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金井美恵子『岸辺のない海』

ゼミの教授が金井美恵子の作品を薦めていたので読みました。
難解。うんうん。こういうの好きそうだわ。あの人。

書くこと×語ること。


語られる彼=語る僕。そして書く僕は・・・。どこへ流される?
自分のまわりの人を、あらゆるものを、自分の物語のペースに巻き込んでしまう「僕」。言葉の海へ漕ぎ(書き)だしてゆく。そして「書く」という逃れようもない運命の「僕」であり「彼」は、安息の地(岸辺)にたどりつくことはなく、こぐ手を止めることは出来ない。死によって以外は。

だれでもない「きみ」へ。

「きみ」はだれかわからない。けれど僕はずっと書き続ける。
「きみ」=無数の読者。

金井美恵子の事実上のデビュー作。作家として生きることの凄絶な覚悟が伝わってくる。


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