現実世界にデジタルは存在しません

デジタルが存在できるのは脳内(思考)だけです。現実世界にデジタルは存在しないのです。 

ここで言うデジタルとはパソコンとかスマホのような製品の分類やDXの事ではなく、その原理の事です。これらの中身であるデジタル回路やICは本当はデジタルではないのです。

デジタル製品を作るときは、アナログで擬似デジタルの世界を作り出しているのです。

ではなぜ、現実世界にデジタルは存在できないのか。
その理由は連続性にあります。デジタルは0、1の様に不連続です。0と1の間には、その中間の数値も、移行時間も存在しません。
それに対して現実世界では、例えば気温が0°Cから1°Cに上昇したとします。0から1の間をすっ飛ばして一気に1°Cにはなりません。 必ずその間の値を経由する事になります。 つまり現実世界は連続なのです。

電子回路も同じです。0は0V、1は5Vとして設計される事が多いですが、0→5Vへ移行する時、早すぎて途中がどうなっているか見えないため0Vからいきなり5Vになっている様にみえます。しかし微視的にみれば2つの数字の間を結ぶスロープが存在するのです。

一方、デジタルは、前述の様に二つの間に移行現象がありません。ワープです。
現実ではそんな事は不可能ですが、デジタル回路では前述の通り推移期間を限りなく早く通過させる事で、なかった様に見せているだけなのです。
現実世界でデジタルのような不連続は作れないのです。

デジタルは分かり易くて合理的です。しかしその反面欠点もあります。
その理由は、推移状態を無視しているからです。
電子回路では、その部分が悪さをする事が往々にしてあります。設計者の脳内ではその部分は無い事になっているのに、現実では存在するわけですから当然です。

同じ様に、我々がものを考える時も推移状態を無視しては困ります。
白か黒かの世界は現実には存在しません。結果として白黒つける事はできますが、
推移過程を無視する事はできません。
思考は、デジタルでは不必要だった推移の所にこそ、重要な要素が詰まっていると思います。

(追記)
コメント欄にご指摘を頂きました通り、厳密に言えば現実世界にも不連続はあります。電子エネルギーは飛び飛びに位置していて不連続です。
しかし、この記事は私たちが実感できる事についての話という前提で書いたつもりでしたので、その話は省略しました。
ただ、「電子技術ブログ」と名乗っている以上、ちゃんとした電子の事を書いていると期待して読まれる方がいるのは当然であり、私の配慮が足りなかったと反省しています。 


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