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『イリアス』と『オデュッセイア』を読み通すための道案内 (11・最終回)

後半の時系列

 後半にあたる第13歌から第24歌までは、求婚者たちに対する制裁と家族との再会である。
 ここで物語を面白くしているのは、オデュッセウスが物乞いに化けていることである。素性を隠して自宅に潜り込んでいる。そこから大逆転が起きる。
 自分のテリトリーなのに素性を隠して行動しているという点では、時代劇の「遠山の金さん」に似ている。

オデュッセウス、イタケ到着
→アテネ、オデュッセウスを老人に化かす
→オデュッセウス、エウマイオスの家へ
→(テレマコス、スパルタからピュロスへ
→テレマコス、テオクリュメノスを拾ってイタケへ)
→オデュッセウス、テレマコスと再会
→求婚者たちに対する制裁の計画
→王宮にテレマコス帰還が伝わる
→テレマコス、王宮に帰還
→オデュッセウス、王宮に帰還
→オデュッセウス、アンティノオスに足台を投げられる
→オデュッセウス、乞食イロスと対決
→エウリュクレイア、物乞いの正体に気づく(猪の牙の古傷)
→ペネロペ、求婚者たちに提案「弓比べの勝者と再婚する」
→テレマコス、失敗
→求婚者、失敗
→オデュッセウス、牛飼い・豚飼いに身分を明かす
→オデュッセウス、成功
→制裁開始
→アンティノオス死
→裏切りの女中たち死
→ペネロペ、物乞いが夫と気づく(寝台の秘密)
→夫婦としての再会
→オデュッセウス、父の農園へ
→求婚者の親族たち オデュッセウスに復讐に来る
→アテネ、間に入り対決を制止する

『オデュッセイア』のクライマックスは、第22歌で弓比べの成功から求婚者たちを制裁する派手なアクションの場面、及び、第23歌で寝台の秘密のエピソードを通してペネロペが夫に気がついて夫婦が抱き合うシーンにあると思われる。

 以上、ホメロスの二作品について長々と述べてきたが、ここまでの背景知識を蓄えた上で、<ホメロスを読んでやろう>という気持ちが盛り上がっているなら、『イリアス』『オデュッセイア』を読み通せる可能性は高いだろう。

(了)


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