外為特会をめぐるメンドイお話
さて過日も本欄で言及しました,為替介入を巡る利益の話.先月22日におよそ3兆円の規模で行われたドル売円買介入の利益だけではなく,外国為替資金特別会計(外為特会)そのものの含み益活用の話になってきました.
まさに「離れですき焼き,母屋でおかゆ」(塩川正十郎財相)の名言が令和の御代によみがえった瞬間です.これに対して岸田首相は「外為特会保有の外貨資産、経済対策の財源に使うのは適当でない」と反論していますが……ダメです.
これについても玉木氏の反論がクリアです.「外為特会の運用益は毎年の"当初予算"の財源に使われて」います.また,2011年度予算と2017年度予算でも余剰金の全額繰り入れを行っており,かつ当時の麻生財相もその影響は大きくないと言及していました.
毎年のように行われ,余剰の全額繰り入れにも前例がある.にもかかわらずこれを「やらない」というのは「やりたくない(財政拡大したくない)」という選択でしかありません.
ここまでがオモテのお話.その一方で,外為特会の余剰を財源とした財政出動を推す声には論理的な一貫性を欠くものが少なくありません.賛成だからこそ,しっかりと「外為特会の余剰金を用いて財政出動を行う」というのが「何をすること」なのかを把握・理解しましょう.
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