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「国債60年償還ルール」解題

 経団連のシンクタンク21世紀政策研究所より政策提言報告書「中間層復活に向けた経済財政運営の大転換」で大いに話題になったのが,会田卓司氏の「ワニはいませんでした」論です.

 要約すると,日本の一般会計では歳出に「債務償還費」,歳入に「借換債」を含めている.多くの先進国ではこのような予算の表記を行っていない.どうせ借換をする償還についても予算に明示していることで「公債費」と「公債発行額」がともに過大に見えてしまっている.借換をする債務の償還費を除くと,「歳入・歳出のワニの口」なんて存在しないよというもの.

 この話のミソになるのが,国債の「60年償還ルール」.今回は60年償還ルールの解説,このルールが無意味であること,一方で60年償還ルールがなくなっても劇的に何かが変わるわけでもない(ない方がましではある)ことなどを説明します.


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