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PTAを考える

共働き世帯にとって、PTA活動への参加は頭の痛い問題。
毎年新年度を前に行われる懇談会と言う名の役員決め。なかなか進んでやりたがる人も少ないため、いつも役員を決めるとなるとみんな目を伏せ、なんとも言えない空気が教室を流れるという。先生たちも気まづいだろうに、毎年の禊かの如く、いつになっても変わらない風景と化している。
最終的にはくじ引き等での決定になるようで、共働き世帯は免除になることも多いようだが、それでも6年間のうちに1度は何かしらの役員をやる必要があるという(兄弟がいればその兄弟が小学校在学中に期間が延びるという暗黙のルールもあるらしく、一人っ子の家が優先的に役員をやらなければならない)。
都心とは異なり、まだまだ共働き世帯が多くないからなのか、我が家の地域でこの手の懇談会は母親中心。となると当然PTA活動も母親が中心となる。
これだけ女性の社会進出とか共働き世帯が増えている中で、ここだけは昔から変わらないのはなぜなのだろう。
かく言う我が家もこの手の行事には妻に出席してもらっているが…。
妻は、末っ子が保育園に通えるようになった昨年、現在の職場に契約社員として就職。やっと入社1年という状況なので、数少ない有給をこのような行事に割いている現状で、勤続年数が長いので有給残数が圧倒的に多い旦那の方が積極的に参加しろよ、という声が聞こえてきそうなものだが、ぼく自身この”懇談会”や”面談”には尻込みしてしまっている。
これ以外の子どもたちの参観日や臨時休校日、体調不良時などはできる限りぼくが休むか近所に住む妻の両親を頼っているものの、小学校、幼稚園だけでなく、保育園でも男親が子どもの行事や集まりへの参加が限りなく少ないため。どうしてもハードルが高い。
先生からも「忙しい中わざわざすみません…」と必要以上に恐縮されてしまったり、”学校や幼稚園、保育園のことを知らない”前提でやたら丁寧に説明されてしまったり。何より一番のハードルはママたちのコミュニティ。幼稚園のお迎えや保育参観ですら、ママコミュニティからの疎外感を感じながら出席するのに、”懇談会”ともなればもうそれは地獄。
ただでさえ、人見知りなぼくがママコミュニティに割って入っていけるなんてことはなく、世の中これだけテレワークだのフリーランスだの、共働きが増えてきているのに、母親ばかりこの手の行事に参加しているというのは、実はそういったハードルを超えられないお父さんたちが一定数いるからなのではないか、と推察している。
そんな女性が多い組織にも関わらず、PTA会長などの本部役員は男性が多いような気もするし、“共働きだから”、“兄弟が多いから”、“ひとり親だから”という理由から役員が免除されるというのも、逆説的に“専業主婦なら”、“ひとりっ子なら”、役員をやる時間あるんだからタダ働きしてください、ってことになってしまうのもなんだか違うような…。
このPTAという組織だけがひと昔前から一向に進歩していない、典型的なブラックな組織の臭いがプンプンしてくる。
そもそもPTAの活動はなぜ親たちが無償で(何なら年額会費を支払って)行わなければならないのか、PTAというものはいったい何をしていて本当に必要なのか、親が無償でやるべき活動なのかということを考えてみる。

そもそもPTA活動は何をやっているのか

いろいろと調べてはみたものの、具体的な活動はいまいち見えてこず。
自分自身で経験してみないとなんとも言えないと思うので、機会があれば潜入調査のノリでやってみてもいいかな、と思いつつまだ我が家では経験していないのでひとまずはネットで情報収集。
学校や自治体によっても細かな活動内容は異なるようだが、大きく分けて本部役員と運営委員会(ベルマーク委員、環境委員、地区など)の仕事がある。
学校との連絡や行事の参加、市町村のPTA協議会の出席などの校外との活動に、各委員会の予算配分を行う本部と校内の活動を実際に行う運営委員会は言わば企画と現場のような関係性。これが、企業であればお互いに同じ目標に向かって進むことで利益を上げて…となるようにも思うが、PTAの特殊なところはその全てがボランティアであるということ。
ボランティアによるものであるが為に、やる人とやらない人で不公平さが出てしまい、結果誰もやりたがらないもの、やらないといけないから仕方がなくやるもの、になってしまっているような感が否めない。
役員になっても主体的に動く人がいなければ、改善しようという意識も生まれず、その結果PTA自体がいつまでも昔ながらの活動のまま、誰もいいと思っていないものが継続的に受け継がれていく、という負のスパイラルに陥っているようにみえる。

本部役員の活動

本部役員の中でも書記や会計はまあいいとして、会長、副会長の市のPTA協議会や近隣のPTAとの交流などがいったいどのようなものなのか。ただただめんどくさそうというイメージしかなかったが、HPの活動報告を見るも、新役員セミナーや教育委員会との交流、研修会などばかりで本当に必要なものなのかは疑問だが、自分たちだけでどうにかできるものでもないところが厄介なところ。
本部役員の仕事はどうもこの市の協議会や近隣との交流を変えていかなければ仕事は減らなそう。
本部役員は比較的男性が多く、そのため会議などは土日や平日でも夜行われることが多いようだが、それとあわせて協議会などの活動を行っていては肝心の自分の子供と交流の時間をPTA活動によって奪われているようにも感じる。
こういった協議会などが、時代にあわせた運営を積極的にしていくことがもとめられる。

運営委員会の活動

運営委員会は、親同士の親睦会や登下校パトロール、近隣の清掃美化活動、ベルマークの回収などの実務担当。
パトロールや清掃などは自分たちの住む街のことだし必要なこと(PTAがボランティアでやるべきなのかは置いといて)だが、親睦会やベルマーク委員会は果たして今の時代も必要だろうか。
特にベルマーク委員会。今どき、ベルマークを各家庭から集めて、それをまた仕分けして発送して…みたいなことをしているというが随分無駄なことをボランティアでさせているものだなと思う。
そもそもベルマークとは何なのだろうか。

「すべての子どもに等しく、豊かな環境のなかで教育を受けさせたい」。
ベルマーク運動は、そんな願いをこめて1960年に始まりました。PTAなどのボランティアで生み出された資金(ベルマーク預金)で学校の設備や教材をそろえ、さらに国の内外でハンディを背負いながら学んでいる子どもたちに援助の手を差し伸べます。 マーク集めから始まるだれでも気軽に参加できるボランティアです。
ベルマーク運動は、学校(PTA、児童・生徒)、企業(協賛会社、協力会社)、ベルマーク財団がスクラムを組んで進めます。地域の方々や共鳴する人たちに支えられ、助け合いの輪は大きく広がっています。
               〜ベルマーク教育助成財団HPより〜

この日本において、少なくとも義務教育の中でそこまで大きな教育格差は存在しないようにも思うのだが、これをひたすら続けていく意味はどこにあるのか。
協賛企業においても、パッケージにベルマークをつけなければならないし、PTAはそれを集めなければいけない。単純に売上の○%を教育委員会に寄付とかじゃダメなのか。
せめて、ベルマークをQRコード化してオンラインでポイント管理とかできないのか。
今どき、企業の協賛はベルマーク以外にも沢山ある中でいつまでベルマークを続けていくのか、これはPTAの中でも問題提起していくべき内容であると感じる。

果たしてPTAは不要なのだろうか

ここまで書いて、PTAなんて要らないんじゃないかとも思うが、子供たちが安全に登下校できていたり、地域がゴミだらけでなくキレイを維持しているのはPTAを含めたボランティアがあってこそ。
PTA活動自体をやめてしまうというよりは、時代と共に不要になってきているものは見直して、より必要なものにしっかり焦点を当てて活動していくことや、親のボランティアでは成り立たなくなってきている現状を踏まえて外部への委託(もちろん費用負担は増加するが)などの道も探っていくことが必要なのではないかと感じる。
我が家は3人の子供たちがおり、まだまだチャンスは多いと思うので、PTA役員となる機会がきたときには内側からみたPTAについても考えてみたいと思う。

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