『イリアス』と『オデュッセイア』を読み通すための道案内 (11・最終回)
後半の時系列
後半にあたる第13歌から第24歌までは、求婚者たちに対する制裁と家族との再会である。
ここで物語を面白くしているのは、オデュッセウスが物乞いに化けていることである。素性を隠して自宅に潜り込んでいる。そこから大逆転が起きる。
自分のテリトリーなのに素性を隠して行動しているという点では、時代劇の「遠山の金さん」に似ている。
『オデュッセイア』のクライマックスは、第22歌で弓比べの成功から求婚者たちを制裁する派手なアクションの場面、及び、第23歌で寝台の秘密のエピソードを通してペネロペが夫に気がついて夫婦が抱き合うシーンにあると思われる。
以上、ホメロスの二作品について長々と述べてきたが、ここまでの背景知識を蓄えた上で、<ホメロスを読んでやろう>という気持ちが盛り上がっているなら、『イリアス』『オデュッセイア』を読み通せる可能性は高いだろう。
(了)
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