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−茶色− ペットボトルにお茶を入れて凍らせて

とっても暑い日に、スポーツドリンクを凍らせたやつを飲んでいたら、
小学生の頃、ペットボトルにお茶を入れて凍らせたやつを持って学校に行っていたことをふと思い出した。

せっかくなので、ペットボトルにお茶を入れて凍らせたやつについての思い出を、とりとめもなく書き残しておこうと思う。


ペットボトルにお茶を入れて凍らせたやつは、前日の夜に仕込む。
空いたペットボトルにヤカンから麦茶を注いでフタをして、冷凍庫に in。

ポイントは2つある。
●絶対に満タンにしないこと!(フリではない)
●冷凍庫にはできるだけ立てて入れること

ひとつめの目的は、開けた時の噴茶事故を防ぐためである。
夏、毎日何人の小学生が麦茶でビショ濡れになっているんだろうか。

ふたつめは、早く液体のお茶にありつけるようにするため。
ペットボトルを横にして凍らせてしまうと、飲み口がお茶氷で覆われてしまい、ちゅろちゅろとお茶氷を舐めるだけという惨めな午前中を過ごすことになる。


さて、翌朝にもひと手間を加えるとより良い。
朝起きたらまず、冷凍庫からペットボトルにお茶を入れて凍らせたやつを取り出す。
そして日当たりのいい窓辺に置いておく。
こうすることで、お茶が少し解けるので、登校中から元気よく水分補給することが可能になるのだ。


そういうわけで、登校中に早速一口目のお茶をいただく。
しかし。皆さんも経験したことがおありだろう。
ペットボトルにお茶を入れて凍らせたやつの一口目は、たいていありえないくらい苦い。
苦いという形容で合っているのかもわからないくらい、エグい味がする。
なぜ、麦茶という健全な飲み物からあんな味が生成するのか、小学生の頃のぼくは本当に不思議に思っていた。

(今なら分かる、あれはモル凝固点降下だ。高校化学で習った。純粋な溶媒と、溶媒に溶質が溶けたものとでは、前者の方が凍りやすい。つまり、お茶成分より水のほうが凍りやすいので、解けている液体はお茶成分が多く含まれているんだ。それにしてもマッッッズいよな、あれ。)


登校してからは、凍ったお茶を溶かす戦いが、教室の随所で繰り広げられる。
戦い方は、凍り具合によって変わってくる。
全体が凍っている初期は、ペットボトルを両手でじっと握って温める。
凍った部分が動く余地が出てきたら、ペットボトルごと振る。
氷とペットボトルが奏でるあの独特な音。ゴパゴパ、のち、シャカシャカ。

たまに、やんちゃな男子が、ペットボトルを机に叩きつけて氷を割ろうとしていて、先生に叱られてたな。


午後になると氷も随分小さくなる。
飲み口から出てきそうで出てこない氷。
シャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカ!!
戦いの末、見事氷を取り出して口に含んだ時の達成感。


中学校に進学すると、なぜかペットボトルにお茶を入れて凍らせたやつの出番は無くなってしまった。
それ以来ペットボトルにお茶を入れて凍らせることも無くなってしまったけど、こうして思い出せてよかったな。


【茶色】ちゃいろ
茶の葉で染めた色。
「◯◯茶」という色名はたくさんあるけど、「麦茶色」は残念ながらない。



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