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「UMAJOに魔法をかけられて」〜第ニ話 緑の魔法使い〜

"♪冬のkissは〜
  雪のような口どけ〜♪"

"♪降る雪がぜーんぶMelty kissなら
いいのにね〜♪"


『ええわけないやろー!豪雪地域なら
 町中ベットベトやわー!ボケぇぇー!』

と、芸人にツッコミをいれられそうな
CMが偶然流れていたが

彼女なら何を言っても許されるだろう

あの笑顔は

どんな人でも許してしまう‥


"魔法の笑顔"

茶色の長袖が似合う季節になった
11月の始まり


休日の土曜だったが
いつもの笑顔に会いたくなり
コンビニを訪れた

秋でも緑色の制服が似合う
緑の魔法使いが今日もレジに立っていた

今日の幸せ1つGET‥


すると新聞コーナーの方から
大きな声が聞こえた


「おいっ!
 エリザベス特集どこだ!?」

「もう出てるはずだろ!!」


赤い帽子を被ったおじさんが
何やら叫んでおり
ベテランおばさん店員は
困った様子だった


するとレジの方から大きな声で

『エリ女は来週ですよー!』

菅原さんが叫んだ


「嘘だろ!
 だって今週は11月2週目だろ…

 あっ!本当だ!わりぃわりぃ
 1週目だったな!来週だな!」


赤い帽子のおじさんの興奮は
菅原さんの不思議な魔法で収まった


少年ジャンプが発売してない今日は
コーヒーだけを頼みに
菅原さんのレジ直行した


もちろん今日も
僕が"コーヒーください"と言う前に
紙のコーヒーカップが出て来る
これも魔法なのかな‥

でも‥このままだと無言で
終わってしまう‥

一言でも彼女と話したかった僕は

「‥なんか‥大変そうでしたね‥」


『あっ!恥ずかしい!もしかして‥
私の大声聞こえてましたか‥?
あのおじさん!毎週末競馬新聞を
買いに来るんですよ。』

話せるチャンスと思った僕は
流れに乗った

「そうなんですね!でもあの方
 なんであんなに怒ってたんですか?」


『多分‥エリ女の開催が今週だと
勘違いしてたんでしょうね。
エリ女は11月の2週目って
決まってるのに!』

良くわからないワードに僕は
微妙な顔をしてしまった‥

『あっ!ごめんなさい!私‥実は‥』

菅原さんは手で口を押さえながら
小さな声で

"UMAJOなんです‥"


「‥魔女‥!?」

菅原さんがまさかの魔女と言う
カミングアウトに驚いていたら

『競馬好き女子の事です。馬好き女子
略してUMAJOです。』

またもや初めてのワードに
微妙な顔をしてしまった

『あっ女の人で競馬詳しいとか変ですよね‥
私‥父が競馬大好きで
ダービースタリオンっていうゲームも
一緒にやっていたんですけど、それで
G1の日付と名前とか全て覚えちゃって。
ヒキますよね‥』



「いいえっ!
 僕も競馬大好きです!」


有馬記念という言葉しか知らない僕が
とっさに答えた


『えっ!?本当ですか!?
じゃあ来週のエリ女も楽しみですね!』


「はい!来週の
 エリジョも楽しみです!」

彼女の言葉を
オウム返ししか出来ない‥

エリジョが何かも知らない僕は



今‥"競馬好き"になった


"UMAJOに魔法をかけられて"

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