風土記の地名物語――常陸国6
行方郡の2回目は、蛇を神格化した夜刀の神の話です。風土記にしては珍しく時系列に沿った展開がみられ、神秘的な夜刀の神や、見るなのタブーなど、神話的な物語になっています。稲作農耕の広がり、宗教や民俗の側面から見ても示唆的です。
夜刀の神――頭に角のある蛇 古老が次のように語ります。継体天皇の御代(6世紀初め)に、箭括氏麻多智という人がいました。郡役所の西方にある谷の葦原を開墾し、新たに田を造成しました。
この時、夜刀の神が群れを率い、みな一緒になってやって来て、あれこれ