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中森明菜のミ・アモーレ、その魅力

「好きな曲(ジャンル問わず)をプレゼンしてください」というマシュマロを送って下さり、ありがとうございます。
例に漏れず1000字を超えてしまいましたのでこちらで投稿させていただきます。

僭越ながら、中森明菜さんの「ミ・アモーレ」についてプレゼンさせていただければ。

中森明菜といえば、松田聖子と対を成す稀代のDiva...
名曲は数あれど、私は彼女の曲の中でミ・アモーレが1番好きです。
それは彼女の表現力が最も遺憾なく発揮されていると感じるからです。まず、曲そのものが大変素晴らしい。情熱的かつ刹那的な歌詞、それに見事に風景をつけたラテン調の曲。
ひとりの女性が異国にやってきた。多くの人々が熱狂する夜のカーニバルの中、花火が打ち上がり、人混みの中、ひとりの男性を見つける。運命に導かれるように、胸は高鳴り、その気持ちはサンバのリズムと共に最高潮に達する。
彼は伸ばされた指先に応える。一度手を取ってしまえば夢の中。そう、これは夢だから、そんな言い訳がほしい。今夜だけだから...

といった内容で、男女の刹那的かつ情熱的な夜を唄った曲が大好きな私にはたまりませんでした。特に女性視点というのがいいです。私は追っかける女が好きなので。この出会いが旅先での偶然の出会いなのか、外国まで追っかけにきたのか、どっちでも美味しくいただきます。

そして何より。明菜の他にこの曲を上手く表現できる歌い手がいないのが面白いところです。色んなcoverを聴きましたが、(現在の明菜でさえ)この曲の情景や登場人物の感情の揺れ動きを表現しきれていないのです。
ここまで読んでくださった方はまずサブスクでもようつべでもいいので、1985年のミ・アモーレを聴いてみてください。(もちろんおすすめは動画です)

https://youtu.be/VtDt3wyXaWg?si=MfMMl2q1cBHQ3pik

https://spotify.link/Ja0IUK84zJb

聴いていただけましたか?
ここからは彼女独特の歌唱表現について主に2点に絞り、思うまま書き散らしていきます。

①低めの囁くような声
明菜の持ち味はやはり低音にあり。そこに囁きがプラスされることで、まるで耳元で直接囁かれたように歌詞がグサっときます。ミ・アモーレはほぼモノローグ的な歌詞ですが、この歌い方はとても効果的に聴衆を感情移入させてくれます。
1番冒頭「あなたをさがしてのばした指先が」から効いている!!!
イントロでトランペットがバチバチに鳴らしてテンション上げてきているところに、この入り。物語が始まる予感がします。
私の1番好きな歌詞が、
2番冒頭の「パレードの向こうにあなたを見つけたわ
夢からさめていくように立ちつくす街角」なのですが、この本当に彼しか見えていない放心状態のような、でも同時にウワーーー!!!とゾワゾワとする歌い方(と佇まい)。歌を聴いてるというより、何かドラマや映画を観ている気分になってしまうのは私だけでしょうか。
ちょいと皆さんもミ・アモーレで1番好きな歌詞教えてくださいな、マロで。

②いきなりのf(フォルテ)での豊かなロングトーン
先述の囁き低音からの、いきなり音量が上がって同時に音も高くなって、なぜこんなにも豊かに響かせられるのか...????
声楽的なことは一切わかりませんが、まるでホルンのグリッサンドのように感情の昂りが一気に放出される瞬間。
聴いていてとてもスカッとします。(「十戒」はまさにこれを存分に活かしてくれてますね)
ミ・アモーレでは、胸のときめきを抑えられずに決壊したかのような、"もう止まらない!この瞬間を逃したら一生後悔するから!"とパレードの混雑に身を投じて、必死に人をかき分けていく姿が見えてくる。というか、ああ、そうするんだねと納得させられちゃいます。

その後のサビの展開を受け入れちゃうんですよね。もう、そのあたりはバックバンドもサンバホイッスルやらコンガやらトランペットが、リオの恋人たちと共に盛り上がっていきます。

明菜は①と②を巧みに使い分け、他にも、歌詞の一節の中でつける瞬間的アクセントがリズム感の良さと共にこちらを揺さぶってきます。

最高だ、明菜、ミ・アモーレは君にしか歌えないんだ......

長くなりすぎました。
あとは各々、自分なりの解釈で楽しんで聴いてみてください。
主に歌詞と歌い方について述べただけですので、ぜひ振り付けや明菜の眼差し、毎回変わる衣装にも射抜かれましょう。
これからのアツい季節にピッタリの名曲です。

最後に。当時の歌番組は生のバックバンドが音をつけていました。叶うことなら明菜のバックでトランペットを吹きたい人生でした。

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