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子ども・子育て支援金制度はこうして始まった。#56 歳出改革の具体的な内容は毎年度の予算編成過程において積み上げていくこととしておりまして、現時点でお示しすることは難しい

(子ども・子育て支援金制度創設に係る国会審議の論点を整理しています。)

 一・一兆円の公費節減効果および一・〇兆円の社会保険負担軽減効果を生み出す歳出改革を行う、と政府は言う。
 具体的に何を行うのか。


日付:2024年4月3日
会議名:衆議院 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会
発言者: 国民民主党 田中健
厚生労働省大臣官房審議官 宮崎敦文

田中 それでしたら、歳出改革についてお伺いしたいと思います。
 これは厚労省になってしまうので、厚労省の方は、申し訳ないんですけれども、歳出削減は一・一兆円、社会保障は示されていますが、この中身を昨日本会議でも伺いましたが具体的にはお示しがありませんでしたが、示せる中身をお示しいただければと思います。また、この額というのはどういうふうに算出されたのか。各項目が並べられていますが、それを積み上げをして一・一兆円というものにしたのか、お答えいただければと思います。
宮崎 お答え申し上げます。
 加速化プランの財源確保に当たりまして、令和五年度から令和十年度にかけて、歳出改革により公費一・一兆円を確保するという枠組みになってございます。
 この具体的な中身という御質問でございました。
 まず一・一兆円について、これまでの歳出改革の努力を踏まえて一・一兆円というものが設定されていると承知しておりますが、その上で、この一・一兆円の中身でございますが、令和五年度、六年度の予算編成におきましては、薬価等改定といった歳出改革を行いまして、公費で三千七百億円の確保をされたところでございます。
 また、令和七年度以降につきまして、今後の話にもなりますけれども、これらにつきましては、歳出改革の具体的な内容、これは毎年度の予算編成過程において積み上げていくこととしておりまして、現時点でそれをお示しすることは難しいということではございますが、検討項目といたしましては、昨年末に閣議決定をいたしました改革工程の中で、能力に応じた全世代の支え合いを目指した改革項目ですとか、医療提供体制の効率化、あるいは介護分野におけるICTの活用など、幅広いメニューを検討項目として列挙をしているところでございます。こうした検討項目を踏まえまして、十分検討した上で実施に移していくということになります。
 今後も、こうした検討項目に対する審議を行いまして、改革努力を継続して、令和十年度までに公費節減の効果をしっかりと積み上げていきたいということで、今しているところでございます。

田中 歳出削減について、また、改革は大変重要なことだと思うんですけれども、メニューは確かにたくさん項目が並んでいるんですけれども、本当にそれが実現可能なのかということでありますし、それを財源だと私たちに言われても、はい、そうですかとなかなか言いづらいのが今回の一・一兆円の中身です。
 例えば、昨日、財政諮問会議が開かれましたけれども、ここで社会保障、医療費の伸びの様々な指標が、また想定が示されました。この中で、歳出改革という欄におきまして、二四年度予算案については、先ほどもありました薬価の改定で千三百億削減をし、また、前期高齢者の納付金の報酬調整額で千三百億円、被用者保険の適用拡大で百億円の歳出削減をしたと。しかし、診療報酬トリプル改定で九百億プラスになりましたから、結果、差引き千四百億円削減したと出ています。
 千四百億、大変な、搾り出して歳出削減をしたんですが、この額でいきますと、とても令和十年、残りの中で、この一・一兆円、たどり着くとも思えませんし、さらに、かなりこれまでもいろいろな改革をしてきている中で、更に搾っていくということが、本当に実現性、可能なのかということがあります。
 具体的に言えば、例えば、この中にあります医療、介護を、現役並みの所得がある高齢者についての窓口負担、利用料を三割にするとか、介護のケアプラン有料化、これも掲げられていますが、これを行うとどのくらいの歳出削減になるのかと。何せこれはなかなか、提案はされていますけれども議論が深まっていませんし、私たちもこれをすぐに賛成するという立場にはなりませんので、国会の大きなテーマとなるかと思うんですけれども、これらの具体的な中身についてどのように歳出削減していくのでしょうか。
宮崎 お答え申し上げます。
 まず、歳出改革の実現可能性についての御質問もございましたけれども、これまでの歳出改革による公費の節減、国費と地方費を合わせたものになります。委員の方から御紹介ありました、先ほどの令和六年度予算における千四百億というのは、これは国費、財務省に出した資料でございます、国費ですので、それに加えて、地方を合わせて、国費と地方を合わせての公費ということで先ほど一・一兆円と申し上げました。
 少しちょっとそのベースが違うことをお伝えした上で、公費での確保ですけれども、先ほど申し上げたように、五年度、六年度の予算編成で、二年間で公費ベースで三千七百億円を確保したところでございます。六年間のうちの二年間で三千七百億円ということでございますので、このペースをきちんと維持していければ一・一兆円に達するペースということではございます。
 また、一・一兆円、そもそも設定する段階で、過去九年間の公費の節減効果が、九年間で公費ベースで一・六兆円ということがございましたので、これを基に六年間で一・一兆円としておりますので。過去のペースを踏まえると一・一兆円という規模が出て、実際に、五年度、六年度の二年間で行った歳出削減が、一・一兆円に見合う二年間分の歳出削減を何とか行うことができたということでございます。
 その上で、検討項目を示しておりますので、この検討項目の中、幅広い項目がございますけれども、具体的に検討した上で、残りの四年間、きちんと達成していきたいというふうに考えております。
 個々の項目の効果額というのは、例えばお話のございました窓口負担の見直しなども、どの範囲をどれぐらいやるのかという一定のその前提を置くことで額が出てきますけれども、その内容自体について、まだこうするということを決めることができる段階ではございませんので、その意味で、個々の項目につきましてこれぐらいの額ということを政府として今お示しすることはできない状況でございます。その点は御容赦いただければと思います。

田中 もちろん大変な重要な問題なのですぐには結論は出ないですし、額を今すぐ出せと言っても、出せないんですけれども、あくまでもこれは財源として私たちに示されていますので、財源が一・一兆円できるという前提でこれを、皆さんが子育て支援金を負担していくというものがありますから、やはりその前提が崩れてしまう、ないしは、前提が私たちが分からないのに空手形を切るようなことというのはなかなか難しいなと思っておりますので、是非できる限りの、先ほども示していただきましたが、額を示していただければと思います。さらに、国費だけじゃなくて地方も下がるということで、地方の財源も下がることでサービス低下につながらないかということも懸念を示させていただきたいと思います。
 その中で、社会保障費の伸びを改革で圧縮するとしていますけれども、この毎年の社会保障費の伸びというのは、どのようにこれは算出をしているのか、伺います。
 といいますのは、これは伸びの予測ですから、大きく、高く見積もれば、それだけ使わなければ、歳出削減したと、調整ができてしまいますので。その想定というのはどのように算出をしているのか、伺います。
宮崎 これまでの歳出改革の取組は、毎年度の予算編成過程で具体的に決まってまいりますけれども、まず、国の毎年の概算要求基準、夏に示される概算要求基準の中で、いわゆる自然増につきましての額が示されまして、その上で、予算編成過程を通じまして歳出改革の努力を確定をしていきまして、年末の予算編成の段階でその改革効果を出した上で圧縮されるという、そんな構造になっております。
 例えば令和六年度におきましては、令和五年七月の概算要求基準におきまして、いわゆる自然増につきましては年金スライド分を除いてプラス五千二百億円程度ということが示された上で、この社会保障関係の経費の歳出改革の議論を予算編成過程で行いまして、最終的には、実質的な伸びをプラス三千七百億円という形で、いずれも国費ベースでございますけれども定めまして、予算編成としたということでございます。そのような経緯を、今後もしていくということになろうかと思います。
田中 社会保険料の伸び又は予算というのをしっかり私たちは見ていかなきゃならないと思いました。


参考資料等

「医療・介護制度等の改革」の「2028年度までに検討する取組」

2024年1月26日 第32回社会保障審議会 資料1 「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」、「こども未来戦略」について より

社会保障分野におけるこれまでの歳出改革の成果

令和6年第3回経済財政諮問会議 資料4-2 経済・財政一体改革の点検・検証(経済・財政一体改革推進委員会) より

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