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画像認識プログラムを作ってみよう - 第一章「画像認識の技術について」 - そもそもの人工知能の定義とは

さて第一章では、現在の第三次人工知能ブームについて説明しました。ところで、「人工知能」という言葉の定義は、そもそも何でしょうか?第一次人工知能ブームでは、ゲームやパズルを解くためのアルゴリズムが人工知能と呼ばれました。現在では、iPhoneのSiri(シリ)やAndroidのGoogleアシスタントが人工知能としての知名度が高いでしょう。本項では、人工知能という言葉の定義について、考えてみます。

 ひと口に「人工知能」といっても、さまざまなものが挙げられます。
例えば、「人工知能」といって真っ先に思い浮かぶのは、おそらく多くの人がスマートフォンに搭載されている会話型人工知能でしょう。スマートフォンのみならず、AmazonのAlexa(アレクサ)に代表されるスマートスピーカーを想像する人もいるでしょう。
実際、そもそも世間一般で言われている「人工知能」の定義とは、何でしょうか。調べてみると、その定義については人それぞれの解釈があるようです。
有識者の人工知能の定義をリスト化すると、次のようになっています。

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有識者でもこれだけの意見や考え方があるのですから、「何を持って人工知能と見なすか」という問いに対しても明確な答えが出ないのが現状です。前節にて、ビッグデータを解析するだけのプログラムを人工知能として喧伝することについて若干否定的な意見を述べましたが、そもそもの人工知能の定義が一般的に明確ではないのですから、あながち間違いとは言い切れません。
 人工知能かどうかを判定するためのテストとして有名なものとして、「チューリングテスト」を挙げることができます。チューリングテストは、イギリスの天才数学者であるアラン・チューリング(Alan Mathieson Turing)によって考案されました。
チューリングテストとは、コンピューターの回答が、人によるものなのかコンピューターによるものなのかが人に判別できなければ、そのコンピューターは知能的(人工知能)とするものです。例えば、2台のディスプレイには、それぞれ人もしくはコンピューターの回答結果が映し出されるように設定されています。質問者は人もしくはコンピューターに質問をして、そこから回答される結果をみて、どちらがコンピューターかを当てるとします。もし、質問者がどちらがコンピューターによる結果を映し出したディスプレイなのかがわからなければ、チューリングテストは合格となります。

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 しかし、このチューリングテストに合格することが果たして知能的かどうかを判別する手段として有効かどうか、疑問を呈する意見もあります。
例えば、次のような例を考えてみてください。部屋のなかに、英語しかわからない人がいます。部屋のなかには中国語の辞書があり、どのような質問がきたらどのように回答すればよいのかが記されているとします。部屋の外から中国語で質問されたとき、英語しかわからない人は、その辞書を見ながらしっかりと受け答えができているとします。そのとき、部屋のなかの人は中国語を理解していると言えるのでしょうか。同様に考えれば、チューリングテストに合格すれば、知能があると言えるのでしょうか。

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これは「中国語の部屋」という問題で、チューリングテストの意義を否定する際に用いられます。
 そもそもの「知能」という言葉の定義が明確でない以上、やはり「人口知能」という言葉の定義付けも難しく、有識者によっても多種多様になってしまうのが現状のようです。

・「人工知能」の言葉の定義については有識者によっても様々であり、そもそも「知能」という言葉の定義も現状は明確ではない。
・コンピューターが知能的であるかどうかを示すテストとしては、アラン・チューリングが提案した「チューリングテスト」が有名である。
・「チューリングテスト」に否定的な意見として用いられる題材として、「中国語の部屋」がある。質問にうまく回答できたからかどうかと知能があるかどうかは別問題という意見である。

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