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子ども・子育て支援金制度はこうして始まった。#71 現在把握できている情報だけで試算をすることは困難であります

(子ども・子育て支援金制度創設に係る国会審議の論点を整理しています。)

 支援金は社会保険料、と政府は説明する。
 とすれば、所得税や住民税の社会保険料控除の対象となるのか。
 対象となる場合、税収減の効果はどのくらいになるのか。


日付:2024年3月25日
会議名:参議院 予算委員会
発言者:立憲民主党 石橋通宏
委員長 自由民主党 櫻井充
内閣府特命担当大臣 加藤鮎子
財務大臣 鈴木俊一

石橋 この支援金制度、本当にるる問題があります。担当大臣、これ支援金、本当にこれ社会保険料として整理をされるのですか。もし社会保険料として整理をされるとなると、これ、本人負担分については社会保険料控除の対象になるということでよろしいですね。(発言する者あり)
櫻井 分かりました。じゃ、まず、加藤担当大臣。
加藤 お答えを申し上げます。
 支援金を社会保険料として頂戴するかという御質問……(発言する者あり)社会保険料控除の対象とするかということにつきましては、これは税の関係でございますので、財務の方から御答弁をいただければというふうに考えております。
鈴木 子ども・子育て支援金につきましては、今こども家庭庁で検討しているわけでありますが、個人が拠出する金額については、所得税及び個人住民税の計算上、社会保険料控除として所得控除の対象となります。そして、事業主、つまり法人が拠出する金額につきましては、法人税の計算上、法定福利費として損金算入され、法人税及び法人住民税の課税ベースの減少につながると承知をしています。

石橋 これ、すごく大きな話なんですよ。所得税そして住民税の減収にもつながる、さらには法人税、法人住民税の減収にもつながるわけです。
 財務大臣、せっかく答弁いただいたので、今、税収減、減収の見込みを教えてください。
鈴木 一般論になりますけれども、いずれの場合も課税ベースを減少させることになるため、国税、地方税の減収につながることになりますが、それがどの程度の規模になるかという点につきましては、支援金自体の制度の細かい内容がまだ固まっていない段階でありまして、現在把握できている情報だけで試算をすることは困難であります。

石橋 これ大事な話なんですよ。でも、先ほどのとおりで、一人当たりのその計算もできていない、だからこっちも跳ねて、その計算もできないんですよ。減収になるにもかかわらず、それが幾らになるのか分からないという状況で、これそんな、それだけ支援金の負担、国民にお願いするような、そんな法律の議論をこれからまたやるんですか、担当大臣。おかしいですよね。
 これ、社会保険料控除の対象にする、さらには事業主負担分は法定福利費と扱う、これで減収になる。担当大臣、当然担当大臣はそのことを議論の過程の中で主導権持って議論されたんだと思いますが、それ、主たる負担の対象になる労使の団体には、これまでの議論のプロセスの中できちんと担当大臣説明されて、御理解をいただいてきたという理解でよろしいですか。
櫻井 加藤担当大臣。(発言する者あり)
 速記を止めてください。
〔速記中止〕
櫻井 速記を起こしてください。
加藤 関係団体の皆様方には、大臣懇話会の中でこれまで意見を聞いてまいりました。また、これからも関係団体の皆様方からは御相談をさせていただきながら前に進めていく形を取ってまいります。
石橋 大臣、それ間違いないですか。僕ら、労使団体の皆さんから、社会保険料控除の話なんかちゃんとした説明受けていなかったという話聞いていますけど、違うんですかね。
 大臣、これプロセスとして、もし説明をされていない、御理解をいただいていない、だとすれば極めて問題です。労使からも社会保険料でやること自体に対して疑義が挟まれているはずです。にもかかわらず、丁寧な説明をされていないと。しかも、減収につながるようなこんな大事な話をきちんとした議論されていなかったとすれば、これは国民にとってもこれ説明責任が果たされていないとしか言いようがありません。


参考資料等

社会保険料控除

対象税目:
所得税

概要:
納税者が自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った金額について所得控除を受けることができます。これを社会保険料控除といいます。
控除できる金額は、その年に実際に支払った金額または給与や公的年金から差し引かれた金額の全額です。

国税庁ウェブサイト


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井川夕慈
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