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災害時に備えたラジオどうすれば?

AM放送は廃止されるのか?

NHKは、災害対応などの観点で継続するものの、2波ある放送が1波に統合され、民放は、少なくとも北海道HBC・STVラジオと秋田ABSラジオは残るということで、巷で言われるような全廃ではないものの、全国的に言えばNHKだけになると言っても過言ではない状況ですね。

ワイドFMは?

廃止されるAMラジオ放送の代わりとして、かつてのアナログ テレビ放送のVHF帯ローチャンネルで使われていた帯域も利用した、ワイドFM(FM 補完放送)が、さも受信しやすいかのように推されていますが、電波が弱い地域での受信は、小型の受信機単体では難しく、超小型の受信機単体では不可能だったりもします。

つまり、ワイドFM放送はAM放送の代わりには成りません

超小型ラジオでもAMは大丈夫

「名刺サイズ」に代表される超小型ラジオ本体だけでも、AM放送なら内蔵アンテナだけで大抵どこかの放送を拾えるでしょう。

超小型ラジオの例(ロッドアンテナなし)

名刺サイズよりも一回り大きいハンディ小型ラジオなら、受信性能面で有利であり、うまくすればFM放送も本体だけで拾える可能性が高くなります。

小型ラジオの例(ロッドアンテナあり)

メーカーや機種による差はあるものの、ホーム(据え置き型)ラジオなら、受信性能面で最も有利で、外部アンテナと外部電源を利用できる機種なら、娯楽的にラジオを楽しむことも出来るでしょうが、携帯性は劣ります。

ホームラジオの例(ロッドアンテナと外部電源あり/外部アンテナ入力なし)

超小型ラジオでのFM受信

災害時の備えとしては、AM放送さえ拾えれば取りあえず安心ですが、それだけでは面白くないと思う私は、チョットだけ頑張ってみました。

FM 放送の電波は、波長が平均で凡そ3.6m位あり、実用性の観点で1/4波長、つまり0.9m程度の長さのロッドアンテナが付いていれば、本体だけでも受信しやすいという理屈になります。

しかし「名刺サイズ」に代表される超小型ラジオや、FMチューナー内蔵型のスマートフォンやミュージック プレイヤーなどは、たとえ本体にFMロッドアンテナを搭載できたとしても、小さくて短いもので精一杯です。

では、どうやってFM放送を受信するのかと言えば、ヘッドホン端子に挿したヘッドホン(イヤホン)のケーブル部分を、FMアンテナの代わりに利用して受信しますが、ヘッドホンなし=アンテナなしということでもあります。

もちろん、使用状態にあるヘッドホンは、アンテナとして理想的な状態にはなりませんが、電波が強い地域なら限定的に使えるというワケですね。

携帯電話用FMラジオアンテナ

φ3.5mmヘッドホン端子に挿すタイプの短いロッドアンテナが目に留まり、安かったので遊び半分で購入して試してみました。

携帯電話用FMアンテナ

長さ的には、1/16波長を狙っているようです。

冴えてる方は気づいたでしょうか?アンテナ端子を兼ねるヘッドホン端子にアンテナを挿せば、仮に受信できたとしても、音の出口が無くなることに!

機種によっては、Bluetooth との併用で音出し可能かもしれませんが、それ以外の方法も無いと面白くありません。

ヘッドホン出力を二分配する二股ケーブルを併用し、片方にアンテナ、もう片方に外部スピーカーかヘッドホンを繋げば、一応は受信の構えが整うし、実際に古いスマホやウォークマンでの受信と音出しも確認できていますが、備品がゴチャついて実用的ではないと思いました。

古いスマホでも限定的に受信可能だがゴチャつく

適合する超小型ラジオもある

ヘッドホン端子に外部アンテナだけを挿せば、音の出口が無くなるのは当然だし、もし本体にスピーカーが内蔵されていても、音がミュートされるのは必然ですが、音声出力を本体内蔵スピーカーとヘッドホンの間で切り替えるスイッチが付いていれば、スマートにFMを受信できる可能性があります

これでも一応はアンテナの役割を果たしスピーカーから音を出せた

ただし前項で触れたとおり、電波が弱い地域で、長いアンテナが必要になる FM放送をミニアンテナで受信するのは困難ですが、そこは工夫次第です。

FM放送受信のコツ

基本的には、高くて開けた場所で、アンテナを水平方向に張ります

物干しポールに置かれた金属製の物干し竿のように、適度な長さで地面とは電気的に繋がっていない金属棒や、適度な長さの電線を、出来るだけ高くて開けた場所で水平に張り、それらにアンテナを接触させれば、受信の利得を稼ぐことが出来ます。

外の物干し竿を外部アンテナとして使えば驚くほど明瞭に受信できた

受信のコツさえ掴んでおけば、理想的な受信方法を採れない時でも、周囲の金属物を利用して受信できる可能性が上がります。

AM放送以外も受信できたほうが、メンタル維持に役立ちます。
(AMよりFMのほうが電池消費が多くなる点に注意)

どんなラジオを備えるべき?

小型ラジオ(単三電池式が普通)か、超小型ラジオ(単四電池式が普通)で必要十分でしょう。

ロッドアンテナが附いていない超小型ラジオ単体でのFM放送受信は、前述のとおり限定的ですが、NHKのAM放送さえ受信できれば備えになります。

小型ラジオの例(ロッドアンテナは補修で付け替えてある)

受信性能と電池容量(持続時間)は、ラジオ本体と電池が大きいほうが有利なので、お住いの地域の電波状況や、想定する孤立期間、非常用の持ち出しセットの容量に応じて選べば良いでしょう。

手回し発電できるラジオもありますが、手回し発電の手間暇と本体サイズと重量に見合ったメリットはあるか?(予備電池を複数もっていたほうがマシではないか?)家屋崩壊などに巻き込まれて負傷し手回し操作できなくなる恐れはないか?といったことも含め総合的に選びましょう。

手回し発電ラジオの例(ロッドアンテナあり)

因みに、スマホを持ってればラジオは不要だとは思わないほうが良いです。

というのも、電話とネット回線は運良く切れ切れで繋がるとしても、電池の持続時間が短いスマホを数日間以上も稼働させるには、誰かが載せてくれたネットの情報を探しに行く割合を減らし、省電力で情報をプッシュ受信する専用ハードに分担させる他ないからです。

手持ちのラジオを活かそう

さわざわ新規購入しなくても、死蔵しているラジオがあるなら、復活させたほうがエコノミーでエコロジーかと思います。

大小様々あったラジカセは、言うまでもなくラジオを内蔵しているし、小型カセットテープレコーダーやカセットプレイヤー(ウォークマン等)にも、ラジオが内蔵されている機種が一部ありました。

小型ラジカセの例(ロッドアンテナと外部電源あり)

カセットテープの駆動メカは故障していても、ラジオ機能が生きていれば、ラジオとして使うことが出来ます

アルカリ電池の入れっぱなしによる機器の液漏れ損傷は、軽度なら洗浄で、重度でも洗浄と補修で大抵は復活できます。

液漏れ跡の洗浄前

スマホやミュージック(mp3)プレイヤーは、ラジオ内蔵タイプであってもFM限定であり、前項で述べたように、ヘッドホンのケーブルがアンテナを兼ねる構造であるため、受信性能や使い勝手は専用ハードに及びませんが、適合する充電ケーブルと併せればUSB充電できる本体は、非常に小型軽量で嵩張らないので、都市部住まいの人にはマッチすると思います。

ウォークマンでも限定的に受信可能だが電池持続時間も厳しい

内蔵されているリチウムイオン電池は、長期間の過放電で死んでいることが多々あるし、満充電放置でも電池寿命が縮むので、電池が生存していても、満充電放置は避けましょう。

小型テレコの現代版として、ラジオ付きICレコーダーもありますが、FM専用であれば、前述のスマホやmp3プレイヤー等と同様の話になります。

電池はコンディション維持が意外と面倒

手回し発電ラジオも、内蔵電池の生存を確認しておきましょう。

乾電池は?

ラジオ本体にセットしたまま備えておくなら、電池の液漏れでラジオ本体が損傷するリスクを減らすため、自己放電を抑えて長期間保存できるタイプのニッケル水素(Ni-MH)電池にしておくのが最善でしょう。

保存性が強化されたNi-MH電池の例

最近は、アルカリ電池も保存性を上げたタイプが売られていますが、万一の液漏れ時のダメージに備え、パッケージのまま予備として備えておけば良いでしょう。

電源がプッシュスイッチ式になっている機種は、待機電力による電池消耗に対応し、電池の入れっぱなしは避けるか、時々点検したほうが安心です。

被災地の特性に応じよう

津波は来ずとも土砂災害や洪水などで陸の孤島化しやすい内陸部集落では、生活インフラが絶たれ、家屋も倒壊した状態で数日間以上も救援の手が入らない事態に備え、ラジオを含む個々の装備と避難所の備品は、とにかく充実させておくべきです。

津波浸水だけでなく、唯一のアクセス道が寸断されて陸の孤島化する特定の海岸地域では、まず津波避難が優先され、その時点で自宅の生活インフラは頼れなくなるものの、津波避難タワーや高台の避難所に避難できれば、他の人達と助け合うことが出来るので、ラジオを含む非常用の持ち出しセットは小型軽量であることが望まれますが、広域が一度に被災する南海トラフ地震では、数日間以上も救援が来ないものと想定し、避難所の備品は充実させておくべきです。

想定される津波高

津波浸水と家屋倒壊と地盤液状化と火災が一度に起こりやすく、河川氾濫による浸水被害も受けやすい海岸寄りの平野部地域では、陸の孤島化こそ免れても、人口の多さゆえに避難所不足も深刻であり、非常用の持ち出しセット内容は決め難いものがあります。住宅難の長期化も見据え、引っ越しを含む衣食住の再建プランを練っておく他ありません。

洪水による浸水被害

浸水、家屋倒壊、地盤液状化、地盤沈下、地滑り、土砂災害、火災といった諸災害に巻き込まれない幸運な自宅であれば、自宅に居続けることも出来るでしょうが、それでも水道・電気・ガスといったライフラインと救援は数日間以上も絶たれるものと想定し備えなければなりません。

災害列島に於けるラジオ

一言で「災害」とは言っても、短時間の停電や家財損壊くらいで済む軽度の災害から、戦争以上の損害が発生する南海トラフ地震まで様々。

その南海トラフ地震は、室戸岬の隆起沈降量と間隔のデータに照らせば、2030年代の半ば頃に室戸沖の固着域が限界に達しそうだと言えます。

室津港地震時の積算隆起量

これは私の独自見解ですが、四国沖などに存在する固着域は、フィリピン海プレート上に点在したまま陸のプレート下に潜り込んだ、緩やで大きな海山によって形成されており、巨大地震で動き滑る度に摺り減って引っかかりが弱くなる一方で、海山上に載る重さは少しずつ増加して固着を助ける方向に作用するので、トータルでは地震間隔が少しずつ短くなりながらも、数千年間は概ね過去と同ペースで続くのではないか?と考えています。

つまり、室戸沖は、予想通りに動くのではないかと。

気象庁が毎月発表する「南海トラフ地震関連解説情報」は、地殻変動などのデータから、南海トラフ沿いの大規模地震の発生の可能性が平常時と比べて相対的に高まったと考えられるか否かが発表されるので、時々覗いてみればチョット安心でしょう。

そんな中で、過渡的な情報源の一つに過ぎないラジオは、小さくてお手軽な備えですから、あなたの居住地や勤務先を含む主な行動範囲の状況に応じて検討や準備、見直しされてみては如何でしょうか(^^)

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