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健康なときこそ考えるべきこと

先日、父の3回忌がありました。あれから3年の間に後を追うように愛犬が亡くなったり、その生まれ変わりのように我が家に長男が産まれたり…法要の間いろいろと物思いに耽りながら、父が亡くなったときのことを思い出しました。

父の死で精神的に大きな負担がある中での葬儀会社の手配や保険の手続きなど悲しんでいる暇もありません。
我が家は3人姉弟だったので、悲しみでそれどころではない母を同居している長姉を中心に3人でサポートしましたが、それでも随分と大変だったことを覚えています。(特に長姉は世帯主となったり実家の名義人になったりと他にもいろいろ大変だったようです。)

父は癌で亡くなりましたが末期の状態となってもなお、家族の心情としては葬儀やお墓の情報収集などはどうしても考えられませんでした。もうさすがに長くても数週間だろう…と担当医に言われてもなお、積極的に情報収集などする気持ちにはなれません。みんないずれ来るその日を考えないようにと後回しになりがちで、結局ほぼ無知の状態でその時を迎えてしまいました。

ネットで情報収集をしていましたが、出てくる情報はどれも葬儀会社が発進している情報ばかり。情報を見ていくと遺体はどんどん腐敗していくため、葬儀や火葬までのタイムリミットなどもあることをこの時はじめて知ったのでいろいろ検討が足りなかったことも多かったように感じ、父にとって本当によい葬儀にできたのかな、と今でも思ったりします。

なんだか縁起が悪いような気がするし、死の事を考えるのは怖いことですが、残される家族はとてもそんなことを考える心情にはなれないですし、変に節約することが故人にとって悪いことをしているように感じてしまうものです。
だからこそ健康なときに自分自身の最期は自分自身で決めておく事が必要性を父の死から学びました。残された家族の心の負担を少しでも和らげることができるように、この時の経験と共に自分自身の身に何かあった場合のことも考えてここに残しておこうと思います。(家族はこのnoteのこと知りませんが…)

①葬儀会社を決めておく

これがすべてと言ってもいいぐらいかも知れません。
父は自宅で亡くなったので訪問医療をしていただいていた先生と訪問看護、介護の方たちに連絡し、死後の処置(エンゼルケア)をしてもらいました。その合間、母は親族に連絡をしては泣きを繰り返し、我々三姉弟はその傍らで情報収集。この手の情報はすべて葬儀会社の発信記事ばかりで、どこまでを信じていいものか…なかなか値下げ交渉をガンガンに行うような心情でもないですし、時間的な制約があるということもあって、どの情報も騙そうとしているんじゃないかと疑心暗鬼状態。中には葬儀会社の一括見積りサイトなどもありましたが、結局自宅の立地やタイムリミットを考えると近所に斎場を持つ会社が圧倒的に有利で、とりあえず我が家の近くに大きな斎場を持つ葬儀会社(大手)とネットで見積もりを取れる会社にネットから見積もりを依頼しました。
やはり大手はレスポンスが速く、すぐに電話がかかってきて”担当がこれから伺います”という機動力ですぐに自宅に担当者が到着。
もう絶賛疑心暗鬼中なので、とにかくその胡散臭い担当者はこちらを騙そうとしていると決めつけて見積もりの提示や今後の手続きに関する話を聞きました。やはり遺体の安置や火葬場の手続き等の説明を受けると、早めの決断を迫られてしまい、ほぼなし崩し的に大手決めるしかない状況になってしまいました。
それでもネットで他社の見積りをとっていた事で、最低限この大手が相場感から大きく外れてぼったくりではない事を確認できたのはその後の心理的には楽だったように思います。

調べると葬儀の全国平均は約200万とこのとき言われています。数年にわたる父の闘病にかかる費用も年金生活の身には負担が大きく、我が家の貯蓄はほぼなし。父の生命保険料も100万ほどだったのでお通夜はなく告別式のみの一日葬としたり、火葬場までのバス代など無くせるものはできる限り削ぎ落としていきましたが、それでも20万程の予算オーバー。
絶妙に何とかなりそうな金額感で留めるあたりは流石だなと妙に感心したのを覚えています。
そして金額を下げるにあたって互助会への入会が必須とすることで顧客の囲込みも同時に行う。
葬儀会社は斎場を空けたままにしておくのが最も儲からないのである程度斎場の費用などはコストダウンに応じてくれるかわりに、顧客情報を取得することで、以後我が家で冠婚葬祭がある度に互助会効果の割引きを武器に選択肢の中に入ってくるという戦略です。
話は逸れましたが、ここで言いたいのはいざ葬儀会社を決めるタイミングがくると選んでる暇なんてない、という事です。
さらにいうと、家族は少しでも故人が安らかに天国に旅立ってもらいたいと願うので、本当にゴリゴリのコストダウンはしづらく、結果ちょっと無理した金額(保険+香典を当てにする)で決着することが多いようです。

我が家も御多分に洩れず、トコトン削ぎ落とすところまではできず、不足分は香典で充当する事となりました。
実は見積りの中にひときわ単価の高い”エンバーミング”というものがありました。エンバーミングとは体内に薬液を血液の代わりに循環させることで遺体の腐敗を防止することです。
これについて調べてみると様々な意見があり、必要性を疑問視する声も。自宅などで1週間〜10日間安置しておく場合にはやったほうがいいが、1週間以内でしかも葬儀会社の安置場所でドライアイスなどをお棺に入れておくことで腐敗などはなかなか起こりづらいので、かなり過剰な対応であるという意見です。
費用もたしか20万弱とかなりの高額だったこともあり、僕としても不要ではないかと思い葬儀会社担当に直球で聞いてみました。葬儀会社担当曰く、場合によっては腐敗が起こる可能性もあるということ、エンバーミングをすることで親戚や友人と最後のお別れのときまできれいな状態を確実に保つことができる。費用面は全額とは言わずとも他の項目をどうにか割り引くのでエンバーミングは残してください、と熱弁。
最終的には母の最後のお別れのときはきれいな状態でいてほしいという想いが後押しとなり、エンバーミングは実施してもらうこととなりました。

②入る墓を用意しておく

葬儀以降はほぼ葬儀会社がコーディネートしてくれるので、火葬場の手配やその後のお食事等はすべておまかせでした。

一段落ついたあとで、今度はお墓がないという問題に直面。
父は東北出身三人兄弟の次男ということで我が家には墓がありませんでした。が、父も母もお墓のことは全く頭になかったみたいで、何も考えてなかったようです…。

骨をいつまでも自宅に置いておくわけにも行かないので、どこかの法要のタイミングで納骨が必要です。
が、上述の通り保険金はほぼすべて葬儀費用に使ってしまっていたので、我が家にはお墓を建てるお金なんてありません。そこでいろいろと調べてみると最近ではお墓にもいろいろと種類があり、一般的な墓を建てるよりも割安な形で供養できるものも増えてきているようでした。

一定期間供養された後に合祀される樹木葬や特定の施設に遺骨を預ける納骨堂などは比較的コストもかからないものの、一定期間経つと合祀といって他人の骨と一緒に供養されるようになってしまうようです。それ以外にも海洋散骨や山岳葬、宇宙葬なるものまであるそう。最近は少子化問題もあり継承者のいない墓を高額なお金をかけてまで建てるならいっそ生前縁のある土地や趣味などにあわせて海洋散骨や山岳葬、生前の夢から宇宙葬…なんて思い切ったことを考える人もいるのかもしれません。
いずれにしても、これらはやはり本人の希望として残していたからこそ、こういった対応ができるものと思います。家族が勝手に判断するのは故人を偲べば偲ぶほど難しいようにも思いますし、我が家も結局はローンを組んで墓を建てる決断をしました。将来的には我ら夫婦が入ることも考えて…のようです。

他にも母の年金の申請や父名義のものの名義変更など細かなものを上げればきりがないほど大変だったようですが、一番の教訓は自分の死んだ後のことこそ自分で決めておく。ということです。

残された家族にできるかぎり負担をかけないためにも、ぼく自身は以下のようにしてもらうようどこかに残して置こうと思います。

①葬儀はなるべく簡単に家族葬、一日葬で安くすませる
具体的な葬儀会社、プランなどもこの機会にどこかに残しておこう
(お金は生きてる間にちゃんと使いたいから死んでも葬儀費用分ぐらいしか出ない貯蓄型保険は見直したい)

②入る墓は今回建てた墓に入る
せっかく建てたのでここに入る以外選択肢はないかな(妻は嫌がるかな…)

③大事にしていたものもすべて処分してしまってOK
擦れるに捨てられないで放置されて埃かぶるくらいなら処分してくれ


ざっくりこんなかんじでまずはどこかに残していき、なにか思いつく度にアップデートしていけるようなものを作っていこうと思います。

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