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【ワートリ展開予想】王子一彰の「いろいろ考えてる」についていろいろ考えてみた

<ネタバレ注意>この記事には単行本25巻以降の内容が含まれています。









王子「まあそのあたりは一応いろいろ考えてるから 焦らずいこうよ辻󠄀ちゃん」

ワールドトリガー25巻220話p.149

最新話で久しぶりに王子が出てきてこのセリフが回収されそうなため、王子がどういうことを考えているのか考察してみる。


1.「そのあたり」とは?

まずは本記事で考察する内容である「王子がいろいろ考えてる内容」を確定させる。
このセリフが出た直前を読み返してみよう。

王子「みんなも自分の得意分野で力を発揮してくれれば大丈夫だと思うよ 太刀川さんみたいに ね」
オビ=ニャン「太刀川さんみたいに……」
ハルニレ「ふんふん」
辻󠄀ちゃん「王子先輩の考えはわかりましたけど……戦闘シミュはもうちょっとどうにかしないとまずいですよ 王子先輩が特別課題で抜けてからは1勝もできなかったし……」
王子「まあそのあたりは一応いろいろ考えてるから 焦らずいこうよ辻󠄀ちゃん」

ワールドトリガー25巻220話p.148,149

この会話を読み返すと辻󠄀ちゃんの
「戦闘シミュはもうちょっとどうにかしないとまずい」
というセリフに対して
「そのあたりは一応いろいろ考えてる」
と言っているため、王子は戦闘シミュについて一応いろいろ考えてるということがわかる。


さらに、戦闘シミュで何を目指すかについても確定させていこう。


1-1.閉鎖環境試験に満足している王子一彰

辻󠄀ちゃん「先輩にこんなこと言うのもあれなんですけど……生駒さんは戦闘シミュもうちょっとまじめにやってください!この部隊チームの戦績が……その……仁礼さんや帯島さんの評価にも繫がるんですよ?」
王子「どう?イコさん」
イコさん「せやな……今日やってて1個気付いたけど……辻󠄀ちゃんてツッコミの才能あるよな」
辻󠄀ちゃん「ほらもう会話が通じてない!」
ハルニレ「まーしょーがねーだろ〜 まじめにやってもあんま変わんねーよいこまは」
辻󠄀ちゃん「そ……そんなことないよ 生駒さんはもっとできる人だと思う……」
オビ=ニャン「あの……王子先輩はどう考えてるんですか?」
王子「ぼく個人は『おもしろさ』優先でこの部隊チームを組んだから現状には十二分に満足してるかな」

ワールドトリガー25巻220話p.144〜146

王子は「いろいろ考えてる」と発言する直前に「十二分に満足してる」とも発言している。

王子「この編成のコンセプトは『走れて』『剣が使えて』『組み合わせ的に面白そうなメンバー』かな トリオン消費も抑えやすい編成だから 長時間戦闘にも向いてると思うよ」

ワールドトリガー24巻207話p.56

そして王子2番隊のコンセプトは上記の通りで、「長時間戦闘試験重視」であることがわかる。閉鎖環境試験に関係する要素は『組み合わせ的に面白そうなメンバー』以外にないはずだ。


さらにドラフト時点で戦闘シミュの存在を予想できるはずもなく、王子と辻󠄀ちゃん以外のメンバーは成績に自信がないメンバーである。このことから、王子はドラフト時点から成績など気にせず閉鎖環境試験を楽しもうとしていて、実際に楽しんでいるということがわかる。


目の前で「戦闘シミュ漫才」が展開されている今の状況は本当に「十二分に満足」なのだろう。


1-2.負けず嫌いな王子一彰

王子隊 作戦室
王子の影響でみんなチェスを始め、勝敗表をつけて本格的に勝負している。みんな負けず嫌いなのでコソ練しているようす。

ワールドトリガー18巻p.68

王子「うーん1番がよかったな」
蔵内クラウチ「早く行け」

ワールドトリガー23巻204話p.168

一方で王子は負けず嫌いでもある。実力が全く関係ない臨時部隊の番号についても「1番がよかった」と言うほどである。


そして戦闘シミュ1日目の成績は11部隊中9位、暫定順位は総合・単日ともに7位である。当然7位で満足するような男ではない。


だが現在王子が参加しているのはあくまで「遠征選抜試験」であり、「閉鎖環境試験」ではない。さらに前述した通り王子2番隊のコンセプトは「長時間戦闘試験重視」である。「遠征選抜試験」が全て終了したときに勝っていればそれでいいのだ。


つまり王子2番隊にとって致命的な展開は

  1. 閉鎖環境試験有力チームに圧倒的大差をつけられて長時間戦闘試験でも追いつけなくなる

  2. 長時間戦闘試験有力チームに閉鎖環境試験で並ばれる、もしくは負ける

以上の2点である。


諏訪さん「ネット越しに他の部隊チームと対戦して 勝てば得点負ければ0点」
オッサム「なるほど」
カトリーヌ「ふーん じゃあ この課題が一番重要ってわけね」
オッキー「お?香取ちゃんそのココロは?」
カトリーヌ「だって勝ち負けで点が変わるんでしょ?他の課題は他所よそ妨害ジャマできないから単純に賢さ勝負になるけど 戦闘シミュ演習は『勝った分だけ相手に差をつけられる』ってことじゃん 戦闘シミュ演習に全力を注ぐべきだわ」

ワールドトリガー24巻208話p.95

そしてその致命的な展開を防ぐことに最も適している課題が戦闘シミュレーション演習というわけだ。


したがって、本記事でこれから考察する内容は王子2番隊が遠征選抜試験で最終的に勝つために戦闘シミュで好成績を収める方法とする。




2.王子2番隊の戦闘シミュレーション演習

王子2番隊が戦闘シミュで好成績を収める方法を探すために、まずは王子2番隊の基本戦術を知ることが重要だ。


先に結論から話しておくと、

護衛適性+近接連携+射撃トリガーで相手にプレッシャーをかけ続ける戦術

が王子2番隊の基本戦術だと筆者は考えた。


それでは各部隊の「基本戦術」とはどのようにして決まるのかというところから説明していく。


2-1.部隊の基本戦術の決まり方

オッサム[うちの部隊チームの基本戦術はーー香取先輩と太刀川さんが持っているスキル 「近接連携」を使った攻撃 このスキルは 香取先輩が斬りかかってる敵ユニットに 他の味方が攻撃すると それに合わせて香取先輩が追加で攻撃する(しかも行動力の消費なし)というもので 香取先輩いわく]
カトリーヌ「※ぶっ壊れスキルだわこれ」
オッサム[とのこと]
※ゲームバランスが崩壊するほど強い の意

ワールドトリガー25巻216話p.59〜60

基本戦術が作中で説明されている諏訪7番隊を例にして考えていこう。


諏訪7番隊はなぜ「近接連携」を使った攻撃が基本戦術に決まったのだろうか。

オッサム「この戦闘シミュ 相手が警戒してない方向からだと 割とあっさり撃破できる一方で しっかり防御されると 撃破まで手数がかかるため 完全に相手の不意をつくか 防御を破れるくらい火力を集中するか このどちらかを狙うことになる なので消費コストなしで攻撃の回数を増やせる「近接連携」は 正面から攻める場合 実際かなり強いはず」

ワールドトリガー25巻216話p.60〜61

その答えはオッサムが説明している。戦闘シミュは防御を固められると撃破まで手数がかかるため、コストなしで自然と火力を集中させられる「近接連携」を基本戦術としたのだ。


ここまではこの記事を読んでいる人なら理解している内容だろう。
ではなぜ撃破まで手数がかかるとダメなのかを考えたことはあるだろうか。


それは相手の狙い通りに行動力のパラメータが奪われているからである。これについて詳しく解説していこう。


宇井「この戦闘シミュレーション演習は MAP上で敵・味方がユニットを動かす形で進行します」
オッキー「ってことは将棋みたいな感じなんかな?」
宇井「対戦する部隊チームは お互いの150秒間ですべてのユニットの動きを設定し その設定に従って その後の15秒間ですべてのユニットが行動します」
カトリーヌ「かわりばんこじゃなくて同時なの?なんかややこしそう」
オッキー「将棋とはちがう感じやなぁ」
宇井「この『動きの設定』と『ユニットの行動』を1ターンとして 1試合は6ターンで終了 試合終了時に 生き残ったユニット数に『2体以上』の差がつけば ユニット数の多い部隊チームの勝利 ユニット数の差が『2体未満』なら その試合は引き分けになります」

ワールドトリガー25巻214話p.16,17

宇井が説明している通り、戦闘シミュレーション演習とは自分たちのユニットを操作して勝利条件を満たすことを目指すゲームである。


宇井「んじゃ次 ユニットの動かし方 ユニットには『行動力』というパラメータが設定されています この数値は そのユニットが1ターンの間にどれだけ行動できるかを表します 基本的にユニットがMAP上を1マス移動するとき 行動力を1消費します また攻撃や防御なども トリガー毎に決められた行動力を消費します 全ユニットが行動力を使い切るとターン終了」

ワールドトリガー25巻214話p.18

そして勝利条件を満たすためには自隊のユニットの消耗を抑えて相手のユニットを減らさないといけない。
さらに相手のユニットを減らすためには「攻撃」という行動が必要であり、行動するためには「行動力」というパラメータが必要になる。


つまりこのゲームは行動力のパラメータがすべてということだ。行動力がないと攻撃や防御はおろか、移動さえもできない。


そして勝利条件の「相手のユニットを減らす」を言い換えるとそのターンでの残りの行動力を完全に奪うということだ。
さらに言えば、それ以降のターンは撃破したユニットがゲーム中に存在しないため、そのターン以降全ての行動力を奪うということだ。


要するに、戦闘シミュとは行動力の奪い合いをするゲームとも言えるだろう。


オッキー「防御にも待ち時間があるってことは 弾トリガーで囲んで撃ちまくったら  強い相手も足止めできるってことですかね?」
諏訪さん「できそうだな」

ワールドトリガー25巻215話p.41

また「撃破まで手数をかけている状況」に話を戻すと、例えば上記のような足止め目的の攻撃なら狙い通りの行動だが、撃破目的の攻撃なら相手の狙い通りに行動されているということになる。
撃破まで手数がかかる=相手の狙い通りに行動力を奪われているということだ。


そのため、諏訪7番隊は火力を集中させて相手をすぐに落とすことができる「近接連携」を主軸にしているのだ。


これまでの説明の通り、戦闘シミュでは相手の行動力をより奪える行動が強いとされている。そのため、部隊の基本戦術もこのような行動を軸にするよう決まっているのだ。


以上で部隊の基本戦術の決め方がわかったため、次は王子2番隊の基本戦術を決める「スキル」について考察していく。


2-2.王子2番隊の所持スキル

オッキー「やっぱなんだかんだスキルがでかいと思うわ スキル次第でユニットの動き決まってくる雰囲気あるし スキルの連携がうまく決まると敵を落とせて 決まらへんと押し負けてる感じあるわ そのへんは今日も他の部隊チームと差はなくて 『強そうな陣形でぶつけてみて』『連携のずれが少ないほうが勝つ』っていうイメージやなぁ」

ワールドトリガー226話

まずは王子2番隊の基本戦術の軸になる所持スキルについて考察していく。

なお、王子とオビ=ニャンはセットしているトリガーの種類が多く絞り込みにくいため、辻󠄀ちゃんとイコさんの所持スキルについて考察する。


オッサム(香取先輩と太刀川さんが持っているスキル 「近接連携」と使った攻撃)

ワールドトリガー25巻216話p.60

所持スキル数についてだが、上記のシーンを参照すると最弱ユニット(仮)のオッサムでさえ2つ以上所持しているため、全ユニット最低2つは所持していることとする。


そして以下が2023年2月現在判明しているスキル一覧だ。

  1. 近接連携

  2. 射撃連携

  3. 弧月適性

  4. スコーピオン適性

  5. 幻踊適性

  6. (スラス?)ター突撃

  7. 拳銃適性

  8. 擲弾銃適性

  9. 変化弾バイパー適性

  10. 合成弾適性

  11. サイレンサー適性

  12. レッドバレット適性

  13. グラスホッパー攻撃

  14. グラスホッパー移動

  15. テレポーター適性

  16. ワイヤー機動適性

  17. 隠密行動

  18. 嘘つき射撃

  19. 足止め射撃

  20. 混合両攻撃フルアタック

  21. 護衛適性

  22. 万能適性

  23. トリオン・大

  24. 元・攻撃手アタッカー

  25. (回避系のスキル)


インフォメーション
※ユニットの性能とトリガー構成は今期ランク戦のものに準ずる

ワールドトリガー24巻213話p.201

ユニットが所持しているスキルは主に「使用トリガー」「得意な戦術」「その人独自の特性」によって決まる。


王子攻撃手アタッカーのバッグワームは攻撃にも防御にもジャマだから クーガーはたぶん奇襲にしか使わないと思うけど」

ワールドトリガー17巻151話p.175

そのためセットしていないトリガーに関連するスキル明らかに関係ないスキルを上記から除外し、残ったスキルが以下の通りだ。

  1. 近接連携

  2. 弧月適性

  3. 護衛適性


クーガー「!」
澄晴スミくん「辻󠄀ちゃんナイス」

ワールドトリガー13巻113話p.140,141

蔵内クラウチ「これは……個人的に意表を突かれましたね 二宮隊長が合成弾を撃つ時は常に どちらかが護衛ガードに入っている印象があったので……」

ワールドトリガー22巻190話p.73

辻󠄀ちゃんは上記の他にも味方を守っているシーンが非常に多く、護衛ガードに入っている印象があるとも言及されている。

そのため、辻󠄀ちゃんのユニットは「護衛適性」を所持しているだろう。


笹森「ボーダーに7人しかいない1万越えの攻撃手アタッカーですよ?」
ヒューストン(この相手は今までで一番強い おそらくトップクラスの使い手のはず)

ワールドトリガー18巻160話p.170,171

そしてイコさんはボーダーでも上位の攻撃手アタッカーであり、点取り能力が非常に高い。

オッサム(消費コストなしで攻撃の回数を増やせる「近接連携」は 正面から攻める場合 実際かなり強いはず)

ワールドトリガー25巻216話p.61

つまりイコさんのユニットは点を取りやすくなる「近接連携」を所持しているだろう。


そして二人とも弧月を装備していてポイントはマスタークラス以上であるため、「弧月適性」も所持しているだろう。


他にあるとすれば辻󠄀ちゃんは「近接連携」、イコさんは「生駒旋空」関係のスキルを所持している可能性が高いだろう。
というより現状ではこれ以外の選択肢がない、という方が正しい。


したがってここから先の考察は
辻󠄀ちゃんが

  1. 弧月適性

  2. 護衛適性

  3. (近接連携)

イコさんが

  1. 弧月適性

  2. 近接連携

  3. (生駒旋空)

を所持しているとして考察を進める。


2-3.王子2番隊の基本戦術

前項で辻󠄀ちゃんとイコさんの所持スキルを考察できたため、ようやく王子2番隊の基本戦術を考えていこう。


まず結論から書いておく。
王子2番隊の基本戦術は「古寺6番隊」「諏訪7番隊」のハイブリッド戦術だ。


詳細を説明する前にまずは王子2番隊の戦闘シミュにおける特徴を二つ紹介しておく。

王子「この編成のコンセプトは『走れて』『剣が使えて』『組み合わせ的に面白そうなメンバー』かな トリオン消費も抑えやすい編成だから長時間戦闘にも向いてると思うよ」

ワールドトリガー24巻207話p.56


  • 「走れる」

王子2番隊の一つ目の特徴は全員が走れるという点だ。

オッキー「行動力多いほうが有利ってことやんな?」
カトリーヌ「ふつうに考えたらそうよね」
諏訪さん「足えーやつは行動力多めになってんだろうな」
オッサム「なるほど」

ワールドトリガー25巻214話p.19

つまり、全員の行動力が多めに設定されているということが推測できる。
おそらく総行動力では全部隊トップクラスだろう。


カトリーヌ「はぁ〜〜〜〜!?なに このクソゲー!!なんでアタシがメガネに追いつけないのよ!実戦なら一瞬で追いつくのに!」
諏訪さん「行動力で勝ってんだからそのうち追いつくだろ」

ワールドトリガー25巻215話p.40

すなわち、王子2番隊に逃げの戦術は通用しないということだ。
逆に言えば、王子2番隊が逃げの戦術を取ればどこにも捕まえられない。


  • 「剣が使える」

もう一つの特徴は「全員が剣使い」という点だ。これは射程が短いとも言える。

諏訪さん「弾の射程は向こうの方がなげえ 適当に突っ込むと削られちまう」

ワールドトリガー25巻216話p.52

王子2番隊の最長射程は王子とオビ=ニャンで、上記のシーンを見るにその数値は「7」程度だろう。おそらく全部隊の誰かには確実に射程で有利を取られている。

射程で有利を取られていると、自分たちの射程圏内に入るまで前進しないと五分の勝負ができない。


  • 基本戦術考察

以上の2点を踏まえて王子2番隊の基本戦術を考えていこう。

射程負けしていて行動力に余裕がある王子2番隊の最も重要な行動は「前進」である。前進さえできればイコさんの「近接連携」で一方的な攻撃が続き、そのままゲームを終わらせられるだろう。


その「前進」で鍵になるのが辻󠄀ちゃんの「護衛適性」ではないだろうか。

てるてるA:フルガード 防御50%アップ
てるてるB:フルガード 防御50%アップ

ワールドトリガー25巻p.55

宇井「おお〜!?うひゃ〜!いっぱい増えてる!」
万能適性
……
護衛適性:「護衛」で味方をガードするとき、防御力が増加…
……

ワールドトリガー229話

豊富な行動力を使いつつ「防御力が1.5倍になるフルガード」+「上がり幅はわからないが防御力が増加する護衛」で前進できる辻󠄀ちゃんのユニットは、射程が短い編成においてこれ以上ない答えだろう。


オッサム「これ 自動オートの攻撃とか防御にも行動力使うじゃないですか 最初に動きを全部設定しても 途中で戦闘が起きたら 後半は行動力不足で実行されない場合が多いんですよね」
宇井「そうだねぇ」    カトリーヌ「クソゲーだわ
宇井「やりたい動きはターンの前半に設定して 後半は次のターンに備える感じがいいのかな?」

ワールドトリガー25巻215話p.42

攻撃を耐えきったら相手は次のターンに備える行動をするか、もう行動力が残っておらず完全に無防備である。そこへ余った行動力を使って攻撃すれば無料で相手を撃破できる。


第4試合
vs 古寺6番隊
双方の狙撃手スナイパーが牽制し合う中、三浦の『護衛』を楯にして前に出る木虎と奥寺。

ワールドトリガー25巻217話p.79

オッサム「ぼくたちは香取先輩の動きに合わせて 射撃で敵の動きを鈍らせて 香取先輩たちが接近戦を始めたら 射撃で援護して「近接連携」の発動をねらう」

ワールドトリガー25巻216話p.62

そしてこの戦術が有効なことは古寺6番隊の三浦ミューラー・木虎・奥寺おっくんと諏訪7番隊のオッサムが証明している。


さすがに上記のように上手く決まることは稀だろうが、この戦術の強力さは伝わったかと思う。


まとめると、王子2番隊の基本戦術は辻󠄀ちゃんの「護衛適性」とフルガードを楯に前進しつつ、王子とオビ=ニャンの射撃でイコさんの「近接連携」を発動させるというものだ。


この基本戦術をもとに、王子が「いろいろ考えてること」をいろいろ考えていこう。しかし、まだ細かい疑問点が残っているため、まずはそこを解消してから本題に進むことにしよう。



2-ex.「護衛」コマンドと連携スキルの仕様考察

  • コマンド「護衛」の仕様考察

カトリーヌ「ふーん……?」(じゃあ全部それでいいじゃん ぶつかれば強いほうが勝つんだから)

ワールドトリガー25巻214話p.26

早速だが上記のシーンに映り込んでいるこの「護衛」というコマンド、少し違和感がないだろうか。


「護衛」の意味をGoogleで検索すると「つきそって守ること。また、その人」とある。つまり、味方やその他の何かを守るためのコマンドと予想できる。


だが、ただ味方を守るだけならシールドをセットしつつ味方と一緒に移動させて「オート防御」に頼ればいいだけである。
さらに、味方が周囲にいない場合は何をするのかもいまいちわからない。何かこのコマンドだけの特性があるはずだ。


カトリーヌ「でも待って これって……読みが外れたら盛大にすれちがって このターン何も起きない可能性あるわよね?」
宇井「それはねぇ……あーこれだ 「移動」にもいくつか種類があって レーダーか視界で相手が見えてれば 「狙った相手を自動で追跡する動き」も選べるみたい」

ワールドトリガー25巻214話p.25

そこで注目したのが「追跡移動」である。
これは上記の通り「狙った相手を自動で追跡する」コマンドで、ユニットの動きが敵の行動によって変わる。


つまり、カトリーヌのようにすべて追跡移動を選択したユニットを護衛したい場合、どう動かせばいいかわからない。


同じ敵をターゲットにして追跡移動しても片方が攻撃を受けて足止めされれば分断され、行動力に差があっても途中で別れてしまう。


それを解決する説が「コマンドの『護衛』は追跡対象を敵から味方に変えた『追跡移動』なのではないか」というものだ。


この仕様ならば護衛したいユニットが途中で足止めされても、追跡移動で不規則な動きをされても確実に役目を果たせるというわけだ。(ついでにプログラムも半分になるためエンジニアが少し楽な思いをする)


まとめると、コマンドの「護衛」は「任意の味方を自動で追跡する」という仕様なら全ての問題を解決できるということだ。



  • 連携スキル仕様考察

インフォメーション
近接連携(連携スキル)
自分のブレードトリガーの射程範囲内にいる
敵を味方の誰かが攻撃したとき、行動力の
消費なしで、自動で追撃を加える。追撃は待ち
時間中でも発生する。
「追撃の追撃」は発生しない。

歌川「……つまり 攻撃する目標ターゲットが味方と被った場合……」
クーガー「あーちょっとお得に攻撃できるってことか」
歌川「そういうことだと思う」
漆間ウルティマ「漢字どころか日本語が苦手って……大丈夫かよ……」

ワールドトリガー25巻215話p.35

宇井「「射撃連携」やばかったねぇ……ヘルプユニットの出水先輩が持ってるやつだわ 見た感じ「近接連携」の射程長い版で 追撃には行動力を少し使うみたい」

ワールドトリガー25巻217話p.73

以上が連携スキルの仕様である。宇井の説明を聞く限り、近接連携と射撃連携の発動条件は全く同じだろう。


てるてるA タタタ
てるてるB タタタ                    ガキキン 諏訪A

みずかみんぐA パッ                  ガキキン 諏訪A

てるてるA ピコッ「射撃連携」タタタ
てるてるB ピコッ「射撃連携」タタタタ  パリン 諏訪A

当真 パッ         スパン 諏訪A

ワールドトリガー25巻216話p.64,65

そして上記は射撃連携が発動するまでの流れだ。
てるてるのユニットに注目してほしい。一番最初のてるてるAの攻撃に対して、てるてるBの「射撃連携」が発動していない。てるてるBの攻撃に対しても同様だ。


そしてその後のみずかみんぐの攻撃に対しては発動している。


つまり、連携スキルの発動条件の「味方の誰か」とは別種のユニットであることがわかる。



「護衛」と「連携スキル」の詳しい仕様がわかったことで、ようやく王子の「いろいろ考えてる」ことを考察する材料が揃った。少し余談を挟んでからいよいよ本題に入ろう。




余談:辻󠄀ちゃんはなぜ王子の考えに賛同しないのか

王子「ちなみに辻󠄀ちゃんは女子が苦手だから 程よく気を遣ってあげてね」
ハルニレ「あーん?」
王子「逆に辻󠄀ちゃんはがんばってハルニレとオビ=ニャンを賢さの面で助けてあげてね」
辻󠄀ちゃん「えっ!?」

ワールドトリガー24巻207話p.56

王子「ぼく個人は『おもしろさ』優先でこの部隊チームを組んだから 現状には十二分に満足してるかな 試験に関しては……全部でいい点を取る必要はないと思うんだよね 上層部もそう思ってるはずだし」
オビ=ニャン「上層部も……ですか?」
王子「うん 例えばさ 太刀川さんは遠征部隊の常連なわけだけど……太刀川さんがこの試験に参加したとして 優秀な成績を取ってるイメージ湧かないんだよね」
小南「+1 わかる」
烏丸「+1 たしかに」
三輪「+1 まちがいない」
王子「昨日も話したけどこの試験は 主力隊員が課題やトラブルをどう解決するかのサンプルを集める っていうのが主眼だとぼくは思うから…… みんなも自分の得意分野で力を発揮してくれれば大丈夫だと思うよ 太刀川さんみたいに ね」
オビ=ニャン「太刀川さんみたいに……」
ハルニレ「ふんふん」
辻󠄀ちゃん「王子先輩の考えはわかりましたけど……戦闘シミュはもうちょっとどうにかしないとまずいですよ 王子先輩が特別課題で抜けてからは1勝もできなかったし……」
王子「まあそのあたりは一応いろいろ考えてるから 焦らずいこうよ 辻󠄀ちゃん」

ワールドトリガー25巻220話p.146〜149

このシーンからさらに別の疑問について考察していく。


辻󠄀ちゃんは試験の最初に王子から「賢さの面で助けてあげてね」と頼まれていて、王子の考えはわかったと発言しているにも関わらず、なぜ戦闘シミュに固執しているのだろうか。


先に筆者の結論から話しておくと、辻󠄀ちゃんは王子の考えを理解はしても納得はしていないからである。この理由について順を追って説明する。



王子の考え

まずは王子の考えを整理しよう。


王子の言う通り太刀川さんが閉鎖環境試験に参加していたとしたら、いい成績を収めることはないだろう。


冬島「遠征艇の中の環境を想定してるって本部長が言ってたから第1試験は頭脳労働系ってことだろうな」

ワールドトリガー24巻206話p.17

風間「おまえも当然知ってるだろうが 遠征部隊に選ばれるのは ブラックトリガーに対抗できると判断された部隊だけだ 他の連中相手ならともかく 俺たちの部隊を相手に おまえ一人で勝てるつもりか?」

ワールドトリガー3巻25話p.182

遠征艇内でも頭脳労働があるにも関わらず太刀川さんが遠征部隊に選ばれ続けているのは、それを補って余りある戦闘能力のおかげである。


つまり王子の考えを要約すると「短所(=太刀川さんだと頭脳)があっても長所(=太刀川さんだと戦闘)で力を発揮すれば上層部は評価してくれる」ということだ。


そして先述した通り辻󠄀ちゃんはこの考えに対して「わかった」と発言している
しかも事前に「賢さ」という辻󠄀ちゃんの長所で活躍してと王子からお願いされているのだ。


それにも関わらずなぜ辻󠄀ちゃんは戦闘シミュをどうにかしたいと思っているのだろうか。


辻󠄀ちゃんの考え

これから辻󠄀ちゃんの考えについて掘り下げていくが、まず前提として辻󠄀ちゃんは事前アンケートで少なくとも「チームでなら希望する」を選んでいるはずのため、この試験で手を抜く理由はないとする。


この前提を踏まえて辻󠄀ちゃんは今回の遠征選抜試験をどう捉えているかを考えよう。

特別課題①
今回の遠征選抜試験が、
なぜ 部隊をシャッフルして行われたか、
その理由を部隊全員で考え、
意見をまとめて提出しなさい。(400字以内)

…期遠征に向けて、個人の苦手なことや、
……的・能力的な弱点を克服させるため。(辻)

ワールドトリガー25巻209話p.106,210話p.131

遠征選抜試験に対する辻󠄀ちゃんの考えは上記の通りだ。
少し途切れて見えない部分もあるが、辻󠄀ちゃんにとって「遠征選抜試験」とは「苦手なこと・弱点を克服させる場」と考えているように見える。


つまり、「苦手なことがあっても得意なことでアピールすればいい」という王子の考えと真っ向から対立しているのだ。それもA級からその場で3点稼いだ意見を聞いてもブレないほどに辻󠄀ちゃんの意見は固まっている。


それはなぜなのか考えてみたところ、王子の考えに一つの例外が見つかった。




それが鳩原未来の存在だ。

絵馬「鳩原先輩は遠征部隊を目指してて 選抜試験もちゃんと通った けど上層部が後から 鳩原先輩の部隊チームの合格を取り消したんだ」
アマトリチャーナ「えっ……どうして?」
絵馬「鳩原先輩が 人を撃てなかったから」
アマトリチャーナ「……!!」
絵馬「……だからって役に立たなかったわけじゃないよ 鳩原先輩は人は撃てなかったけど 狙撃は超うまかったから 相手の武器だけを壊して部隊チームを勝たせてた 個人ソロポイントは当真さんや奈良坂先輩より全然低かったけど オレは今でも狙撃の腕は鳩原先輩が一番だと思ってる 上層部も含めてほとんどの人は 人が撃てなきゃダメだって思ってたみたいだけどね」

ワールドトリガー14巻108話p.35,36

澄晴スミくん「弟くんを探しに行くため遠征選抜を目指してたけど メンバーには選ばれなかった」
小南「人を撃てなかったからでしょ?」
澄晴スミくん「そう そこも雨取ちゃんに似てるよね」

ワールドトリガー20巻178話p.193,194

ご存知の通り、辻󠄀ちゃんが所属する二宮隊は遠征部隊の合格を取り消された過去がある
また、その理由は定かではないが「鳩原未来が人を撃てなかったから」とされている。


そう、ボーダー随一の能力を発揮していても、短所があると上層部は評価してくれなかったのだ。


この経験によって、辻󠄀ちゃんにとって「遠征選抜部隊」とは「苦手なこと・弱点があってはならないもの」になってしまったのではないだろうか。


要するに、王子の考えは「適性試験」や「データ収集の場」という観点で見ると正しいかもしれないが、「遠征選抜試験」という観点で見ると正しいとは言いづらいのだ。
上層部にも評価をしたい長所がある。そして辻󠄀ちゃんは身をもって知っている。


このことから、辻󠄀ちゃんは王子の考えを「わかった」と言いつつも納得できず苦手な戦闘シミュに固執しているのではないだろうか。という結論でこの余談は終了しよう。


余談も終わり、ここからが本記事の主題である。いよいよ王子のいろいろ考えてることに迫っていく。


3.王子のいろいろ考えてること

それでは王子のいろいろ考えてることをいろいろ考えていこう。


3-1.戦闘シミュ3日目の「ネタ」

ここまで引っ張っているためまずは本題から。

例の如く結論を先に述べる。
王子のいろいろ考えてることとは、

ドキドキシャッフルで近接連携祭り

である。詳細を説明しよう。


クーガー万能手オールラウンダーのおびしまちゃんは弧月しか見れなかったけど 動きが軽くて守りがうまい感じだったよ 最近の記録ログだと射手シューターのトリガーも使ってたけど 元々は弧月メインの攻撃手アタッカーなんじゃないかな イメージとしてはなす隊の攻撃手アタッカーの人みたいな……」

ワールドトリガー21巻182話p.81

まず、王子2番隊が他の部隊と違うところは「全員が攻撃手アタッカー運用できる」という部分である。


前項で近接連携は「別種のユニットの攻撃」にのみ反応する仕様だとわかった。
そして、この仕様を踏まえると戦闘シミュは連携スキル持ちユニットを軸に複数種のユニットを固めて動かすのが強いということが推測できる。


オッサム「さっき話した通り ぼくの中で戦闘シミュは『最初の戦闘が一番重要』っていうのがあるんですけど その「最初の戦闘」でダメージ勝ちできるか は さっき隠岐先輩が言ってたように 連携がうまく決まるかどうかに大きく左右されてて……それについての1つの正解は もう水上隊が出してるんです つまり『1人で連携を全部組む』」

ワールドトリガー227話

事実、みずかみんぐは「射撃連携」を持っているてるてるのユニットを軸に全ユニットを同時に動かして諏訪7番隊に圧勝した。


オッサム攻撃手アタッカー 射手シューター銃手ガンナー 狙撃手スナイパーはそれぞれ ポジションによって動きや考え方が違うと思いますけど…」

小荒井コアラ蔵内クラウチ澄晴スミくん・半崎
「おれたちの動きはこう!!」

ワールドトリガー227話

要は、王子2番隊の中に4つの『ミニ水上隊』を作ることができるということだ。他の部隊チームよりは複雑で正確な連携部隊が「4つ」組めるのだ。


王子の「いろいろ考えてる」ことはおそらくそれだけではない。近接連携のスキル仕様をもう一度よく読み返そう。

インフォメーション
近接連携(連携スキル)
自分のブレードトリガーの射程範囲内にいる
敵を味方の誰かが攻撃したとき、行動力の
消費なしで、自動で追撃を加える。追撃は待ち
時間中でも発生する。
「追撃の追撃」は発生しない。

ワールドトリガー25巻215話p.35

この仕様をよく読むと、自分のスキルを発動させる条件は「自分のブレードトリガーの射程範囲内」しか指定されていないのだ。メイン・サブどちらのブレードトリガーかは指定されていない。


国近「出た!生駒旋空!」
当真「なげえー」
北添「長いよね」
国近「その最高射程はおよそ40m!全攻撃手アタッカーの中で最長の間合いを誇る技です!」

ワールドトリガー18巻154話p.52

そしてイコさんのユニットは「生駒旋空」を再現するスキルを所持していると前項で予想した。
その仕様は「旋空使用時、射程と攻撃が増加する」というようなものだろう。

つまり、「自分のブレードトリガーの射程範囲」を広げるということだ。


この仕様を利用して、イコさんのユニットのサブ側にも「弧月」と「旋空」を装備すればどうなるだろうか。
近接連携の射程が単純に2倍になるのではないだろうか。


要するに、他の「近接連携」持ちより射程範囲が4倍以上広くなるということだ。
さらに前には護衛適性持ち、後ろには弾トリガー持ちである。


かつ、コマンドの「護衛」の仕様が正しければ、辻󠄀ちゃんのユニットは「護衛」を連打しているだけで良い。操作も簡単だ。他のユニットで追跡移動も混ぜればもっと簡単になる。


この純粋に強くて複雑で正確な連携部隊が4ヵ所同時に攻撃してくるのだ。
もはや説明するまでもない強力さだろう。


ここまでの要素をまとめると、王子2番隊の戦闘シミュ3日目の「ネタ」は

  • 操作するユニットをシャッフルし『ミニ水上隊』を4つ作る

  • イコさんのユニットのサブ側に「弧月」と「旋空」を装備し、近接連携を最大限活用する

以上の2点で、これがドキドキシャッフルで近接連携祭りである。


これで戦闘シミュの「ネタ」の予想は終了だが、これだけで遠征選抜試験を勝ち上がれるほどボーダーは甘くない。


さらに王子一彰が特別課題を担当している理由を考えたのち、上位部隊の対策も考えてみよう。


3-2.なぜ王子が特別課題を担当したのか

前述した通り、王子2番隊は全員のユニットの運用が同じなため、ハルニレ以外の誰が特別課題を担当しても問題がないはずだ。


根付「まずはこの課題の裏の意図でもある 『役割分担をどう処理したか』という部分についてです これは各部隊の『特別課題を共有してから分担が決まるまで』の時間です 早かった順に並べてあります」
鬼怒田「目に見えてグダついたのは下の3・4部隊くらいか……どう揉めて どう解決するかを見たいというのに そつがないというか可愛げがないというか……」
林藤(匠)「いやぁ頼もしいじゃないですか」
「裏の狙いに勘づいてるっぽい人も何人かいたね 諏訪さんとか王子とか……木虎なんかはかなりはっきり気付いてたな」

ワールドトリガー25巻219話p.118,119

いち早く抜けた理由に関しては上層部の裏の意図を読んだからだろう。
その中で誰でも良かったはずなのになぜ王子が抜けたのか、その理由について考える。


まずはもう一度「王子2番隊にとって致命的な展開」を確認する。

  1. 閉鎖環境試験有力チームに圧倒的大差をつけられて長時間戦闘試験でも追いつけなくなる

  2. 長時間戦闘試験有力チームに閉鎖環境試験で並ばれる、もしくは負ける

以上の2点である。


根付「やはりというかなんというか 長時間戦闘試験は二宮8番隊が断トツの1番人気ですねぇ 2番手は歌川1番隊 それ以外の部隊チームは評価が割れている」
鬼怒田「閉鎖環境試験のほうは 古寺隊 村上隊 水上隊 来馬隊あたりが上位だな」

ワールドトリガー206話p.36

つまり、長時間戦闘試験有力チームには閉鎖環境試験で負けられないということだ。


長時間戦闘試験有力チームは当然戦闘シミュも強いだろう。
そこで重要になってくるのが「共通課題」「分担課題」「特別課題」の三つだ。

菊地原「昨日の特別課題の配点覚えてないの?合計で375点だよ?」
トノくん「シミュのスコアに直したら……7勝0敗3分くらいか そう考えるとやばいな」

ワールドトリガー25巻218話p.100

加賀美「特別課題ちょっと上がってる〜 やったじゃん絵馬くん」
絵馬「75点か……昨日が71点」
アマトリチャーナ「5人分もらえるから20点アップだよ!」

ワールドトリガー226話

そして特別課題は配点が重く制限時間も短い。ここで差をつけることができれば一気に取り返すこともできる。


根付「さらに踏み込んで今回の試験がボーダーにとって長期的な視野での大規模な『実験』……つまり『データ収集の場』であると予想したのが 王子くんと染井くん」

ワールドトリガー25巻210話p.132

さらに王子は遠征選抜試験を「データ収集の場」であると予想した隊員の一人で、王子2番隊の中で特別課題が最も得意だと言っていいだろう。

つまり、王子が特別課題を担当することが最も長時間戦闘試験有力チームへの対抗策になるというわけだ。


イコさん「あーこれはやったな やってもうたな」
ハルニレ「いこま〜しっかりしろよ〜」
イコさん「いやいやいやこれ めっちゃ難しない?俺だけ?みんなはまるっと理解してんの?」
辻󠄀ちゃん「まあ……正直まだ探り探りですね」
オビ=ニャン「自分も実はあんまり……」
イコさん「仁礼ちゃんは?」
ハルニレ「アタシはいつものオペとあんま変わんねーからなー」
イコさん「えっ……かっこええやん……」

ワールドトリガー25巻218話p.90

それだけではない。王子が担当することで、まだ戦闘シミュに慣れていない隊員たちが練習する機会を増やすことにもなるのだ。
ちなみに上記のシーンを見返すと、王子のユニットは二人とも生存しているためすでに戦闘シミュをまるっと理解していることがわかる。


他にも王子以外の隊員が新しい発想で作戦を思いつく可能性もある。
王子の作戦以上に有効なものが見つかればそれを採用しない手はない。


ハルニレ「なるべく粘って死ね!そのぶんカゲがフリーになるし!」

イコさん「もしもし?かわいいかわいいマリオちゃん?」
細井「やめろやそれ!」
イコさん「隠岐に雨取ちゃんのレーダー座標送ってや」
細井「もう送ってるわ!」

ワールドトリガー13巻111話p.100,18巻154話p.63

まだまだある。王子が抜けてもハルニレ、イコさんと指揮をする隊員が残っているのも他の部隊とは違う点だろう。


辻󠄀ちゃん「先輩にこんなこと言うのもあれなんですけど……生駒さんは戦闘シミュもうちょっとまじめにやってください!この部隊チームの戦績が……その……仁礼さんや帯島さんの評価にも繫がるんですよ?」

辻󠄀ちゃん「王子先輩の考えはわかりましたけど……戦闘シミュはもうちょっとどうにかしないとまずいですよ 王子先輩が特別課題で抜けてからは1勝もできなかったし……」
王子「まあそのあたりは一応いろいろ考えてるから 焦らずいこうよ 辻󠄀ちゃん」

ワールドトリガー220話p.144,145,148,149

加えてイコさんに指揮を任せるメリットが一つある。
イコさんの指揮はふざけているように見えて内容はまじめであるため辻󠄀ちゃんの不安が一つ消える。その状態で勝てれば完全に消えるのだ。


よって2日目も王子が特別課題を担当し、イコさんに指揮を任せることで辻󠄀ちゃんの不安を解消しようとしたのではないだろうか。


というわけで、王子が特別課題で抜ける選択肢がチームにとって最善なのだ。


理由をまとめておこう。

  1. 王子2番隊はハルニレ以外の誰が抜けても問題ない編成

  2. 王子が特別課題を担当することが「長時間戦闘試験有力チーム」への対抗策となる

  3. 戦闘シミュに慣れていない隊員が練習する機会を増やすことができる

  4. 新たな視点で作戦を思いつく可能性がある

  5. 王子が抜けても指揮ができる隊員がいる

  6. イコさんに指揮を任せると辻󠄀ちゃんの不安が解消される(かもしれない)

これらの理由から王子は特別課題を担当したのだ。


3-3.上位部隊対策

前項で長時間戦闘試験有力チームは「王子が特別課題を担当することが対策になる」としたが、戦闘シミュについてもまだやれることがある。閉鎖環境試験有力チームへの対策とともに考えてみよう。


  • 長時間戦闘試験有力チーム

長時間戦闘試験有力チームの二宮8番隊、歌川1番隊については「引き分け狙い」だと考えている。
歌川1番隊はそもそも1日目の成績で100点近く勝っているため、引き分けをとっていればよっぽどのことがない限り他の課題で勝ち切れるだろう。


烏丸「那須隊大幅有利からやや有利まで抑えられたから 悪くない判断でしょ」

ワールドトリガー11巻97話p.186

二宮8番隊に関しては戦闘シミュで負けてしまうと二宮8番隊大幅有利になるが、引き分けをとれるとやや有利まで抑えられる。

澄晴スミくん「……で そのあとは 雨取ちゃんのハイパー炸裂弾メテオラか 結果的に東隊は撤退を選択したわけだけど あれって小荒井コアラたちが決めてるんだよね?」
結束「東さんの育成方針だとそのはずですね」
澄晴スミくん奥寺おっくんはともかく小荒井コアラが退くの選んだのが意外だなー」
嵐山「成長を感じますね」
小荒井コアラ「成長したって言われてもなー ぶっちゃけ逃げるくらいしかできなかったし……」
東さん「いや 今回でおまえたちがちゃんと状況を判断できることがわかった 今までは攻撃手アタッカーとしての連携に限定してきたが そろそろ本格的にサブトリガーを解禁していこう」

ワールドトリガー20巻175話p.137,138

さらに言うと二宮8番隊は上層部が「勝てない敵」として設定していることも考えられるため、無理に勝とうとする必要もないように感じる。
勝てない敵に対して「撤退」の戦術を選べることも評価されるべきだ。


加えて先述した通り、総行動力で勝る王子2番隊に逃げあいで勝てる相手はいない。引き分けを取ることは容易だろう。


  • 来馬5番隊

王子「そもそも弓場さんの戦法スタイルは 旋空持ちの攻撃手アタッカーに有利を取るために諏訪さんのWショットガンを参考にして編み出されたものなんだよね」
小南「弓場ちゃんの拳銃リボルバーの有効射程は たしか22mちょっと これは攻撃手アタッカーの『踏み込み旋空弧月』がギリギリ届かない間合いなのよ その間合いを保ってれば 弓場ちゃんは一方的に攻撃手アタッカーをボコボコにできる ちなみに弓場ちゃん戦法スタイルに対抗して生まれたのが『生駒旋空』」
武富「なんと……!技に歴史あり……!」

ワールドトリガー22巻191話p.86,87

来馬5番隊に関してはエースの相性が良い。イコさんのユニットを軸に動かして射程を活かしつつ連携を決めれば特に問題はないように感じる。


  • 村上10番隊、古寺6番隊

かなり似たような編成だが、射程で負けているのがおそらく古寺6番隊は古寺のみ、村上10番隊は蔵内クラウチのみだと考えられるため、それぞれのユニットに注意しつつ他は射撃で牽制して前進したい。


  • 水上9番隊

射程で完全に負けており、相手は「待ち」の姿勢を崩すことはないと思われるためかなり厳しい。
ただ、戦闘シミュ最初の2日を「自分だけでプレイした水上」と「自分以外にプレイさせた王子」がどのような結末を迎えるのか楽しみである。


ただの願望になってしまったが、そもそも基本戦術が強いチームであるため、オッキーの言うとおり連携がうまく決まればそのままどこにでも勝ち切れるだろう。


3-4.王子一彰が「いろいろ考えてる」こととは

最後にこれまでの内容をまとめよう。


王子がドラフトによって作った王子2番隊のコンセプトは「長時間戦闘試験重視」で、閉鎖環境試験では「閉鎖環境試験が得意なチーム」にできるだけ離されず、「長時間戦闘試験が得意なチーム」に勝つことを目的とする。


そこで重要になるのが「戦闘シミュレーション演習」で、王子が「いろいろ考えてる」内容も「戦闘シミュでどのようにして勝つか」だと予想できる。


そして王子が「いろいろ考えてる」内容は

『1人で連携を全部組む』部隊を4つ作り、近接連携を発動させて押し込む

というものだ。



終わりに

以上で王子一彰がいろいろ考えてることの考察を終了とする。


さて、ここまで読んでくださった方はうっすらお気づきかもしれないが、本記事は「王子一彰」という人間についてほとんど考察できていない。


巻末おまけ
【需要はあるのか!?臨時隊長たちのアンケート公開】
4番隊:北添 尋
一緒に行きたい人|理由
……
王子一彰|目の付け所が他の人と違う
……

ワールドトリガー23巻p.206

ただ、北添もアンケートに書いているように王子は目の付け所が他の人と違う。
そう、王子一彰の考察など普通の人間にできるわけがないのだ。ここまで考察した内容はあくまで他の部隊でも出ている作戦を組み合わせただけに過ぎない。


「王子一彰」ならではの視点でいろいろ考え、今後の遠征選抜試験で大暴れする姿を心待ちにしている。



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