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画像認識プログラムを作ってみよう - 第一章「画像認識の技術について」 - そして現在の第三次人工知能ブーム(機械学習)

前項と前々項にて、第一次人工知能ブームと第二次人工知能ブームについて説明しました。本項では、現在の第三次人工知能ブームについて説明します。コンピューターが人類にどれだけ近づけるかどころではなく、人類をはるかに超越した知能を得てしまう危険性さえ叫ばれています。

 第一次人工知能ブームの「探索と推論」はゲームやパズルのような「Toy Problem(おもちゃの問題)」しか解決できず、第二次人工知能ブームの「知識表現」は専門家の知識はあっても常識がわからない「Frame Problem(フレーム問題)」を解決することができませんでした。しかし、ブームは過ぎても人工知能の研究が終わったわけではありませんでした。そして2000年代に突入し、ついに第三次人工知能ブームが到来します。
 第三次人工知能ブームのキーワードは、「機械学習(Machine Learning)」です。機械学習とは、機械(人工知能)が持つ学習機能のことを言います。
それと、第三次人工知能ブームを語るにあたり、「Big Data(ビッグデータ)」の存在が欠かせません。Big Dataとは、普段我々が、SNSサイトにアップしたコメントや写真、GoogleやBingなどの検索サイトに入力した検索キーワードなど、さまざまな大量のデータのことを言います。人工知能は、この大量データのなかから「ある規則性」を見出すことで、自ら学習します。これを、「深層学習(Deep Learning:ディープラーニング)」と言います。
 機械学習と深層学習の違いは、「自ら学習するかしないか」の違いと言えます。機械学習の場合、学習モデルは人間が作成し、人工知能に教え込むことを含めた用語を言います。これに対し、深層学習の場合、人工知能自らが大量データのなかからそのデータの特徴を見出すことで学習を行うことを言い、人間が人工知能に対して逐一学習させる場合を含みません。
機械学習と深層学習の関係を図で表すと、次のようになります。

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前述の「Googleの猫」についても、YouTubeにアップされている大量の画像データを人工知能が深層学習によって「猫」を認識できるようになりました。つまり、大量の画像データのなかから猫が持つ特徴を人工知能が自ら学習し、今まで見たことがない猫の画像であっても、猫であることを認識できるようになったのです。
 ところで深層学習について、人間がある程度、人工知能に学習モデルを覚えさせることもあります。例えば、予め「猫」の画像の特徴を覚えさせておく手法です。これによって、大量のデータが無かったとしても人工知能に「知識」を覚えさせることができます。例えば、人工知能に画像を見せる際、予めそれが「猫」の画像であることを人工知能に伝えます。同時に、「猫」以外の動物の画像、例えば「犬」の画像をそれが「犬」であることを伝えたうえで人工知能に見せます。それを何度か繰り返すことにより、人工知能は「猫」が持つ特徴を自動的に見出します。これを、「教師あり学習」と言います。逆に、「Googleの猫」のように事前に何も学習させない手法を「教師なし学習」と言います。
この「特徴」を数式化したもののことを、「特徴量」(とくちょうりょう)と言います。人工知能は特徴を数式化し、特徴量を求め、その特徴量から「猫」と「犬」を判別します。つまり、「教師あり学習」とは、特徴量を人工知能に対して人間が行う入力作業のことを言い、「教師なし学習」とは、特徴量を人工知能が自ら求めだす作業のことを言います。
 我々の生活のなかでインターネット等によってデジタル機器と接する機会が増すにつれ、Big Dataはより多くの情報を有するようになります。そのBig Dataをどのように活用するか、その答えが「人工知能」なのです。第二次人工知能ブームでは、エキスパートシステムに新たな知識を覚えさせるには、人の手によってデジタルデータを起こす必要がありました。第三次人工知能ブームによる深層学習では、Big Dataから人工知能が特徴量を導き出し、自動的にさまざまな事象を認識することができるようになりました。
さて、このブームはいつまで続くのでしょうか。今までの人工知能ブームでは、過ぎ去って下火となりました。第三次人工知能ブームは、人工知能がより人類の身近なものとなり、一般化することによってブームとは言えなくなるのかも知れません。
後述しますが、今後一層、人工知能が持つ知能は指数関数的に増大し、いずれは人類すべての知能をもってしても、たった1台のコンピューターにさえ勝てなくなるという大胆な予想さえなされています。
 これが、現在の第三次人工知能ブームなのです。

・第三次人工知能ブームのキーワードは、「機械学習」。
・「機械学習」とは、人工知能が自ら学習することを意味する。その中でも、人工知能が自ら学習することを「深層学習」と言う。
・「深層学習」が学習する元となるデータは、普段われわれがネット検索する際のキーワードであったり、SNSにアップしたコメントや写真など、大量のデータが対象となる。この大量のデータを、「Big Data」と言う。

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