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私の仕事がマンネリ化した原因は、仕事に直接関係しない情報のインプット不足だった、という話。〜「凪」の時期の過ごし方〜

一人法務は大体忙しく、さらに総務やらPRやらを兼務しているので年中バタバタしている私ですが、実は10月中旬に一瞬暇になった時間ができました。「暇」というよりは、仕事がマンネリというか、定常業務を繰り返す日々に思えて、凪のような状態になり、急に仕事がつまらなくなるタイミングがありました。

今振り返ると、一人法務として入った時は会社に課題が山積みで、それらをモグラ叩きのように潰して回るのに精一杯でした。そしてそこから一年半。自分の今の能力で見えている範囲の問題を潰し終わった結果、定常業務はたくさんあり毎日忙しいのに、一瞬「仕事がつまらない」という状態ができてしまいました。

当時は色々と凪の時期に悩んだり、試したりしたのですが、今回はその時期に「やって良かった!」と思えたことをご紹介します。

「分かりやすい問題」を潰し終わると、凪が来る。

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私の場合、法務が専門の者として一人目だったので、入社してから最近までは「自分から仕事を作る」ことをしなくても、仕事は社内から無限に湧いているような感覚でした。

「一人目のXX」としてベンチャー企業に入社した方には共感してもらえると思うのですが、目の前にやりたいこと・やるべきことが大量に広がっていて、さらにモグラ叩きのように課題や問題がぴょこぴょこ出てきて、それらを必死にポコポコ叩くことすら終わりが見えない状態でした。

ただ、一年以上頑張ってモグラ叩きを続けていると「分かりやすい問題」についてはかなり減ってきました。一方で、ある程度型として整理した定常業務はどんどん増えてきました。気づくと、新しい問題を認識できていないのに、維持するための業務を何とかして回している日々。

今振り返ると、今回の「凪」が発生した原因は、とにかく目の前の業務を回すことを優先しているうちに、業務に直接関連しない情報のインプットがなくなり、視野が狭くなり、目の前にない潜在的な問題が見えなくなっていたことだと思います。

こうなると、これまでは湧き出てきた「分かりやすい問題」に対処すれば良かったものが、「法務に専門性があるからこそ気づける問題」を自分で見つけ出して、対処する必要が出てきます。そして当然、この専門性が必要な問題については、社内の誰も運んできたり相談してくれたりしません。

法務の知識なんて、日本法に限っても「全ての法律を網羅している」人はこの世に存在しないくらい、理解にも時間がかかればいろんな法律が存在します。その中で「完全に情報を把握して不安のない(=暇な)状態」が訪れるということは、それは自分が見える範囲で満足しているに過ぎない、ただのインプット不足による慢心なんだな、と凪の時期を抜けた時に、改めて反省しました。

凪の時期には、自分のアップデートが必要

凪の時期を苦しんでいたちょうど同時期に、PRの仕事の一環で「自社noteの立ち上げ」をチャレンジしてみることになりました。今まで色々と兼務はしていたものの、「別の専門性のあるメンバーの指示で、自分には専門性がない仕事をする」ような動きは初めてだったので、PRの大西さんの仕事のやり方を完全に盗む気満々で参加しました。

note編集長ことPRの大西さん🦁

🦈<今頑張って立ち上げている弊社noteも是非


また同時期に他のCorpメンバーの目標の立て方や仕事の仕方を盗み見たり、素直に教えてもらったりしていると、私以外のメンバーはもぐら叩きの時点から「理想のXX(PRとか人事とか)」を描いて、それに現実を近づける作業をして、理想に現実が近づいたら理想のXXをアップデートする、を繰り返していることが分かりました。

それに対して、ベンチャーも企業法務も初めてだった私は、とりあえず目の前に山積みの仕事を捌くことに集中していて、そのために必要な情報をその都度キャッチアップしているので、気づいたら捌き終わって迷子状態になっていました。

もちろん一人法務として、自分の知識をアップデートして、アップデートしたことで同じ契約書や事業でも見る視点が変わって...というサイクルは繰り返していましたが、もっと引いた視点で「弊社の法務はどういう存在になるべきか」について考えるための、業務に直接影響しないインプットは後回しになっていました。

一人法務だと、組織論とかはあまり仕事に影響がないと思ってしまっていたし、とにかく目の前の山積み課題を倒すための実務の勉強が最優先なので、業務に直結しない情報がどんどん後回しになります。それ自体の優先順位付けは間違っていなかったと思いますが、結果として今のタイミングで業務に直結しないインプットもどんどん入れないと、組織が求めるレベルに自分が追いつけない!!というのが私の出した結論でした。

改めて、法務って良い仕事をしようと思うと、どんどんインプットする情報が増えてきて、すごい仕事ですね...苦笑

インプット!インプット!!インプット!!!

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ということで、最近は「理想の法務」についても考えるために、あまり今まで読まなかったタイプの本とも格闘しています。そのうち「そもそもルールとは?」というところに行きついて、大学生ぶりに憲法を勉強したりしています。恐らく、他社で法務経験がある人であれば「理想の法務」についてはもっと簡単に描けるだろうし、かなり遠回りはしていると思うけど、結構その遠回りが楽しくなってきている最近です。

例えばプライバシーの権利と個人情報保護法ってどう関係するの?とか、AIが憲法問題になることはあるのか?みたいなざっくりした問題を設定して、自分なりの仮説を作って、法務の知り合いにぶつけてみたりして、そこで得た知識が業務で使えたりもするし、それを繰り返す時に「そもそも法とは?ルールとは?」みたいな分野について考えることで、理想の法務像が描けていくのではないかと思っています。

あとはやっぱり、目の前の業務との兼ね合いだけじゃなくて、自分の法務としての知的好奇心を満たし続けていくことって大事だなと。これは弊社のエンジニアを見ていて思いました。一見、自分の知的好奇心と業務は直結しないように見えるけれど、幅を広げることで見えてくる世界が変わる・できることが増えると、回りに回って仕事に生かせる部分が増えてくるはず。最近は、休みの日もプログラミングしているエンジニアを笑えない状況です

という感じで幅広く手を伸ばしているうちに、気づいたら見える問題もちょっとだけ増え、社内で新しい問いもたくさん発生し、今はちょっと信じられないくらい忙しいのですが!笑

ということで、色々と悩みながらも進んでいます。法務になって現在1.5年生くらいなので、法務2年生に向けてまだまだ頑張ろうと思います!!

さて、来月はアドベントカレンダーへの投稿が2つあるので、年内あと2記事頑張って書くぞ〜〜(白目)

おまけ:凪の時期に読んで良かった本をご紹介

法のデザイン
私が扱っている「ルール」とはそもそも何なのか?企業法務が社会に対してどう貢献していけるのか?みたいなことを考える際に、非常に参考になりました。あの、私の言葉では良さが伝わりきれないのですが、法務に関係する人は絶対に!!!読んで損しないと思います!!!

事業のための逆引きビジネス法務ハンドブック
まだ全ては読めてないのですが、冒頭の「事業リスクの考え方」については目から鱗でした。きっと法務に先輩がいたら最初に教えてくれるだろう!という内容が載っている気がします。あと参考文献が丁寧に載っていたので、まだ弱い分野でのこれから勉強する本探しにも役に立ちそうです。

自分の頭で考える日本の論点
他の人ってどうやって「問い」に対する「答え」を作っているんだろう?と思った時に読んでみた本。作者の方の思考回路が覗けることで、自分で何かを判断するときに、考え方の参考になりました。

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