えば(アテネ、ゼウスに相談~求婚者たち、テレマコスを待伏せへ)までの太字で示した部分。これが冒頭に置かれる。
続く第5歌でようやくオデュッセウスが登場するが、そのときの居場所はオギュギエ島である。時系列で言えば下の方。第5歌から第9歌の途中までを使って、オギュギエ島からパイエケス国まで旅をする。
そして、第9歌~第12歌までは、オデュッセウスがパイエケス国王のアルキノオスに聞かせる体験談なのである。すなわち、時系列で言うと一番初めに遡って、「トロイア戦争終結」から「オデュッセウス、カリュプソに軟禁される(7年間)」までのことが語られる。
これで、これまでの旅のすべての過程がカバーされる。
(次回に続く)
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