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2019.9.22

 ある国の年老いた王様は、その日も「教え」を待ちながら「ゆううつ」に過ごしていました。

 自室に閉じこもったまま、豪華な食事はそのまま下げさせ、はるか遠方から来た訪問者にも会おうとしません。

 王様の8番目の娘が目覚めなくなってから3年が経ちます。なぜ目覚めなくなったのか?家臣たちは方々に走り、娘を目覚めさせようと手を尽くしてきました。しかし、どんなまじないも医療も芸術も、娘の目を覚ますことはありませんでした。
 いまでは、日に日に顔色の悪くなってゆく王様を国中の人たちが心配するようになりました。

 夜のバー、カウンターでたまたま隣合わせになった女にそんな話を聞いた。
「3年も経つし、もう半分以上あきらめてると思うのね」とグラスを片手に彼女は言う。「この国に来るのは久しぶりのことだから、そんなことがあったんだね」と私は応える。「何してるひとなの?」と彼女が聞く。「ブラブラと世界を回ってる途中なんだ」と私は応える。「途中なんだ」と彼女は言って、グラスの残りを飲み干す。「もし、あの子を目覚めさせることができたら…」と彼女が続ける。「莫大な報奨金がもらえるみたいよ」

 次の日の昼、宮殿の前に立つ。王様の8番目の娘を目覚めさせる為、何ができるか考える。まだ酒の残る頭が思考を邪魔する。門兵に「娘さんを起こしに来たんだけど、会えるかな?」と確認し、IDなど細かくチェックされた後、娘の眠る寝室に通されることになる。

 さて、どんなものか。と寝室のドアを開けると、3年寝続けたとは思えないほど、美しいままの彼女がベッドに座り「遅かったわね」と私に微笑む。

というところで目が覚めた。地域のお祭りの朝。

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