謂名真枝。

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粘膜

こちらを見るでもなく、彼女は勿体も付けず自らそれを脱ぎ去る。 たったの今まで薄っぺらい布切れ一枚によって隠匿されていたその紅く赤く滑る粘膜が無防備に解き放たれ、粘液に塗れた一対の肉襞が照り返す蛍光灯の不自然なただ白い光に僕の目は釘付けになってしまった。 彼女はこんなにもグロテスクな器官を剥き出しにして恥ずかしくないのか?嫌悪と興奮が僕の脳をタプタプ浸らせる程のドーパミンを迸らせ、全身が粟立たち、脊髄を引っ掻くような甘い電流が走り抜け僕の腰を蕩けさせる。 触れたい。 その粘液

    • 釜が破れて行かれない

      土地についた名はその由来在り様を示すと云われる。 茶売が多ければ茶屋町、鍛冶屋が多ければ鍛冶屋町、材木問屋が多ければ材木町。定日に市が立つなら四日市場町や十日市場町。見晴らしの良い地域では国見町と名がつくことが多いそうだ。 近く転居や住宅購入を検討している方なら、サンズイの付く地域はかつて沼や池があって地盤が緩いので地震に弱い可能性があるだとか、田や窪の付く地域は湿気が強い場所が多いだとか脅された人もいるのではないだろうか。 その地の特色、起きた事柄、住んだ人。地域に人が

      • キチガイFUCK傻逼MIERDA教へのいざない

        1.キチガイFUCK傻逼MIERDA教とは?キチガイFUCK傻逼MIERDA教(きちがいふぁっくしゃーびーみえるだきょう)とは、全てに無関心かつ無干渉である神の存在を心から強く信じ、その上で関心を持たずどうでもいい事なので忘れ、思う存分好き勝手に生き、いずれ勝手に死ぬ事を心から強く願う人への教えです。 日本語話者はキチガイ教、英語話者はFUCK教、中国語話者は傻逼教、スペイン語話者はMIERDA教、その他の言語を母国語とし第二言語を持たない方もしくはなんか気に入らない方は好

        • 六題話

          上手な嘘 なまぬるい雨の最初の一粒が僕の鼻の頭を叩いた。驚いて目を瞑ってしまった僕を見て彼女が笑った。目の周りを真っ赤に腫らしながら笑った。もちろんそれを見て僕も笑った。きっと僕の目も真っ赤だった。二人してそうして笑いあった。きっとなにかを言葉にしたら、身体中の大事な物がそのまま流れ出てしまいそうだったから。 だから僕達はしばらくそうして。言いたいことも、言わなきゃいけない事も分かっていたけれど。口を開いてしまわないようにミントガムを噛もうかと少し考えてやめた。そうしたら

          ファティグマの観測地点

          あれが落下してきたんだか隆起してきたんだかは誰も観測していなかったらしい。見事に誰もが外の事なんて一切意識しない午前四時頃の出来事だったようで、まるで意図的に人の意識の隙間を狙いすましたかのように感じる。 うねうねと捻じれ絡まるそれは植物のようにも見えるし、その硬質で所々キラキラと光を返す表面は鉱物のようにも見えた。だがどうやら生物であるらしい。それはもちろん植物も生物ではあるのだろうが、それよりももっと生き生きとして生々しいタイプの生物なのだ。彼なのか彼女なのか、そもそも

          ファティグマの観測地点

          十一題話 8/16

          題:アパート、バーニャカウダ、男梅、浅漬、ぬいぐるみ、ハイヒール、労働基準法、トランポリン、たまりんこ、さくらんぼ、鍵 こんなはずじゃなかったんだけどなぁ。 カーテンの隙間から差し込む朝日が天井を舐めていくのをぼんやりと見上げながらつぶやくと、鼻に擦りつけるようにまたタオルケットを引き上げた。 あとどれぐらいこうしていたら目覚まし時計が鳴り出すのかを確認する気持ちがわかないし、もはや起床時間はとうに過ぎていて、次に聞こえるのは出社確認の電話なのかもしれないけれど、その不安す

          十一題話 8/16

          質問箱回答:TRPGのはなし

          ご質問いただきましてありがとうございます。 以下URLでなんでも募集しておりますので、質問でも相談でも問題提起でもお好きに送りつけていただければ有り難いです。 https://peing.net/ja/iinamaeda 見事なまでに絵文字全滅してて申し訳ないんですけど、むしろ視認性は良くなっているので全国のオジサンたちは絵文字使うの即刻中止しようね。 ということでこれまでのTRPG体験についてだらだらと書いていくことにします。思い出しながらなので時頃なんかは結構適当です。

          質問箱回答:TRPGのはなし

          一時間だけ死や生や幸福や不幸について考えてみる。

          しがなくもTwitterなんぞをやらせていただいておりまして。 そのフォロワーの一人が大変興味深い死生観をお持ちでちょいちょいそれについて言及していたので、僕もなんとなく死やら生というものに少し興味を持って考えてみようと思った。 なので思いつくままにどんじゃば書き連ねてみようという試みだがおそらく死については数行で終わってしまうので、おそらく出生についての所感というのが主な趣旨になるのではないかと思う。 特にしたい主張もなく指の向くままに打ち込んでいくのでとりとめがとりとまな

          一時間だけ死や生や幸福や不幸について考えてみる。

          映画「プラットフォーム」を観たよ。感想(ネタバレになるかもしれない)

          最上層でこの作品に盛りつけられた期待感は、僕らの元に来る頃にはほとんど残っていない。この作品は「自分を善人と思い込んだ狂人が歪んだ信仰の為に暴力を振りまいていくスプラッターマッドネススリラー」だ。 ある日、僕の数少ない友人の一人がこの作品を観て「言い表せないモヤモヤ」を感じたとの事で、どうにも気になった僕はトレイラーを観てみた。 陰鬱な雰囲気、不可解なシチュエーション、豪華な食事とみずぼらしい人物との悪趣味な対比、何かを決意し行動に出る主人公。 予告編の印象から「格差をう

          映画「プラットフォーム」を観たよ。感想(ネタバレになるかもしれない)

          とりうつ:平安フリースタイルとめもりーくりーなー

          とりあえずとりとめもなく文字をたくさん打ち込みたくなったので、30分間とにかくテーマも構成もメッセージも無くいきあたりばったりに書き始めて満足したらある程度修正して表に出してみる、という遊びを考えた。 もしかすると後でおおげさに校正をして見出しなんかを付けちゃったりするかもしれないが、今の所そんなに体系立てた文になるとは思っていない。 まるで即興音楽のような文章なんて表現を使おうと思ったが、僕には別段構文テクニックがあるわけでもなく芸術的な感性もどうにも胡乱なものなのでそん

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