『イリアス』と『オデュッセイア』を読み通すための道案内 (7)
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ちなみに、今示したトロイア戦争の主なイベントのうち、『イリアス』は3の中程「クリュセイス父、娘の返還を乞う」あたりから3の末尾「一時休戦(ヘクトルの葬儀・火葬・埋葬)」までを描いている。
『オデュッセイア』の方は7の末尾のさらに後の出来事だから、『トロイア戦争全史』ではカバーされていない。
では、トロイア戦争に関してその他に読めるものとして何らかの作品は残されていないのか?
これについて大きな時系列を示すと次のようになる。
このうちホメロス作品は『イリアス』『オデュッセイア』のことで、叙事詩環は前に述べたとおりすでに失われているから、ホメロスより後代に書かれた他の詩人たちの手による作品の中に現代に伝えらえているものがあるというにとどまる。
例えば次のような作品が日本語でも読める。
多くは、『イリアス』などに登場する特定の人物にフォーカスした作品のようである。
ちなみに、
である。
なお、トロイの発掘で有名なシュリーマンの自伝『古代への情熱―シュリーマン自伝』(岩波文庫など参照)では、イタケ、ミュケナイ、トロイに発掘に行ったことが書かれているが、イタケはオデュッセウスの国、ミュケナイはアガメムノンの国、トロイはプリアモスの国かつ戦争の舞台となった地である。
(次回に続く)
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