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簿記の知識がなく、はじめてクラウド会計ソフトを使ってみた方へ ①現金編


freeeやMFクラウドを使われていて最初は自分でできるかなと思ってやってみたけど、、、という方からご相談を頂くことがあります

ご相談から依頼に発展し、アカウントに招待して頂いて中身を見ていくと

現金
売掛金
未払金
その他
の勘定科目がマイナスになってることが多いです

会計や簿記をかじったことがある方でしたら、勘定科目がマイナスと聞けばどこか間違ってると即座に感じて頂けるのではないかと思います。
しかし、初心者、簿記ができない人でもと謳っているfreeeではじめて会計ソフト使い始めた方は勘定科目がマイナスといっても「???」という感じかもしれません。
また、「ちゃんと登録したから大丈夫でしょ」という方もいるかもしれません。

とりあえず、試算表を出して状態をチェックしてみましょう。(試算表の出し方はこちら

上から順番に見ていきましょうか。

現金がマイナス

専門家が管理していない会計データで一番多いのが現金勘定がマイナスになっているというものです。
現金勘定がマイナスっていうのは、会社の金庫は空っぽなのに経費をどんどん使ってる状態です。

現実世界で言えば、銀行から現金を引き出してきて使い切ったら、あたりまえですが、新たに補充しないと現金を使う事はできません。

しかし、経理処理で経費の登録に集中しているとこの現金が空っぽの状態になかなか気づくことができません。ましてや領収書をため込んでしまって、出てきた領収書を片っ端から登録しているなんて言う状況では、どんどん現金の出費が積み上がり領収書の入力を終えて試算表を出してみたら現金がマイナス何百万なんてことが起こります。
それでも、領収書の処理を終えて、預金の処理をしていけば、現金の値が正常に戻る場合もあります。

正常に戻るのはだいたい事業が黒字の時です。
ではなぜ黒字の時は、領収書をたくさん登録して現金が大量に不足していても預金の取引を入れると正常な状態になるのか。
答えは単純です。
事業が黒字の場合は、売上代金が預金に入り、預金から経費を振り込んだり引き出して日常の経費の支払いに使ったりなど、基本的に売上代金で入ってきた中で経費の精算がすんでおり、追加で違う財布から資金を補充していないからです。


これが、赤字の場合は、売上代金で入ってきた金額だけでは資金が足りず、社長の個人口座から補充したりするため、現金の領収書と預金勘定を入れただけでは現金のマイナスが解決しません。ちゃんと社長個人の口座から引き出した資金を役員借入金や短期借入金などで登録して会社の現金を補充しないと現金勘定が正常な値になりません。

きちんと事業に関係のある資金の入出金を記録しておけば、黒字になり会社の口座の残高が増えたときに、社長が会社に貸し出していた資金は、そっくりそのまま社長の個人の口座へお返しすることができます。
会社の税金は「利益ー費用法人税など」「売上に含まれる消費税ー経費に含まれる消費税で消費税」「役員報酬(給料)を支払うときに会社が預かる源泉所得税」などによって発生するので、社長が会社に貸したお金返してもらうだけでは税金が出る話でもありません。

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現金がすごくプラス    

現金がマイナスになることがある一方、現金がすごくプラスというような状態になっている試算表や決算書を目にすることもあります。それらを見「現金こんなにあるんですか」とお聞きすると決まって「そんなあるわけないじゃないですか」という回答が返ってきます!

ちなみにこの現金がないのにすごくある状態になっている決算書は、融資にすごくマイナスになります。
なぜなら、
銀行「会社に現金あるのに借りる必要ないでしょ。」
会社「いやいや会社にお金なんてありませんよ。」
銀行「じゃあその決算書は間違ってるんですか。」
会社「・・・・・」

では、現金がすごくプラス、これがどういう状態であるか見ていきましょう。
売上代金が預金に入り、預金から経費や給料、役員報酬を振込んだり、引き出して日常の経費の支払いに使うなど、会社の売上や経費が適正に管理されていれば、現金は必要なために引き出して残った金額で正常値であり、残りは預金に入っている状態となります。
しかし、適正に管理がされず、現金を使ったが領収書をなくしてしまった、そもそも事業とは関係のないプライベートなことに使ってしまったなどということが重なっていくと・・・
口座から引き出した現金は、領収書をなくさず、あるいはきちんと事業に使い経費を計上すれば、費用となって正しく減少していきますが、領収書をなくしたり事業以外に使ってしまうと、そのまま会社の金庫に残っていることになります。これが年月をかけて積みあがるとすごく現金がある状態が出来上がります。

この他にも社長が自分の役員報酬を50万と決めたのに100万円毎月引き出し使っている、そもそも役員報酬をちゃんと決めずに適当に生活費に使っているなどという場合で、きちんと社長がいくら持って行ったか把握しないと社長が余計に持って行ってしまった現金が会社に残ったことになってしまいます。
なお、最低限の管理ができて社長の持ち出しが多い時は、役員貸付金や短期貸付金を計上することで適正な貸借対照表を作成することができます。
ただし、この状態で融資を受けようとすると
銀行「社長に貸した現金を会社に返してもらってください」
社長「使ってしまってありません」
銀行「・・・」
などとすごくよくない状態になってしまいます。

社長の持ち出しが多かったりその他よくわからない理由で現金が大きく積みあがってしまった場合の対処法ですが、よく行われるのは

一旦、実際にある現金以上のものは、役員貸付金、短期貸付金、仮払金などに振り替える。

役員貸付金や短期貸付金で計上したものをまとめて社長の個人口座から返してもらう。せっかく個人の口座に移したお金を会社に戻すので損した感じがするというデメリット。
役員貸付金や短期貸付金で計上したものを一括では返せないので、分割で返してもらう。例えば、毎月の役員報酬で会社から受け取っているのは50万円分だけど、役員報酬を80万で計上して差額の30万円分を会社に返して貸付金と相殺するなどがあります。役員報酬を手取りより多く計上するので、所得税や住民税が余計にかかるのがデメリット。
役員貸付金、短期貸付金、仮払金などでそのまま残しておいて、退職時に退職金を計上して相殺。退職金の方が役員報酬を手取りより多く計上するより所得税・住民税は少なく済む可能性が高いのがメリット。一方、融資などの際にBSの見た目が悪くなるのがデメリット

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