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ターゲットは500万人の観光客!ポケットサイズのパスポート型ガイドブック

日本三名園の一つ「兼六園」。いうまでもなく、石川県きっての観光名所です。

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その入口へと続く紺屋坂(こんやざか)周辺には土産物・飲食店が軒を連ね、ソフトクリームを食べたり、九谷焼やお菓子選びを楽しんだりする人で賑わっています。いくら名園といえども「見る」だけでは物足りないですからね(^-^)

石川きっての観光地の″門前町”に足りないモノ

今回登場する金沢城兼六園商店会は、この紺屋坂を中心に広がる約30店舗の商店街。わかりやすく言うと“兼六園の門前町”のようなものだと思ってください。

パンフレットを制作した2019年当時、金沢城兼六園商店会(以下、商店会)をトータルにPRするツールは無く、ペラものの地図があるのみ。たしかに当時はコロナ禍前で、兼六園と金沢城公園を合わせて年間500万人もの観光客が訪れていたため(※)、積極的にPRせずとも客足は十分でした。        ※「金沢市観光調査結果報告書2019年」(金沢市)

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一方で(だからこそ)、情報発信は個店まかせに終始。商店会会員の中では「一致団結してPRすることで、さらに魅力的かつ効果的に商店街をPRできるはず。何か面白いコトはできないか…」という機運が高まっていました。

春の花見の時期に合わせてぼんぼりを設置したり、観光客がひと休みできるようにベンチを設置したりと、ハード面の整備は徐々に整っていましたので、次はソフトです。

「商店街の特徴や店舗情報を1冊にまとめたパンフレット・冊子を作る」ことは決まったのですが、問題はどんなコンセプトにするか。一概にパンフレットや冊子といっても、商店街の特徴や客層によって作り方も変わってきます。ほかとは違う、商店会の特徴は何か……。

ずばり「県内一の観光地にある商店街」!これに尽きます。

となれば、ターゲットは当然観光客になるワケです。それも年間500万人もの!

年間500万人の観光客に向けた提案とは?

さっそく現地に赴き、観光客の動向をチェック。スマホにカメラ、バッグにおみやげの袋と、みなさんとにかく手荷物が多い!それを踏まえて、以下の仕様にすることを決めました。

◆おみやげを買い、食べ歩きを楽しむ人にとって、大きなサイズのパンフレットはかさばるため、上着のポケットやハンドバッグに入るA6サイズに
◆割引やプレゼントなど、各会員店舗の「おもてなし(特典)」を掲載。該当店舗で商品購入・食事などをすると、特典が受けられるように。
◆巻末に周辺の見どころを紹介する「てくてくマップ」を掲載。見落としがちな見どころを紹介することで、兼六園だけではない、周辺のスポットにも足を運びやすく。

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名称は「金沢城兼六園おもてなしパスポート」に決定!会員店舗のほか、金沢駅観光案内所や金沢21世紀美術館、周辺ホテルなどにも設置し、観光客が手にとりやすいようにしました。

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商店街の特徴に合わせ変幻自在に

兼六園周辺の店舗ガイドブックであり、クーポン冊子としても使える。二つの機能を持たせたことが奏功したのか、「おもてなしパスポート」はどんどん無くなっていきました(うれしい悲鳴)。カフェでは待ち時間に手に取る人が多く、何度も補充が必要になったほどです。

なんといっても、会員店舗が互いにお店を紹介し合う「横のつながり」が強化されたことが一番の収穫でした。店舗間のコミュニケーションと回遊性の向上。これこそ本企画がめざしたゴールなんですよね。

また、通常のガイドブックや観光パンフレットはいわゆる「年度版」が多いのですが、商店会の店舗では季節ごとにおすすめのメニュー・商品が替わることが多いため、7月・10月・1月・4月の年4回発行することに。パスポートサイズにして印刷費を抑えたことで、小回りが利いたのもよかったですね。

兼六園ぱすぽーと

商店街ガイドブックとしては、以前に紹介した「人(店主)にスポットを当てた冊子」とはまるで異なるアプローチになりました。

商店街を取り巻く環境によって、PRの仕方は当然変わってきます。「臨機応変、変幻自在」に、最善な方法は何かを考え、実行する。つまるところ「それが一番大事♪」なんですね(大事MANブラザーズバンド風に)。

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