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純セレブスピーカーで最高の音を目指す Vol2 【ユニットは徹底的に自由に動かし、箱を鳴らす】

こんにちは井川(twitter @ikawa611)です。

アンプについてはこちらの記事を参考にしてください。


純セレブスピーカーはダンボールにスピーカーユニットをつけて、内部に紙ゴミを入れるだけで作成することができますが、今回のnote記事ではより音の良い純セレブスピーカーの作り方について考えていきます。最初に断っておきますが、本noteでは純セレブスピーカー界隈で一般に認められていることを紹介しつつも、多くは私が個人的に「こうだと思っている」ということをある程度理由をつけて紹介し、その考えに従って作った私の自作スピーカーを自画自賛するという超個人的な思考を公開するというものになっています。なので音が良くなる確実な方法を紹介するわけではありません。しかし、こういった個人的なものでも何かみなさんのスピーカー制作の踏み台になるのではないかと思い記事にしたいと思います。

上記のツイートはスピーカー作成後すぐに投稿したものになり、以下の動画は細かい調整をした後のものになります。

使用しているユニットはこちら


【なぜ純セレブスピーカーの音は良いのか】

まずは純セレブスピーカーの音が良い理由について考察し、その長所を最大限に生かすことを考えていきます。ここでは最近発売された『ラジオ技術2020年12月号』に掲載された論文『発想の転換から生まれた"純セレブスピーカー”とは(安冨歩,片岡祐介)』を参考、引用していきます。

(追記 ラジオ技術に掲載された内容とほぼ同様のものを安冨さんがブログに投稿されたので、リンクを追加しました。2022/07/09)



音が良い理由の主要な3つとして論文に紹介されています。この①②③は本ノートで何回も使いますので覚えておいてください。

①『ユニットを固定しない』

②『ユニット背面からの音が箱を揺らす』

③『ユニットそのものの振動が箱を揺らす』

まず①『ユニットを固定しない』について。純セレブスピーカー発見初期の頃からスピーカーユニットのサイズに合った穴を開けてその穴に入れただけという固定方法で片岡さんが作られています。

しかし、初期の頃はガムテープなどを使ってある程度固定して作成するのが主流でした。ただし、ガムテープを大量に使ってガッチリ固定などをしてしまうと音が窮屈になってしまうというのはなんとなく純セレブスピーカーを製作されている方達の中では知られていたようで、実際に実験すればスピーカーは固定し過ぎると音が悪いというのは分かると思います。その後しばらくして『ユニット上向きでのせるだけ』という固定方法が主流になってきています。上向きにすることでガムテープなどを一切使うことなく固定することができるので、ユニットが自由に動き音が良くなるというわけです。論文によると『ユニットを固定しないので、コーンが振動すると、ユニットもまた自由に揺れます。ここを開放することで、磁石の質量を生み出す力をユニット本体が揺れることで消費し、コーン自体はむしろ楽に動くのではないか、と考えています(p.120)』ということみたいです。この理屈が正しいかどうかは私には分かりませんが、ユニットはしっかり固定せずある程度自由に動いたほうが良いということに関しては、純セレブスピーカー製作者の中で異論はおそらくないと思いますし、私自身も経験、感覚的にもこれは重要な要素であると考えています。

次に②『ユニット背面からの音が箱を揺らす』について。初期段階ではユニットの音のみを聴けば良いだろうという発想の元、安冨さんと片岡さんはどんどん箱を大きくしていったようです。すると大きすぎるとつまらない音になったそうです。その後『純セレブスピーカーはユニットだけでなくエンクロージャー自体が鳴る(いわゆる箱鳴りとは別物)ことで良い音がしている』ということが分かったそうです。

論文から引用すると『コーンの生み出す音波によってもエンクロージャーそのものが振動します。この現象を私たちは「紙鳴り」と呼んでいます。純セレブスピーカーは無指向性であり、どこで鳴っているのか分からないという特性がありますが、それはこの「紙鳴り」のせいではないかと考えています。つまりエンクロージャーも音源としてなっているわけです。(p.120)』とのことです。このことは実際に純セレブスピーカーに触れたりすればある意味自明なこととして納得できるはずです。

問題になるのは③『ユニットそのものの振動が箱を揺らす』についてです。論文から引用すると『こうしてユニットを自由に振動させることで、ユニットがエンクロージャーを叩くことになり、それ自体が音を出します。』とのことです。前提としてこの③の要素がないと良い音が鳴らないであろうユニットがあります。例えばダイソーユニットなどの安価で作りがチープなものです。ダイソーユニットはこの③の能力に長けているため、達磨などに入れたとき独特の良さを持つのではないかと考えられてます。

しかし③についてはいくつか弱点があると私は考えています。まず①と③が相反する部分を持っているということです。①の固定せずユニットが自由に振動させるため例えばユニット上向きで箱にのせた場合、ユニットの前方向への動きに関しては自由度が高いですが、逆に後ろ方向への動きは箱によって止められてしまうため、いくら箱がダンボールなどの紙素材で木などに比べれば柔らかいことを考慮しても前方向と比べると自由度がかなり低くなります。つまり③を取り入れると①のメリットが薄まることになります。また③で伝えられる振動はスピーカーのコーンの振動ではなく、その周りのプラスチックなどの振動であるため②と③の振動に関しては全くの別物です。そして私自身は③の振動は不要であると考えています。③の振動は純セレブスピーカー特有の『歪み』のようなものを発生させている気がしており、これがダイソーユニットなどの面白さの要因であり、同時に純セレブスピーカーの『紙っぽい音』『音はかなりクリアなのにボケた感じもする』といった不満点の原因ではないかと思っています。私自身そういった不満点を持っていたのですが、スピーカーユニットが箱と分離している状態にした純セレブスピーカーを試作しているうちにこういった不満点が消えるという体験をしているため③は不要だと考えているわけです。

これについてWakiさんが興味深い指摘をしている動画があります。

Wakiさんによれば、上向きで使ったとき『紙っぽい』感じがしてモニタースピカー向きではないとの思い正面に向けて使っているそうです。これは上向きにするとユニットからの音を直接は聴かず、箱からの音の量が相対的に増えるという側面もあるでしょうが、しっかり固定していない状態で正面向きで置くことでスピーカーユニットと箱がべったりくっついていない状態になったため③の効力が弱まり『紙っぽさ』が減少したのも要因ではないかと私は思います。

また高級スピーカーの発想では『一切ブレないエンクロージャーを用意して、ガッチリとスピーカーユニットを固定する』ということですが、これは③のような振動を嫌っているためだとも考えられます。その結果として高級スピーカーの音は③のデメリット部分は少ないが、純セレブスピーカーの持つ①と②のようなメリットもまったくないという状態になっています。またタイムドメインのスピーカーではユニットをエンクロージャーと直接くっつけないという方法が実際採用されているようです。それについて解説している面白い動画があったのでリンクをつけておきます。

これらのことから、①『ユニットを固定しない』②『ユニット背面からの音が箱を揺らす』の2つのメリットを最大限に引き出し、③『ユニットそのものの振動が箱を揺らす』を最小限にするということを考えていきます。

【スピーカーユニットを箱から分離する】

③を最小限にするために、スピーカーユニットを箱から分離するということを考えるわけですが、私がその発想を知り色々実験をするようになったきっかけは安冨さんの以下の配信です。

安冨さんがFE-103というスピーカーユニットを見つけて純セレブスピーカーを製作したところ、箱にしっかりつけたら音が悪かったが、ユニットの周りをスカスカになるように箱の穴を大きくして落ちない程度に軽くテープで固定すると音が良くなったという重要な報告です。私はこの報告を受けて実践してみたところ、当時は気づいていませんでしたが、③に起因していたであろう純セレブスピーカーのデメリットがなくなりクリアでどこまでも伸びていくような音が鳴り感動しました。また①『ユニットを固定しない』の長所もかなり伸びます。

いくつか当時のツイートを貼っておきます。

その後、思いついた方法として『スピーカーユニットのねじ止め部分に紐を通して、紐を箱に固定する』をしばらく実践しています。

ただしこの『紐つり』という方法はスピーカーユニットの周りから音を漏らしてしまうという弱点があり、②『ユニット背面からの音が箱を揺らす』というメリットを大幅に減少させてしまいます。そこで考えたのがユニットの周りに蓋をするということです。ここでは紙粘土を使っていますが今思うと違う素材(和紙など)で蓋をするのが良かったかなと思います。

以上のような考えと経験から、スピーカーユニットと箱は分離した状態で固定することで③を最小限にしつつ、ユニットの周りから音を漏らさないようにすることで②『ユニット背面からの音が箱を揺らす』を活かし、ユニット周りの素材は柔軟なものにすることで①『ユニットを固定しない』の利点であるスピーカーユニットの自由度を下げないという状態が理想的な状態であると私は考えています。

最終的に私が実践したのは次のような方法です。

半紙にスピーカーユニットを固定して、それを箱に取り付けるという方法です。感覚的にですが半紙または和紙が良いと思います。それらを折りたたんで強度を上げて穴を開けてスピーカーを固定しています。半紙とスピーカーはガッチリと固定してしまったほうが音がブレない感じがするので両面テープなども活用するのがよいです。また純セレブスピーカーにはボンドは固まった後ブヨブヨして良くないというのが定説になっていますが、この半紙とユニットの固定部分には良いかもしれません。後に解説しますがスピーカーユニットのプラスチック部分の鳴きは不要であると考えられるため、ボンドを使ってその鳴きを殺してしまうのは有用である可能性があるためです。これによって箱とユニットは分離しており、半紙は柔軟な素材なので半紙の振動はほとんど箱には影響しませんので③は最小限になり、半紙は柔軟なのでユニットの自由度は下がらず①を引き出せ、半紙が蓋になっているためユニット背面から出た音エネルギーは外に漏れず②のために使われます。また半紙自身は微妙に音が鳴っているとは思いますが柔軟な素材かつ音が良い素材なので悪影響はない、もしくはより音が良くなっている可能性が高いです。また半紙のような柔らかい素材で適度に内部の音エネルギーを発散しているために完全密閉型とは少し違う感じになっている気もします。そこから漏れ出す音は私のスピーカーの場合適度にティッシュでミュートされているっぽいです。

私が使ったユニットはなぜか筒状の形をしているためこの固定方法が行いやすかったです。またこのユニットはとても軽く小さいため半紙でも簡単に支えることができました。もう少し大きいユニットを使うときはねじ穴に紐を通して『紐つり』しつつ半紙を使うと良いでしょう。

この固定方法が私の製作した純セレブスピーカーの一番の肝であり、また意見の別れる部分であると思います。

【スピーカーユニットは上向きか正面か】

現在主流になっているスピーカーユニットを上向きで箱にのせるという方法について考察します。純セレブスピーカーにおけるユニット上向きについては2つのメリットがあると思われます。『上向きで置くことでガムテープなどでキッチリ固定する必要がない』ということと『正面より上向きのほうが力学的な複雑性が少ない』という2つです。

前者に関しては、上で解説した固定方法であればわざわざ上向きにしなくても最大限メリットを活かせていますので上向きである必要性はないと思います。ただし半紙という柔軟な素材でユニットを支える、もしくは紐などで吊りつつ半紙などで蓋をするという方法の都合上、特にユニットが重たくなるにつれて正面向きでの固定は難しくなりますから、現実的な問題として上向きが無難になる場合が多いと思われます。私が使ったユニットの場合はとても軽いため、この点に関しては上向きである必要がありません。

後者に関して論文から引用すると、『ユニットを上部に載せるのは、重力のことを考えるからで、ユニットを側面に付けると、磁石の運動方向と重力の方向が直交し、制御が困難になるのは目に見えています。両者の動きを鉛直方向に一致させれば、話は一挙に簡単になります。実際、そのほうが音が素直な感じがします。(p.120)』とのことです。個人的な感想ですが「なんとなく分かったような分からないような~」といった感じでしょうか(笑)。ただし大型ユニットの場合、重心が後ろにあり、それはかなりの重さです。また巨大なコーンを重力と直交する形で鳴らすのは中心部分とかで微妙なブレが発生しそうな感じします。そういった点を考えると私は大型ユニットを正面向きで製作する気にはならないかなあと思います。かなり小型の場合は重力の影響を受けても、コーンの幅が小さく、ユニットも軽いので大丈夫な感じもします。なので最終的に音で判断するのが良いと思います。

別の見方で考えると上向きはスピーカーユニットから出る音を上に逃がして、箱の鳴りをメインで聴くという面もあります。例えばダイソーユニットは、ユニットそのものから出る音は高音がうるさかったり、安いユニットのため少し雑な音が出るような感じがあるのですが、その音は上向きにしてサブとして聴きつつメインは箱の音という構造にできます。他のユニットでも純セレブスピーカーは高音がキンキンになりやすい面があるので、高音を上に放射することでバランスがとれる場合があるというメリットがあると思います。ただしこの音のキンキン感は上向きにしなくてもなくすことができる場合があります(後に解説します)。一方正面向きは『スピーカーユニットからの音』と『箱の鳴り』をどちらもダイレクトに聴くことが可能です。このような特徴をふまえつつ、ユニットの特徴などを感じながら上向きか正面かを決めるとよいと思います。私はなんとなく今使っているユニットに関しては正面のほうが良いかなと思い、正面前提で作成しました。

【ユニット周りのプラスチック音は不要】

スピーカーユニットはコーンが振動する以外にもコーンの振動を受けて周りの部分のプラスチックや金属も鳴って音が出ています。私の考えではこの鳴りはただのノイズであり、純セレブスピーカーはコーンの振動とそのコーンの振動から出る音による箱の鳴りのみを聴ければよいのではないかと思っています。これはダイソーユニットの耳の金属を切除したら音のキンキン感が少なくなったという投稿がtwitterにあり、私も参考にして実践したところ良好な結果が出たという経験から思っていることです。

またユニットの自由度が高いからのなのか、そういった耳の部分が少ないユニットでもなぜか音がキンキンになっていたり、そうでなくても高音重視で低音が弱い場合があります。そういった事情があるからなのか、上向きで製作する場合でもあえてテープなどで多少固定されている方もいます。ただテープなどで固定度を上げ、自由度を下げると①のメリットが弱まる感じがするので私は別の方法としてユニットの周りにティッシュを使うという方法を使っています。

私の使ったユニットは筒状になっていたので、その周りにティッシュを巻き付けることでプラスチックの鳴きなどのきつい高音をミュートできました。

他のユニットでもユニットのプラスチック部分にティッシュを貼ったり、油絵具を塗ったり(外側だけでなく内側も)することでプラスチック感を軽減することで音が良くなるのではないかと考えています。

【エンクロージャーはどんなのが良いか】

これに関しては私は全く分かりません(笑)。なんとなくユニットと合いそうな形や大きさ、素材の箱を用意して使っています。論文から引用すると『エンクロージャーは固くて薄いダンボール箱で、表面がペイントされているものがよく、この箱をアクリル絵の具などで着色すると、音が良くなることが多いです。それ以外には、和紙を固めて作ったもの、ダルマなどがよいことが分かっています(p.118)』とのことです。私は高級ブランドの箱や高級ギフトボックスが割と好みでよく使っているのですが、これは広義的には「硬くて薄いダンボール」でしょう。身近で手に入るものだと「ゆうパックの箱」などがあります。これは純セレブスピーカー製作者の伊藤さん(twitter @juniread339)が気に入ってよく使われています。

ダルマについてですが、個人的な好みでいうと「少しダルマの音の主張が強い」という印象です。「ダルマの音ってなんだよ!」って感じですが(笑)、エンクロージャーとして癖が強い感じがしますので、その癖がとても魅力的な部分でもあり、弱点でもあるかなという感じです。和紙については未体験なので分かりません。

箱を加工するという方法もあります。論文にも書かれているとおりペイントをする、箱の外部や内部に紙を貼っていくなどなど。私が気に入ってやっているのは箱の内側を覆うように紙を入れるという方法です。

箱の中での変な反射が抑えられて、また箱が疑似的に厚くなることで何故か分かりませんが音に立体感が出てきます。

またに箱やユニット、固定方法の兼ね合いもありますが、私の考えだと②『ユニット背面からの音が箱を揺らす』のメリットを最大限活かすためにも、箱がブレブレになっている部分はないほうが良いと思います。例えば箱の上下が覆い被さるように分離している(私の箱が実際そうです)場合には、その接合部分が弱くなり、そこがブレブレになることでユニットから箱に送りこまれた音エネルギーを無駄に放出してしまい、②のメリットが十分に得られず、高音よりの音になってしまいます。そういった弱い部分はブレブレにならないようにしっかり固定した方が良いと思われます。

一方、特にユニットと箱を分離せずユニットの振動を箱に伝えている場合、箱の一部を開放したほうが音の抜けが良く、そちらのほうが好ましい場合もあるようです。

【内部の紙ゴミについて】

論文から引用すると『詰めものとしては、柔らかい紙を入れると音も柔らかくなり、硬い紙を入れると固くなります。聴く音楽に合わせて調整するのがよく、これも和紙がよいことがわかっています。(p.118)』とのことです。これは純セレブスピーカー製作者ならなんとなく分かっていることで、その量や、種類をどのように配合するかが、個性の出るところだと思います。これについては伊藤さんが紙の調整を実演されている動画があり、非常に面白いです。

ここで問題となるのは『ティッシュ』『布』などの吸音性の強いもの、『ツルツルの紙』『プラスチック』などの反射性が高いものです。吸音性が強いものは相対的に低音が強くなり、反射性が高いものは高音が強くなります。ただしこれらは普通の紙のように『紙鳴り』を起こして音を豊かにするという感じではなく強制的にイコライザーをかけるといった感じがしています。これらは使い方次第で有用なのですが、スピーカー外部に原因がある場合にこれらの素材を使うと対処療法的になって音がどんどんおかしくなるということを経験しています。例えばユニット周りのプラスチックが原因で高音がキンキンしている場合に内部のティッシュで解決しようとしてもうまくいきません。他にはユニットをガムテープなどでガッチリと固定し、高音の抜けが足りないという場合に内部にプラスチックを入れても解決しません。なので内部の紙ゴミで特徴の強いものを使う場合は他に原因がないかを見たうえで極少量使う程度にとどめるのよいと思います。

【どんなスピーカーユニットがよいか】

これについてはよくわかりません。バスレフ前提などの素直でないユニットは純セレブスピーカーに合わないのは自明なことですが、ある程度の素直さがあれば後は製作者の好みとしか言いようがないような気がしています。

一般に大きくて重いユニットは良くないとされていますが、これについては補足しておこうと思います。重いユニットを箱につけると箱自体が重くなることで箱が振動しにくくなる、またユニット取り付け面はユニットの重さで歪むといったデメリットがあるために純セレブスピーカーには向かないわけです。逆に言えばこの2つを解決できれば、問題となるのはもはやユニットから出る音のみであり、重さは関係なくなります。本noteで提唱しているスピーカーと箱の分離での固定方法であればこの2つを解決できます。ただしユニットが重いと箱に直接つけなくても間接的に箱につけているだけで箱が重く歪んでしまいます。そのため箱とは別になにかしらの方法でスピーカーユニットを宙に浮かせる必要があります。例えば4本支柱を立てて、そこに紐を貼りその上にスピーカーユニットを置き、そしてそれに合わせてうまく箱を用意するなどといったことをすれば重たいユニットをほぼデメリットなしで使うことができます。考えただけでめんどうなので私はやりません(笑)が、一応重たいユニットも純セレブスピーカーに使える可能性はあります。

ダイソーユニットやNFJのユニットなどは素直で安かったりするので、人にオススメしやすかったりするのですが、本当に拘りまくって良い音の純セレブスピーカー作る場合はどのユニットが一般的に良いかはまったく不明だと思っています。ただここで話が終わってもつまらないので私が使っているaurasoundのユニットについて、なぜこのユニットを使っているのかを解説したいと思います。

こちらのユニットについて初めて知ったのは以下の動画です。

片岡さんと安冨さんがこのユニットをすでに使っており、素性が良さそうであるという感じはしていました。

まず私の個人的な好みと考えとしてユニットの口径は小さいほうが良いと思っています。小さいもののほうが重力やユニットそのものの重みによる余計な複雑性がなく、音がポンッっと飛んでくる感じがするからです。ただ小口径のものは大きな出力に耐えられないというデメリットがありオーケストラの再生などができないという欠点があります。しかしこのユニットは一般的に小型である5cmよりも更に小さい、超小型2.5cmユニットであるにも関わらず、大きな出力も可能というとんでもないユニットになっています。小型でも大音量が出せるのならばわざわざ大きなユニットを買わなくても純セレブスピーカーのエンクロージャー自体が鳴るという性質を活かせば十分にスケール感や迫力は出せると考えているわけです。よって私にとってはこのユニットは理想的なスペックです。またこのユニットの形状は何故か私がしたかった固定方法がとても簡単に安定してできる形になっています。ユニットが筒状になっているために、コーンの振動の背面に出る音は筒の中を通って確実に箱の中に送られるため②『ユニット背面からの音が箱を揺らす』というメリットへのロスがないのもよいです。前方向へも筒が伸びているためそこにティッシュを巻くことでプラスチックの鳴りなどのノイジーな高音をミュートしやすいのもよかったです。

【セッティング】

純セレブスピーカーはスピーカー全体が振動することで良い音が鳴っているためそれを抑圧しないようにしつつセッティングするのが良いと思います。

床や机などに直置きするとその床や机によって純セレブスピーカーの振動が抑圧され、またスピーカーからの振動によって床や机が鳴ってしまい不要なノイズが生まれてしまいますのでインシュレーターを使うのが良いです。インシュレーターについては劇落ちくんなどの『スポンジ』が良いと思っています。これは振動を床からカットしつつもスピーカーの上下運動を抑制し過ぎず浮かすということが可能だからです。丸めた紙なども面白く、スポンジは音を足さないのですが、丸めた紙はそれ自体が鳴ることで音を足すことができ、スピーカーと同じ素材なので違和感はあまりないです。またインシュレーターの下の部分は可能であれば柔らかい(布団の上など)が望ましいと思います。また純セレブスピーカーは無指向性ゆえ下からも音が出ますからそれが数センチ下の床や机に反射しますので、その反射を抑えるためにも吸音性が高いほうが良いでしょう。個人的なオススメはベットの上にスポンジとともに設置する。机の上に置く場合はスピーカーの下にタオルやハンカチを吸音材として置きつつ、スポンジとともに設置するなどでしょうか。布団の上などの柔らかい床でもベタ置きすると少し窮屈な音になりました。

純セレブスピーカーは無指向性なのでスピーカーの周りに物や壁があるとそれらに反射してしまうため壁からはある程度離したほうがよい気がしています。また純セレブスピーカーに似てい部分のあるタイムドメインのスピーカーではスピーカー同士の感覚は狭めが良いとされており、実験したところ狭めの方がいい感じがしました。

配置が決まったら、天井からその位置まで下して吊るすのが理想だとは思いますが流石にそれはする気になれません。

こちらにタイムドメインスピーカーのyoshii9のセッティングについてのページがあり、これは純セレブスピーカーと事情が同じ部分が多いので参考になると思います。


【最後に】

今回は徹底して独断と偏見かつ自分の趣味全開で純セレブスピーカーについて考察しました。一応今まで2年間の自分の純セレブスピーカーの製作経験からの一つの結論が出たので、今現在私にとってしっくりきていることをなんとなく文章にしておきたくてnote記事にしましたが、あまり万人にとって納得のいくような内容ではなかったとは思います。ただ純セレブスピーカーの多様性の一つとして何かしらみなさんのスピーカー製作の助けになれたらなと思います。

何かしらコメントをくれたり、投げ銭としての記事購入してくださるととても嬉しいです。では!今日もセレブ!

↓更に実験を行った実践的な記事


【追記】

重たいユニットの処理の方法に関して高橋さんが製作された純セレブスピーカーが、本記事で上げた問題点を解決している部分も多く参考になります。本記事に元々紹介する予定だったのですがうっかり忘れていました。

安冨さんから和紙スピーカーは③の問題を解決している感じがするとの意見をもらいました。

いくつか自分のいいね欄を遡って和紙スピーカーの音が聞けるものを発見したのでいくつか貼っておきます。

たしかに③の問題が発生してなさそうな音な気がします。和紙スピーカーはユニットの固定方法が私が考える固定方法に作り方の都合上意図せず同じような状態になっているっぽいですね。和紙スピーカーに関しては研究更に研究しなければいけませんね。

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