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オペアンプの本質(2)

<はじめに>
オペアンプ単体は、増幅器ではない。(私はそう考えます)
オペアンプ単体は、コンパレータと同じ比較器である。
周辺回路を付けて初めて増幅器として機能する。

<増幅率は無限大という意味>
オペアンプの増幅率は無限大とはどういう事か?
なぜ、敢えてそんな事を言うのか私もわからないが…

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 Vout=A×ΔVin
においてA(増幅率)が無限大。
という事は、出力(Vout)は必ずHかLに張り付くことになる。 

冷静に考えれば、これは普通のデジタルICの信号ロジックと同じ。
閾値を超えたらH、下回ったらL。
閾値を+(或いはー端子)とすれば、コンパレータの動作と同じ。
単なるデジタルICのH、Lロジックの動作を、まどろこしい説明でわかりにくくしていると感じてしまう。

よくある疑問で、増幅率無限大を出力無限大と勘違いしてる人がいる。 Aが無限大ならVoutも無限大になると考えてしまうが、供給電圧で飽和してしまうので、無限大になる事はない。
VoutのMAX、MINは決まっているので、この無限大の解釈は、ΔVin側に目を向けるべきであり、ΔVinがどんなに小さくても
(0でない限り)Voutは飽和電圧に到達すると解釈できる。

閾値をわずかにしか超えてないからと言って、VoutのH値が中途半端な値になる事はない。 デジタルICは必ずH,Lどちらかに振り切る。 増幅率無限大はこれと同等の事を説明しているに過ぎないと感じる。


<イマジナリショートの意味>

イマジナリショートとは、オペアンプの+、ー端子が同電位になる(ΔVin=0)性質の事である。 オペアンプ単体がこの性質を持つわけでなく、負帰還回路を構成する事で成り立つ
+、ー端子がショートした様に見えるのでイマジナリショートと言う。

イマジナリショートになる理由としてよく目にするのは、
ΔVinが少しでもあると(増幅率無限大だから)Voutが振り切れるので、振り切れない制御のためには、ΔVin≒0となる必要がある。
と言う感じのものである。

私的にはこれが本当に正しいのか疑問を持っている。
これについては「オペアンプの本質」で持論を書いてるので参照ください。要旨は以下。
目標値(+端子)に対して、ー端子が越えた場合は下げる方向に働き、逆に下がった場合は、越える方向に働く。
(負帰還ロジックそのもの)
つまり+端子に対して常に越えたり下がったりを繰り返す発振動作をしているが、その速さと振幅の小ささで、発振している様に見えない。 この様な動作で+、ー端子は同じになる。


<オペアンプはアナログICではないと思う>                 

オペアンプはアナログICに分類されている。
アナログ回路として使うので間違いではないし、この文類の方が分かり易い。 なので分類を訂正すべしと言ってるのではない。

言いたい事は、オペアンプ単体がアナログICなのだと思ってしまうと理解が妨げられると言う事だ。 オペアンプのロジックなんてコンパレータそのもので全く単純なデジタルICである。
そこに負帰還の回路を構成することでリニアな増幅器を実現している。 つまりオペアンプの動作は簡単なロジックだけで理解可能である。 ー端子と+端子が同電位になる事と、周辺回路の分圧式だけで基本は解けるのである。 

<まとめ>
・オペアンプ単体はコンパレータ
・コンパレータのロジックで考えれば、負帰還回路は自ずとイマジ
 ナリショートになる。
・増幅率無限大の意味は、普通のデジタルICの入出力と同じ事を
 言ってるに過ぎないので敢えて考える必要はない。

完結編として作成しましたオペアンプの基本原理もご覧ください

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