見出し画像

初心者法務の人にこそ「択一六法」をおすすめしたいと言う話

唐突だけど、私は択一六法が好きです。(通称:択六)

全く読んだことない人に択六を一言で説明すると、条文が1文ずつ書いてあって、その細かい文言の解釈や関連する判例が載っている、受験用の逐条解説みたいな本です。多分、愛読書に挙げる人間はなかなかいないと思う。

でも、私は択六が好きです。

どれくらい好きかというと、前職で沖縄赴任になって友達もおらず暇な時に、孤独に耐えるために民法・憲法・刑法の3冊を購入して、夜な夜な読んで孤独を紛らわしていた位大好きです。

(そろそろバレていると思いますが、多分普通に変人です。)

大学生の頃に出会って、「1冊持ち歩けばその法律のことは載っている」という手軽さに惹かれてからはや数年。
今となっては司法試験も予備試験も目指していないのに、もはや条文を引くだけの目的で、六法替わりに使っている始末。

ちなみに「私が知る中で、このこの厚さでこの値段は1gあたりの情報のコスパが最強すぎる」とインタビューで愛を語ろうとしたけど、記事が掲載される先がオンラインで法律図書読み放題のサービスをやっていたので、0gのオンライン情報には負けるじゃんと思ってそっと口を閉じました。

その時のインタビューはこちら(偉そうに、おすすめの本を語っていますが、もちろん択一六法も無理矢理入れてもらいました。インタビュアーさんが驚いていました。)

最初にちょっとだけ真面目な話をすると、法務をやっている以上は弁護士さんとの関係性は避けて通れないので、司法試験でどういう知識が求められているのかくらいは知っておいて損はないと思うし、やはり民事をやるなら基礎の基礎である民法くらいは自分の中の軸として通読しておきたいなと言うのもあります。

条文の通読は大事だと思うのですが、そのまま読んでも初心者・初学者だと「何をそこから学べば良いのか」「どの単語の解釈が問題になるのか」のような「勘所」が分からないので、普通に民法を1050条読むよりは、択六をある程度区切って読んだ方が、理解も楽な気がします。

多分毎年はやりすぎだけど、法務なら一度は通読とか、せめて債権だけの通読は、やっておいて良いんじゃないかな?とは個人的に思っています。

法務の勉強は基本書とか実務署に頼りがちだけど、特に初心者法務の方には司法試験等の資格試験のテキストは、導入教材としては結構良かったりするのでおすすめです。

資格のために、初めて法律を勉強する人向けの本なので当然分かりやすいのですが、これが法務担当になるといきなり「契約実務の云々」のような本をおすすめされて、そこから着手したりするから不思議。

学問としての側面も強い「法律」を学ぶには、やっぱり根幹となる民法だけでも、ちゃんと体系的にやった方が良いと個人的には思っています。

是非、最初の導入として、初学者向けの資格試験の本も選択肢に入れてみてください。特に民法は、どの資格でも書籍が出ているので、自分にフィットしたものが出てきやすいと思います。

さて、まじめな話はここまでで、ここからは完全に、択六と私の思い出の話をするので、ここまで読んでいただければ大丈夫です。お疲れ様でした。

択六のいいところはたくさんあるのですが、まずは厚さを企業努力で抑えているとこだと思うんです。

私が思うに、自分が大学生だった頃は、もう少し紙が分厚かった気がするんです。あと、表紙ってカバー式じゃなかったですよね?ね??

だから、民法改正の時に、流石にこれ以上を1冊にまとめることは無理かな...分冊になるのかな...と思っていたら、紙を薄くしてちゃんと1冊にまとめてきた。いや、LECの担当者さん...すごい。
(でも、表紙は前の固いものの方が好きだったなぁ...)

そして択六との一番の思い出は、社会人2年目で行政書士受験をした時のこと。

行政書士を申し込んだ後に、やっとこさ受験勉強始めた私に、当時の司法書士事務所の先生が「とりあえず試験までに択一六法を一周すれば満点取れる」と薦めてくれたんですよね。

まぁ、今思えば、絶対にそこまでする必要なかった。

でも、当時は素直に、言われた通り本当に1周通読しました。しかも、行政法じゃなくてなぜか民法を通読しました。事務所に進捗を公開していて、毎日終業後1時間居残りして通読していたので、最後の日には、先生もめっちゃ驚いてました。「本当にやったんだ...」って。

この期間、本当に昼休みもお風呂も寝る前も、本当に択六をず〜〜〜っと読んでたら、結果としてあっさり行政書士に合格できたので(もちろん他の勉強もしてたけど)その結果「一番大変だったこと=択六通読のおかげだ!!」という刷り込みが起きて、きっとそれも今までずっと好きな要因だと思います。

そして何より択六は、読破した時の達成感がたまらない。特に社会人になってからは、知識のつまみ食いが多いので、なおさら「ちゃんとこの法律を一周したぞと。」という達成感を求めて読んでいます。あとは、友達がいない地域に飛ばされた時とかに、「人間関係は変わっても法律は変わらない」ことを確認して精神を安定させるためとかも、非常に有効でした。

なんだろう、摩尼車と同じ原理で、毎年心を込めて一周読むことが祈りのような感じ。択六を読めば、山奥で勉強していた日々とか、事務所で居残って勉強していた日々とか、那覇のマンションで一人で苦戦していた頃を思い出して、それこそ原典にかえれる気がするんです。もはや多分信仰が入っている。

ちなみに司法書士事務所時代に会社法も通読したのですが、これも割と図での整理が多くて、理解しやすくて良かったです。

さて、8月末〜9月には択六の2022年版も出されるので、また新版が手に入るのが楽しみですね!!!

最後になりますが、新人法務の方へのおすすめ本のインタビューを受けさせていただいたので、ぜひこちらも合わせてお読みください!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?