【日記】虫歯

昨年の秋、私は虫歯の治療を開始した。私は虫歯になりやすく、小さい頃からほぼ通年歯医者に通っていた。そこで正常な歯を取り戻していく引き換えに秒ごとにトラウマを植え付けられ、歯医者と聞くと条件反射で駆け足で後ずさりしてしまうような体になってしまった。

でももう僕は大人ですし、トラウマなんてやってやりますよと近所の歯医者にインしたわけです。しかし私の口内は想像以上に酷く、まるで長く内戦が続いた無法地帯のようになっていて、一番の親玉は親知らずに虫歯が穴を開けていたというもので、内戦地帯でも一番不穏な、山奥にある洞窟でケシを栽培している反政府組織の拠点をまずは攻略しようと主治医はテコの原理で山脈を引っこぬく。

歯医者はまずあの酔ってしまいそうな消毒液の匂いや麻酔薬のえぐい味が苦手。私の口の中は年末の環状線かなってぐらいの激しい振動と騒音を発するドリルが辛い。何より口の中にものを入れられるのが物理的にきつい。私は治療を行うまでこの苦痛から逃げてきた。主治医は私のその根性を察知しているのかどこまでも容赦なく、無慈悲に治療を進めていく。やっぱ占領国の治世者たるもの国家の根幹を変えるにはこれぐらい冷酷にやらないとね。アイサレンダー。。。

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