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体育祭のオンライン配信

コロナ禍と酷暑が重なり,学校行事を行うにもさまざまな制約が生じています。学校行事は数か月前から準備に取りかかることが多く,感染状況や天候などが読めない中,さまざまな策を講じておかなければなりません。例年通り,とはいかないところが悩ましいところです。

保護者や外部の方の観覧をどうするか,というのも難しい判断です。結局,今回は,保護者向けにYoutubeライブ配信を行うということになり,業者さんに依頼せず,部活動の一環でできる範囲で行うこととしました。

外部会場をお借りした関係で,配信用の回線が確保できないことが一番のネックでした。会場に有線LANはあるものの,会場を管理している方もよく分かってないようで,それを使うのはあきらめました。

代わりに使ったのは,レンタル品のPeplinkという製品です。中にSIMカードが複数枚入っているらしく,電源を入れたらルーターとして使える製品です。ポケットWi-Fiに有線LANがついたようなものです。今回は他の機材も併せて,パンダスタジオさんでレンタルをしました。

会場は公設の体育館のため大変広く,空調も効いた大変環境の良い会場でした。しかし,配信をするにはカメラの映像をスイッチャーまで伝送しなければならず,広ければ広いほど大変です。学校行事用に50mのSDIケーブルは1本あったのでそれも使いましたが,動きのある体育祭にはケーブルは不便なので,同じくパンダスタジオさんでHDMIの無線伝送システムをお借りしました。

テロップの素材や蓋絵などは生徒が自分のiPadで作ったものを使いました。クロマキー合成も考えましたが,緑色のシャツを着ている生徒がいるため,クロマキー合成はあきらめて,画面にL字の補助画面を出して,現在の競技・プログラムを表示させていました。

音声は館内拡声のソースをミキサーから取りだして,配信用の別立てのミキサーに一度入力したのち,館内の歓声を撮るためのマイクの音とミキシングしてスイッチャー(ATEM Mini Extreme)に入力しました。館内の歓声は館内に拡声する必要はないが,配信の視聴者には歓声がないと臨場感が得られないため,このような複雑な処理にしました。

放送・配信機材のダイアグラム

リアルタイムでYoutube配信を視聴していましたが,約20秒の遅延で配信されていました。配信の帯域をあまり大きくせず(ATEMの設定ではStreaming Low),画質は二の次にして安定して配信されることを優先しました。会場に有線LANが存在し,帯域が確保できるのであれば,もう少し帯域を上げることができたかも知れません。

最後に,著作権の問題です。ライブ配信においては教育利用の範囲(限定配信)に限りCD音源等を配信することは可能ですが,アーカイブ配信となると話は別です。Youtubeはライブ配信後,何もしなければ自動的にアーカイブ配信になります。その際,CD音源が入っていると,著作権についての指摘を受けます。自分はその日のうちにほとんどの部分の音を削除した動画ファイルを再作成し,無音の動画を再アップロードして,期間限定で保護者向けに(限定配信)配信しています。


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