戦争の全貌
では、どうすればよいか。
次の本がある。
松田治『トロイア戦争全史』講談社学術文庫 2008年
これは、いろいろなテキストに散らばっているトロイア戦争に関する記述を総合して、ひとまとまりの文章として読めるよう再現した本だ。
まったくもってありがたい。
以降はこの本の記述を頼りにしている。
トロイア戦争自体は伝説混じりではあるが、紀元前1200-1300年あたりに何らかの衝突は実際にあったらしい。
これが詩人に歌い継がれて、ホメロスの時代・紀元前700年代に伝わる。これが書き残されて受け継がれ、ソクラテスの時代・紀元前400年代には、教育の題材として使われていたようなのだ。
ここに至るまでですでに1000年ほど経過しているから、その戦争がいかに古いものであったかが分かるだろう。
トロイア戦争はどういう戦争だったか。
これについても筆者なりにまとめると次のようになる。
そして、この戦争前から戦争後にわたる20年間近くのプロセスに、大小さまざまなエピソードが付随して全体を彩っている。
押さえておくべき登場人物
ホメロスを読む際の難点の一つに、登場人物が多いことがある。
各人物にまつわるエピソードを知ると親しみが持てるようになるのだが、それらを知らずに名前を並べられても、ややこしいカタカナが並んでいるとしか感じられないだろう。
とりあえず列記しておく。後に適宜参照されたい。
なお、神々サイドも敵と味方に分かれていることに注意されたい。
神(男)
神(女)
人間
(次回に続く)