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ロックンロールへの入り口となった衝撃体験

音楽を聴いたり演奏したりというのは、子供の頃から好きだったように思います。

演奏はともかく聴く方に関しては、70年代生まれの私の世代は子供の頃はテレビに音楽番組が多かったですから、能動的に聴きにいかずとも勝手に耳に音楽が入ってきていました。

始めて買ってもらったレコードは「ドリフの早口言葉」かイモ欽トリオの「ハイスクール・ララバイ」のどっちかです。

ドリフの早口言葉は、原曲がウイルソン・ピケット。ファンクでありラップ要素もある今思えば実に先進的な曲。ハイスクール・ララバイは細野晴臣作曲のお茶の間テクノ歌謡の金字塔です。我ながら子供ながらにいい趣味してたと思います。

テレビから流れる曲の中で好きだったのは沢田研二、山口百恵などの他、アニメソング(当時の言い方だとテレビマンガの歌)だとタイムボカンシリーズの曲など。

沢田研二はグラム・ロックですし、山口百恵は歌謡曲の中ではロック的アレンジが多かったように思いますし、タイムボカンシリーズで言えばタイムボカンのメインテーマ曲や、ヤットデタマン・ブギウギレディなんかはブギーロックで、今の好みに通ずる部分を感じます。

全く意識してなかったですけど、子供の頃からロックが好きだったみたい。

しかし、中学二年生のあの日を迎えるまではただテレビから流れる歌を聴いてただけでロックがどうのとか考えもしてませんでした。

3つ上の兄がアースシェイカーとかラウドネスを聴いていましたけど、別に何とも感じなかったです。暑苦しくてうるさい音楽だなあとは思ってましたけど。

そんなこんなで何となく音楽は好きだったようですが、ごく普通の中学生だった私をロックに引き合わせてくれたのが英語の藤川先生でした。

英語の教科書にジョン・レノンの話が載ってたんですよ。愛と平和的な、今の私の中ではジョン・レノンの要素の中で一番興味のない話についてなんですけど。

それはいいとして、教科書の中でラブ・アンド・ピースでいきましょうやという曲ですよと紹介されていた「イマジン」を、藤川先生がテープに録って教室に持ってきてくれて、授業の中で聴かせてくれたんです。

いい曲だな、美しい曲だなと感じました。いい声だなと感じました。先生にテープをダビングしてもらって家でも毎日聴いてました。

そこでジョン・レノンのCDが欲しくなって、小遣いをためた3000円くらいを握りしめてレコード屋に行き、イマジンが入ってるアルバムを探しました。

当時売られてたジョン・レノンのCDの中で、イマジンが収録されていたのは「イマジン」とベスト盤の「シェイヴド・フィッシュ」でしたが、たまたま先に見つけたのは「シェイヴド・フィッシュ」の方で、そっちを買って帰りました。

イマジンの方だったらもしかしたらロックにここまでハマってなかったかも。

家に帰ってCDラジカセにCDをセットして再生してみたら、1曲目が「平和を我らに」で、なんだかよくわからない曲でした。外人の集団がエンヤトットみたいな感じで合唱してるみたいな。

エンヤトットがフェードアウトした次の瞬間、ものすごいファズギターの音色が耳に突き刺さりました。アースシェイカーやラウドネスで歪んだエレキギターの音は聞いたことがあったのですが、ファズギターなるものの存在は知りませんでしたから心底ビックリしました。

カッコいいとか心に響いたとかそういう話じゃなくて、CDラジカセのスピーカーが飛んじゃったのかと思って、あわてて停止ボタンを押しました。せっかく買ってもらった大事なCDラジカセを壊しちゃったと思って心底焦りました。

もう一度再生してみたらやっぱり割れた音で、こりゃ完全にやっちゃったなと思いました。他のCDでも試してみようと、オヤジの持ってたCDを再生してみると、別に音は割れてません。あれ?

別にスピーカーを飛ばしちゃったんじゃなくて、「シェイヴド・フィッシュ」の2曲目がそういう音色の楽器で演奏された曲だとやっと気づけました。

何という攻撃的な音でしょう。こんな激しい、暴力的なギターサウンドが存在するとは。ジャパメタのディストーション・ギターもじゅうぶん攻撃的だと思ってましたけど、その比ではありません。ものすごい驚きとともに、このギターサウンドにどっぷりハマりました。

「コールド・ターキー」のイントロのファズギターのリフにビックリした、それが私にとってのロックへの入り口、原体験だったわけです。

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