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カタールW杯メンバー入りをかけた国内組ラストサバイバル

国内組で構成された日本代表チームだが、2勝1分の勝ち点7でEAFA E-1選手権2022のタイトルを獲得しました。各試合の詳細はマッチレポートに掲載していますが、振り返れば全勝優勝も可能だったと思います。

常連組と国内組を比較

球際の強さやパススピードは常連組の方が上だったと思います。1番の違いは危険察知能力の差でした。危ない場面で体を張っている選手が少なかったのが気になりました。たまたま得点には繋がらなかっただけで対戦相手が強くなればなるほど失点のリスクは高くなります。バイタルエリアでフリーにさせている場面やミドルシュートを簡単に打たせてしまったりと、プレスをかけるのが2歩も3歩も遅かったのは致命的です。

連携面では急造チームを懸念して、同じクラブ(横浜F・マリノス、サンフレッチェ広島)の選手をある程度まとめて起用することで補う配慮はあったと思います。年に数回しかない代表活動の中で常連組の軸となっている選手は、それまでの積み上げてきたものがあるので比較材料にするには難しいですが、総合的に見ても連携面での差はそこまで無いと判断しています。

国内組はチームとしての一体感は出来ていましたが、全体的におとなしい印象を受けました。1ランクも2ランクも上を目指すなら、誰が見てもダメだとはっきりわかるプレーに対しては選手同士がピッチ上でぶつかっても良かったのかもしれません。日本の文化的に仕方ない部分もありますが「闘将」と称される選手が見当たらないことに物足りなさを感じています。

アピールに成功した選手

E-1の3試合を個人的な見解から総合的に判断してアピールに成功した3選手をピックアップしました。アピールに成功した3選手からは外しましたが、サポートメンバーを帯同させるなら藤田譲瑠チマ(横浜F・マリノス)は候補選手の1番手になるでしょう。

町野修斗(湘南ベルマーレ)

FWとして3ゴールを挙げたことは評価できる。勢いのある若手FWをメンバーには入れておきたいと考えるのではないだろうか。1トップとしてのポストプレーが良かったのではなくポジショニングが良かっただけなのかもしれないが、ボールが集まってきていたのは点取り屋として何か持っている可能性もある。

あとは常連組とどこまでフィットするかだけ。4-3-3または4-2-3-1にしてもセンターフォワードでの起用になると思われるが、9月の代表戦で招集されて出場しゴールを決めることが出来れば逆転でのW杯メンバー入りは当然視界に入ってくる。

相馬勇紀(名古屋グランパス)

E-1では3ゴールを決め、大会MVPにも選ばれた。しかし左サイド(2列目の左または3トップの左)は最も競争が激しいポジションのため結果を残しても簡単には生き残れない。

ドリブルだけではなく、フリーキックから直接ゴールを決めたことやセットプレーでのキッカーを務めてアシストを記録したプレーは国内組の中では秀逸だった。U-24日本代表では東京五輪大会にも出場し、怪我でコンディションを落としていたとはいえ一時期は三笘薫(ブライトン)からポジションを奪い取ったポテンシャルの高さは疑いようがない。

宮市亮(横浜F・マリノス)

ゴールやアシストといった明確な結果は残せなかったが、圧倒的なスピードは大きな武器になることを証明した。3試合に全て出場したことから監督の期待が伺える。ただ怪我だけは心配の種だ。最終戦でも右膝を痛めてしまい途中出場からわずか20分で途中交代となっている。コンディションさえ良ければ攻撃の切り札としてのラストピースに入り込んでくる可能性は高いと思っていたが、韓国戦での怪我の診断が右膝前十字靱帯断裂の重傷だったため、カタールW杯出場は絶望となった。

本当のラストサバイバル

従来の登録メンバー23人から26人に増えたこともあり最後まで選手選考の予想が難しくなりました。

選手に合わせてシステムをはめるのか?
システムに合わせて選手をはめるのか?
どちらの考えに基づいてチーム作りをするのでも選手選考は大きく異なります。

現体制のチームとしてこれまで積み上げてきたものを大事にするなら、システムに合わせて選手をはめている傾向から、既にある程度のベースは出来ていて監督の頭の中で15人程度はメンバーが決まっている可能性があります。

そうなると一芸に秀でた選手や、グループリーグで対戦するドイツ、コスタリカ、スペインを想定した時に戦術プランを補ってくれる選手が残ると考えます。

海外組を含めた常連組のメンバーで当落線上の選手と国内組ラストサバイバルを勝ち抜いた選手にとって本当の最終選考になるのは、9月に海外遠征で行われるアメリカ代表、エクアドル代表との国際親善試合になります。9月シリーズにどの選手が招集されるのか今から楽しみです。


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