NFTの問題点を整理しつつ、批判に反論していく。
CryptoNinjaのイケハヤです。
ここ最近、ぼくのところにも「アンチNFT」的な人たちからの罵詈雑言が届きはじめてます。
ぼくが観測する範囲において、以下のような論点が見受けられます。
1. 環境に悪い
2. NFTはただのJPEGだ(原画の所有権はない)
3. NFTは投機にすぎない
4. NFTには使い道がない
5. NFTは法的に整備されていない
6. NFTは税制が不明確だ
7. NFT煽り屋に煽られてクリエイターが潰される
8. NFTは盗作だらけだ
9. NFTはマネロンに使われる
10. NFTは詐欺に使われる
11. NFTは庶民のものではない
12. NFTはクリエイターを搾取する道具だ
たしかにNFTには問題点もあります。なので、冷静に整理していきましょう!(最後に行くほど雑になります)
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1. NFTは環境に悪い
まず、海外で非常に大きいのがこの批判類型。
NFTは環境に悪い!
……らしいです。えぇぇ?マジで!?
これはもう完全な印象論であって、個人的には全力でスルーすべき話だと思ってます。
無視できない勢力だから難しいんですけどね……でも、彼らの批判には根拠らしい根拠は見当たりません。
ブロックチェーンの電力消費について、具体的なデータを載せると、「Bitcoin Mining Council」のレポートがわかりやすいです。
2021Q3のレポートでは、ビットコインの消費電力は、世界の電力消費の0.12%とのことです。
イーサリアムの電力消費はビットコインの1/5程度らしいです(参考)。
イーサリアム全体で、世界電力の0.03%を消費しているとします。
で、多めに見て半分はNFTだと考えると、世界電力の0.015%程度がイーサリアムのNFTに使われている……と考えると、そう大きなズレはなさそうです。
イーサリアムはたしかに電力を消費しています。
が、それが地球環境に大きな悪影響を与えるほどであるかというと、「人類全体の0.015%程度」という数字を考慮すると……特にそんなことはないんじゃね?と思う派です。
言うたらネット使ってる時点で相当電力使ってるわけで……。
なんなら法定通貨だって、維持管理するためにエネルギー(軍事力含め)使いまくりです。
イーサリアムやビットコインは軍事力なしで通貨の安定を実現しうると考えれば、めちゃくちゃエコだと思います。
銀行にお金預けなくていいだけで、既存のシステムよりエコなんじゃないかなぁ。
少なくとも、この手の「環境」批判については、数字的な根拠が「非常に乏しい」のが現実です。
あと、イーサリアムは電力消費が少ない「PoS」アルゴリズムに移行予定です。
数年内に、NFT産業が消費する電力が激減するのは確実です。しっかり対応してるわけですな!
結論:「環境に悪い」系の批判は、基本的にスルーでOK。そもそも、それネットに書き込む電力はいいの!?
2. NFTはただのJPEGだ(原画の所有権はない)
これも謎に見かけるんですよね……。
いわく、
NFTアートは、単にデジタルデータの所有権をトークン化しただけだ。
NFTを持っているからといって、作品そのものの所有権を持っているわけではない。
NFTは言ってみれば、美術館が所有するアート作品の、ポストカードのようなものだ。
みたいな。
Skebというサービスの代表も、こんな意見出してますね。
この手の話はだいぶ雑というか、シンプルに理解が浅いように思えます。
というのも、NFTアートの世界では「フルオンチェーン」のNFTも存在するんですよね。というか、市場では割とこれが主流です。
なかなかにめちゃくちゃな価格の「Fidenza」とか見てみましょう。5000万円近いです……。ArtBlocksという一連のプロジェクトのなかの作品です。
これらのNFTアートは、ブロックチェーン上に刻まれたプログラムによって、NFT保有者の環境でリアルタイムにレンダリングされます。
ぼくはこの手のNFTアートを持ってないので経験がないですが、作品を閲覧しようとするとGPUが動き出して、パソコンが熱を帯びるらしいです(環境には悪そうだ……w)
こうしたアートは、それ自体がブロックチェーン上に存在します。言ってみれば、「NFTそのものが原画」です。
こうしたアートについては「美術館のポストカード」という評価は当てはまらないでしょう。
というか、そもそも論として……。
「原画データ」が作者のパソコンのなかにあり、その原画を作者がNFTにしたものが、ポストカードのようなものだ……というのは違和感がありまくりではあります。
たとえば、500万円で落札された、さいとうなおき先生のNFT。
このNFTの「原画データ」は彼のPCに入っていると思われますが、じゃあこのNFTは「ポストカード」なのか……!? ということですね。違うと思うけどなぁ。
これは余談レベルですが、リアルアートについても、NFT化と同時に、原画を「Burn(焼却)」するカルチャーもあったりします。原画を燃やして、NFTだけにするわけですね。
もっとも、これはマーケティング的、パフォーマンス的ですが……意味はあまり感じません。実際に、バンクシーが一枚燃やされて、NFT化されてますw
結論:「NFTはアートそのもの所有権ではない(原画を持っているわけではない)」批判は、少なくともフルオンチェーンのNFTを無視しているように思われる。
というか、買い手目線だと、そもそも「原画の所有権」を買っている意識は薄い気がします。
原画データじゃなくて、NFTを買ってるんだよ、私たちは!
追記:そもそも論として、民法上、所有権というのは物理的なものにしか認められないんですね!NFTに民法上の所有権がないのは当たり前、ということですね。BBBさんの補足をどうぞ。
3. NFTは投機にすぎない
NFTなんてものは、単なるギャンブルだ!!
この時点でスルーでいいと思いますが、うーん、一応書いておくべきか……。
仮想通貨も昔は「ギャンブルだ」とか言われてましたね。今はさすがに減ってきた……とは思いますが、いや、まだ言われてるかw
というかですね、そもそも投機を否定するのがナンセンスなんですよ。
リアルな金融市場、というか我々が生きている資本主義経済のなかにだって、投機的な行為はがっつり食い込んでいます(FXとか競馬とかウマ娘とか)。
ウマ娘を否定するのは、資本主義経済、人類文化の否定だとすら感じますね……。
投機は悪者にされがちですが、投機的なプレーヤーによって新しい産業が育つこともよくあります。
ブロックチェーン技術だって、投機ありきでここまで育ったようにも見えます。
そもそも、投機と投資の違いってなんなんでしょうね?
いやマジで、ぼくはNFTを投機目的では買ってませんよ。
でも、NFTって投機なんですよね?
ぼくは投機じゃないと思って買ってるんだけどなぁ……。CryptoPunksは売るつもりないですよ、ほんとに。
結論:主観論なのでスルーでOK
4. NFTには使い道がない
めっちゃあるよ!!!!
終わりッ!!!
……というのは雑すぎますかね。
いやでも、マジで使い道はあるんだけど……w
もっともわかりやすいのは、ツイッターが実装する予定の「プロフィールアイコン」ですかね。
拡大。こんな感じで、アイコンに使っている画像のNFTを所有していることを証明すると、イーサリアムのマークが付きます。
これはかなり強烈な「使い道」ですよね。
……といっても、これをバカにする人は多そうです。
NFTの数少ない使い道が、アイコンだって?何を言ってるんだ?NFTには価値がないじゃないか!
うーん、これはもう、「バカの壁」です(feat. 養老孟司)。
こうなるともう、説明をするのは難しいっす……。感覚的な話になってきちゃうんで。
しいていえば、NFTアイコンは「ファッション」なんです。
偽物のプラダを喜んで着る人はいないでしょう?
同じように、どうせSNSで着飾るなら、ぼくらは本物を求めるんです。
すみません、これでわかってください……。わからなければ、時代がいつか教えてくれます。
ファッションアイテム以外にも、「DeFi的な金融機能」があったり、NFTが「コミュニティの会員証」になったり、「ファングッズを作る権利がもらえる」なんて機能とかもありますね。
いや、さすがに説明するのが馬鹿らしくなってきました……。時間あったら事例とともに追記しますが、、DYORで。
結論:NFTに使い道がない。んなわけあるかい。勉強してくれ!
5. NFTは法的に整備されていない
特に「クリエイター保護」をしたがる人たちが、この論点で批判しがちですね。
保護ってそんな、クリエイターは希少動物じゃないと思うんですが……w
NFTは、たしかに法的には、十分に整備されていません。
場合によっては、クリエイターになんらかの責任が「問われる」こともあるでしょう。
めんどくさいコレクター、投資家に絡まれて、裁判沙汰になるケースとかもありそうです。
もっとも、法的なトラブルが起こりうる、あるいは法的な未整備状態が残っているということ自体は、NFTに限らない話です(たとえば農業とかも割と曖昧だったりします)。
個々人が最善を尽くして行動するだけの話なので、個人的には「法的なリスクがありえるから」という理由は、NFT産業を否定する理由にはなりえないかなと思いますね。
どうしても法的リスクが心配なクリエイターや、なんらかの事情がある(既存事業との兼ね合いで訴訟リスクがある、など)場合は、個々人が判断しましょう。当たり前ですね。
なお、NFTが法的にがっちり整備される未来は、個人的にはどれだけ待っても訪れないとも思います。
技術の発展のほうが早いので、法的整理には限界があります。仮想通貨(暗号資産)ですら、未だに曖昧ですからね……。
結論:法的にはたしかに未整備。NFTにかぎらず、事業をやっていれば何らかの法的リスクはある。個々人が判断すべきマター。
6. NFTは税制が不明確だ
これもそのとおりですね。
記事執筆時点(2021年10月)では、国税庁からのNFT売買についてのガイドラインなどは出ていません。
たぶん確定申告前には出てくると思いますが……。
「これも新しいであるがゆえに仕方がない」話で、それを理由に「NFTはダメだ、危険だ」というのはズレてると思いますね。
各自、利益はしっかり納税しましょう!NFTにかぎらないことです。NFTが売れたときは、しっかり記帳しましょうね〜。
結論:記帳大事!
7. NFT煽り屋に煽られてクリエイターが潰される
出た!
イケハヤが無駄に叩かれてる文脈はこれ!
なんかこう、全体的な違和感として「クリエイター」を、「自分の判断で意思決定できない、幼稚な存在だ(ゆえに保護が必要だ)」と捉えている人が多い気がするんですよね……。
ぼくはたしかに、NFT産業の参加者が増えるように煽ってます。買い手も作り手もまだまだ足りないですからね……。
で、一定数のクリエイターの方は、ぼくの発信を参考に、NFTの販売を始めているでしょう(そんな声ももらってます)。
そうだとして、彼らはぼくに「煽られた」んですか?
その理解、クリエイターの方に失礼な気がするんですが。
クリエイターのみなさんは、大人として、自分で判断して、自分の戦略で、事業的な判断をしているわけですから……。
そして「煽られた」彼らのなかで、一部が「失敗」したとして、それって「煽ったイケハヤ」に責任があるんですか?
もちろん、法的になにか問われることはないでしょうね。NFTの説明してるだけだし……。
ですが、倫理的にも、何が悪いんですか?
ぼくはただ、遅れている日本のNFT産業を盛り上げたいだけですよ。
煽ることは、悪なんですか?
結論:クリエイターは、そもそも自己責任、自由意志で市場に参加しています。「煽られてる」とか失礼じゃね?
8. NFTは盗作だらけだ
これはそうなんですよ〜〜〜。
NFTはマジですぐにコピー品が出てきます……。
うちのCryptoNinjaも偽物だらけですので、注意してください。
以上……で良くないっすか、これ。
仕組み的に止めようがないし……。てか、アメ横とかも偽ブランド品、かなり多かったですよね。ひょっとして今も?
NFTを購入するときは、クリエイターのツイッターやウェブサイトをよく確認しましょう。
ちなみに、バンクシーはウェブサイトをハッキングされ、偽物のNFTを出品されました。
割とコレクターは半信半疑だったのですが、ここまでやられると騙される人は出てくるでしょうね……w
結論:投資家の方は、盗作に引っかからないように!バンクシー事件を胸に刻もう!
9. NFTはマネロンに使われる
そんなんいうたら、現金のほうがマネロンに使われてますからね……。以上。
ちなみに日本では相当な量(数十兆円)のブラックマネーが、1万円札で流通していると言われます。
マネロンを懸念する人たちは、まずは高額紙幣の廃止と、キャッシュレス化の促進を提言していきましょう!インドはだいぶ前にやりましたね。
結論:マネロンよくない!まずは1万円札廃止しよう!キャッシュレス化すればマネロンもやりにくくなる!
10. NFTは詐欺に使われる
アートも詐欺に使われますよね……。
クルマも詐欺に使われますよね……。
あ、インターネットとか詐欺にもすごい使われますね……。
あと電話も!高齢者のオレオレ詐欺とか、ほぼ電話が使われてるんですよね。
結論:電話は廃止したほうがいいと思います。
11. NFTは庶民のものではない
「NFTは高級すぎて買えない!」みたいな意見も見かけたことがありますが……。
タダでもらえるNFTいっぱいありますね。
結論:Giveawayに参加しよう!
12. NFTはクリエイターを搾取する道具だ
道具にはいろんな側面があるので、そりゃあNFTも、悪い人も出てきますよね。
すでに代理出品とかして手数料中抜きしてる人も、ちらほらいるようです。
でも!
NFTは搾取どころか、クリエイターの収入を増やす、すばらしい仕組みになるとぼくは信じてます。
・世界中の顧客に作品を販売できる、しかも基軸通貨はETH
・手数料が安い(OpenSeaは利用料2.5%、ちなみにnoteは15〜20%)
・売上はウォレットに即時入金(一般的なプラットフォームは売上発生から1ヶ月以上経って入金)
・転売されたときにもロイヤルティが支払われる
・資産性が期待されている場合、比較的高額で売買が成立する
いや、冷静に考えて、今までの仕組みより断然「搾取されにくい」と思いません……?
そりゃあ新しいことなので一定のリスクはありますが、この感じなら、十分リスクに見合ったリターンが期待できると思いますけどねぇ。
なんというか、超シンプルにいうと「NFTを始めると顧客層が広がる」わけで、事業判断的には、それだけでやるべきだとすら思いますけどね……。
実際、「NFTに触れて初めて、イラストレーターの作品を買った」という人はかなり多いように感じます。
ぼく自身も振り返ってみると、これまで買ってきたのは現物のアートばかりで、デジタルアートの購入はNFTが初めてです。
結論:搾取ってか、普通に、NFTって収入増えるチャンスなのでは?
何が問題なのか
問題らしい問題といえるのは、
・環境への影響。ただし、比率的には現時点でも軽微であり、かつ、イーサリアムのアップデートで解決される。
・法的な整理。テクノロジーは法律より先に進化する以上、完璧な法的整理は不可能であり、これはむしろ法治国家、民主主義側が抱えている問題だ!!(クリプトパンク精神)
・詐欺や盗作。基本は、買い手であるコレクター側の自己責任。この自己責任論が容認できないなら、ブロックチェーンでNFTを買うべきではない。
こんな感じですかね!
まとめ〜クリエイターのみなさまへ。
繰り返しですが、新しいことなのでもちろん一定のリスク、あるいはストレスはあります。
NFTを始めるのは、ビジネス的にいえば、新規事業を始めるということです。
新しいお店を開店するようなものです。
そりゃあ、新しいこと始めたら消耗しますよ!うまくいかないことだって、めっちゃよくあります。全員成功するなら、みんな大金持ちですw
ぼくは一応社長で、いろいろ細かく事業作ってますが、失敗したものも多いですよ。というか、失敗するのが当たり前です。
なんにせよ新規事業は消耗します。ぼくもNFT始めてから眠りが浅いです……。
最近ちょいちょい聞く「NFT疲れ」なんて……くっそ当たり前なんですよ!!!
てか、そんな疲労感は、新規事業作ったことある人は、みんな経験してます。
何をいまさら。疲れるのは当たり前なんですって、マジで。
休み休み、ちゃんとペースを作って戦えばいいだけの話です。ぼくは一昨日、30日ぶりに休みを取りましたよw
日本のNFT産業は、まだ始まってすらいません。
本格的に立ち上がるには、あと数年掛かるでしょう。
これはすごいことで、ここから先は伸びしろしかないんですよ。
3年、5年といった長期的な視座で、無理せずコツコツ取り組んでいきましょう。
準備運動で消耗して本戦走れなかったら、もったいないですから!
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・無料メール講座&ニュース(14,500人が登録、日本最大!)
・YouTubeチャンネル「イケハヤNFT大学」(登録者23万人!世界最大w)
・NFTについてたまに話す「イケハヤラジオ」
YouTubeは一旦やめたのですが、過去動画を全部消して復活させました。ぜひ学んでいってください〜。
ありがとうございます!サポートをいただけると、高知の山奥がもっと面白くなります!