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【ワートリ考察】なぜグラスホッパーはシールドの代わりにならないのか

蔵内「これは……厳しい攻撃でしたね グラスホッパーは物質化したものしか反射せず トリオンの弾丸に当たると相殺されるので……さっきの場合は 弾丸でグラスホッパーを処理する手があったんですが この仕様を知らない人も多いので もらってしまうのも無理はない」
小南「蔵っち以外誰も知らないんじゃない?」

出典:葦原大介,「ワールドトリガー」,22巻,p.99-100,集英社

蔵内がR8で語ったこの仕様を聞いて、こう思った読者はいないだろうか。

「グラスホッパーってシールドの上位互換じゃん!!!!!!!」

少なくとも筆者はそう思った。
物質化したもの、すなわち攻撃手アタッカーのブレードは反射し、弾丸は相殺される。つまり、ボーダーのトリガーによる攻撃は完全に無効化できる。
貫通したり破られる可能性があるシールドより遥かに高性能なように感じる。

現状は蔵内しか知らない仕様だが、もしシールド代わりになるなら今より浸透しているはずだ。

では、なぜグラスホッパーはシールドの代わりになっていないのだろうか。その理由を考えたい。


結論

早速筆者の結論から伝えておく。

グラスホッパーがシールドの代わりにならない理由は「理論上は可能だが、グラスホッパーをシールド代わりにする難易度が高すぎるから」である。

詳細は以降の章から説明していく。

1.そもそも「相殺される」とは?

まず、「グラスホッパーがトリオンの弾丸に当たると相殺される」とはどういうことなのだろうか。本記事における定義を決める。

そうさい
【相殺】《名・ス他》
差引きして帳消しにすること。
「貸し借りを―する」

Google検索結果

「相殺」でGoogle検索をすると、上記のような意味が結果に表示される。

出水「虫……!?」(そこまで細かくできんのか……)
ギュン パパパパパ
出水「ぐっ!!」ビチチッ(相殺しきれねえ……)ぐにゃあ

出典:葦原大介,「ワールドトリガー」,9巻,p.45,集英社

パッ ボッ!!
犬飼「!?」
宇佐美・三雲・小荒井・奥寺「!?」
犬飼(集中シールドで相殺できない……)「アイビス……!」

出典:葦原大介,「ワールドトリガー」,13巻,p.142-143,集英社

同じ射手シューターの出水、同じ学年・同じ高校の犬飼は蔵内と交流があるはずで、語彙も似ていると推測できる。そしてこの二人も「相殺」という単語を使っている。
それぞれの状況を確認すると、二人とも「ある程度相手の火力は削っているが、帳消しにできていない」というニュアンスで「相殺できない」と考えている。つまり、上記と同じ意味で「相殺」という単語を使っている。

そして蔵内は解説内で特に条件を挙げていないため、「グラスホッパーにトリオンの弾丸が当たる」以外の条件はないという解釈をする方が自然だ。もし他の条件があるなら言及する。蔵内和紀はそういう男である。

よって、本記事では「グラスホッパーにトリオンの弾丸が当たると、無条件でグラスホッパーの板と弾丸が消える」と定義する。

相殺の定義を決めたことによって、ますますグラスホッパーがシールド代わりにならない理由がわからなくなった。次章でグラスホッパーとシールドの違いを具体的に確認していく。


2.グラスホッパーとシールドの違い

グラスホッパーとシールドには決定的な違いが2点ある。それをまとめてからグラスホッパーをシールド代わりにできない理由を考察しよう。


2.1.展開後の位置

一つ目の違いが「トリガーを展開した後の位置」である。

堤(速い……!……でもそのくらい動けることは もう知ってるんだよ)
パッ
堤「!?」ガクン
ヒュ ドッ ドンッ
武富「おおお!?今の動きはグラスホッパー……!?空中機動を可能にするジャンプ台トリガー!前回は使っていなかった気がしますが……!?」

出典:葦原大介,「ワールドトリガー」,11巻,p.20-22,集英社

グラスホッパー
移動
超立体戦闘を実現するジャンプ台トリガー
空中にジャンプ台を作り出すトリガー。
足場を蹴ってジャンプ中に方向転換するなど、スピード型の攻撃手アタッカーが撹乱に利用することが多い。また、飛び道具を持たない攻撃手アタッカーがこれを使って空に駆け上がり、飛行中のトリオン兵を斬ったことも。

出典:葦原大介,「ワールドトリガーオフィシャルデータブック BORDER BRIEFING FILE」,p.223,集英社

グラスホッパーは本来「ジャンプ台用トリガー」である。つまり、使用者が展開した板を踏む必要がある。

そのため、グラスホッパーは展開後に使用者が移動したとしても、グラスホッパーの板の位置は固定されているということだ。

グラスホッパーとシールドを展開後の移動イメージ。グラスホッパーは動かず、シールドは最初の距離を維持できる。

つまり、グラスホッパーは「一度展開した位置から移動しない」のだ。
対してシールドは使用者に追従する形で展開が可能である。

グラスホッパーが使用者を追従する仕様だと、使用者がその板を踏みたいのに踏めないという状況になり、本来の用途として使えないのだ。

シールドのように追従できる設定を追加しない理由は「そもそも弾丸を防ぐために作られたトリガーではないから」だろう。隊員の中で弾丸を防ぐことができると知っているのは蔵内だけだ。いわゆる「バグ」である。


2.2.消滅条件

二つ目の違いは「消滅条件」である。

■トリガー・トリオンに関する質問
Q.141 グラスホッパーの板みたいなやつは、一度に何個出せますか?また、板みたいなやつは(一枚で)何度でも使用可能ですか?
A.アステロイドなどと同じで、分割すればいくつでも出せますが、数を増やすほど一つの出力は低くなります。ジャンプ板は一度使うと消えます。

出典:葦原大介,「ワールドトリガーオフィシャルデータブック BORDER BRIEFING FILE」,p.303,集英社

グラスホッパーの板は一度使うと消える。グラスホッパーとトリオンの弾丸が相殺される原因は恐らくこれだ。グラスホッパーの板はトリオンの弾丸と接触しても「使った」という判定になるということだろう。

対して、シールドは耐久力が残っている限り展開し続けることが可能だ。
これにより、銃手ガンナーの弾幕にもトリオン能力次第で耐えることができる。

グラスホッパーとシールドの耐久比較イメージ。グラスホッパーは一度しか無効化できないが、シールドは耐久が続く限り何度でも耐えられる。

嵐山「トリオンの弾丸の大雑把な構造はこうだ 威力を決める「弾体」 弾体が大気と反応するのを防いで射程を伸ばす「カバー」 その二つを飛ばすための「噴進材」」

出典:葦原大介,「ワールドトリガー」,11巻,p.20-22,集英社

■トリガー・トリオンに関する質問
Q.165 目標を外れたトリオンの弾丸が、最大射程を超えた場合はどうなりますか?
A.弾体が大気と反応して消滅します。

出典:葦原大介,「ワールドトリガーオフィシャルデータブック BORDER BRIEFING FILE」,p.307,集英社

余談だが、トリオンの弾丸は「弾体」が大気と反応すれば消えるため、トリオンの弾丸とグラスホッパーが接触することによって「カバー」が外れ、「弾体」が大気と反応しているのではないかと筆者は推測している。


2.3.グラスホッパーとシールドの違い(まとめ)

これらのことから、グラスホッパーとシールドには「展開後の位置」と「消滅条件」で大きな違いがあるとわかった。

この二つがシールドにならない理由に直結している。

いよいよ次章が本題である。グラスホッパーがシールドの代わりにならない理由を考察する。

3.グラスホッパーがシールドの代わりにならない理由

先述の通り、グラスホッパーはシールドのように使用者に追従しないため、移動中に目の前に出すと追い越してしまう。

つまり、シールド代わりとして使うとすると「移動したい場所までをカバーするようにグラスホッパーの板を敷き詰める」という運用が必要になる。

三輪(シールド)ズアッ バチッバチバチッ
ハイレイン(こいつも対策済みと言うわけか)キンッ
ドッ ピッ……
三雲「シールドにあんな使い方が……!」
レプリカ「アステロイドのように細かく分割しているようだな」

出典:葦原大介,「ワールドトリガー」,9巻,p.116-117,集英社

つまり、上記のシーンで三輪が使った「分割シールド」のような使い方を「少し先の未来」まで読んでグラスホッパーを展開する必要がある。

さらに、対狙撃手スナイパーならまだしも、対銃手ガンナーなら弾幕を張られることを想定しなければならないため、相手の攻撃でグラスホッパーの板が消えてもいいように、何重にも展開する必要がある。

村上・奈良坂(固定シールド!)
村上(そうか 固定シールドと集中シールドを合わせれば……守りが足りる)
オオオオオ オ
奈良坂(日浦の狙いは……)
キンッ ドッ カッ ドンッ
綾辻󠄀「那須隊長の置き弾が爆発!堤隊員は……!?」
ゴオオオオオオオ シューー…
堤(頭と心臓……2択に捉われた時点で負けだったか)
〜中略〜
村上「最後の堤隊員の防御は 2枚のシールドで3つの攻撃を防ぐ満点の回答だと思ったんですが……」
奈良坂「堤さんが固定シールドを使って的が動かなくなったことで 逆に日浦は急所狙いからトリオン漏出狙いに切り替える余裕が生まれましたね」

出典:葦原大介,「ワールドトリガー」,23巻,p.52-55/60,集英社

複数重ねて展開しない場合、上記シーンのように攻撃側が一方的に有利な読み合いになる。
例に出したシーンは狙撃vsシールドだが、銃手ガンナーvsグラスホッパーと置き換えて想像してほしい。銃手ガンナーは同じ場所に2発撃つだけで攻撃が通るのだ。

つまりグラスホッパーをシールド代わりにするには、「自分の移動先まで覆い隠すように、グラスホッパーの板を何重にも展開する必要がある」という事だ。

難易度に見合わないうえ、実現できたとしても銃手ガンナーは何発同じところに撃ってくるかわからない。グラスホッパーの使用者側が常に不利なのだ。

熊谷「茜!!」
ビギュン キンッ パッ
熊谷「!」
日浦「!!」(かわされた……!!)
空閑「そこか」

出典:葦原大介,「ワールドトリガー」12巻,p.18-19,集英社

それでも対狙撃には有効と考えるかもしれないかもしれないが、そもそも「グラスホッパーは空中機動を可能にするジャンプ台トリガー」なのだ。

上記シーンのように狙撃は通常の使い方で避ければ良い。こちらの方が遥かに難易度は低いだろう。

狙撃のためにグラスホッパーをシールドとして使うくらいなら、銃手ガンナーにも対抗可能なシールドを流用する方が良い。

以上のことから、グラスホッパーをシールド代わりに使うことは理論上可能だが、それよりも有効な使い方があり、シールドの方が汎用性が高いために使われないと筆者は結論付けた。

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