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日本が誇る二次創作文化が、岐路に立たされている件

イケハヤです。

今日はちょっと議論を呼ぶテーマです。

日本が世界に誇る「二次創作(ファンアート)文化」が、大きな岐路に立たされていると思うんですよね。

これは、ぼくたちが取り組んでいる「クリプトニンジャ」プロジェクトとも深く関わる話です。

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まず、「二次創作文化」について、おさらいしておきましょう。

二次創作文化とは、

・既存の作品(漫画やアニメ、ゲームなど)のファンが
・その作品の世界観やキャラクターを使って
・新しい作品を作り出す

文化のことです。

代表的な例は、なんといっても「コミケ」ですね。

コミケではたくさんのファンアートクリエイターが、自分と同じようなファンに向けた二次創作作品を、現地で「頒布」し、それを多くの人が楽しんでいます。

……ですが、冷静に考えれば、こうした行為は著作権を侵害しています。

ただ、著作権は「親告罪」なので、権利者がそれを問題視しなければ、問題になることはありません。

「あくまでファンがひっそりと趣味で楽しんでいるものだから」

という理由で、長年にわたり、二次創作は権利者から「黙認」されるかたちで、育まれてきました。

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でも、ここに来て状況が変わってきているんです。

まず、インターネットの普及です。

昔は、同人誌の販売は「その場限り」のものでした。

これなら構造的に「商売」にはなりにくく、権利者も「まぁいいか」と流せる状況だったのでしょう。

でも今は、驚くべきことに、「人気漫画の二次創作同人誌」が、デジタル化されてネットで売られていたりします。

中にはかなりの売上を上げている人もいます。

ぼくが見つけたものだと、国民的マンガのデジタル同人誌(しかもAIで作られたもの)で、700万円以上売れているものもありました……すごい話です。

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さらに、「グッズ制作」も下がっています。

今は少量でもアクリルスタンドやぬいぐるみを作れるようになりました。

つまり、「ファンが勝手に作ったグッズ」が、普通に売られる時代になったんです。

(これはとある販売サイトの検索結果です)

紙の同人誌はギリギリ黙認されていたとしても、こうした「グッズの販売」は、さすがにビジネスになっちゃっていますよね……。

ハイクオリティな二次創作グッズがネットで販売されてしまっている現状は、さすがに権利者も容認しがたいのではないかな……と思ったりはします。

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そして最後に、生成AIの登場です。

AIを使えば、誰でも簡単にファンアートを制作できるようになりました。

ちょっと調べると、「ワンピース」や「呪術廻戦」といった人気作品のキャラを再現するプロンプトとかも出てきますね。

それらを個人的に楽しむのはいいと思いますが、最近は

「AI生成二次創作イラストを、AIで動画化して、TikTokに投稿して収益を得る」

……みたいな話も出てるので、なかなかヤバいです(絶対やっちゃだめですよ……)

今までは「ファンが楽しんでいるから」というロジックで黙認されていたのですが、生成AIの影響で

「収益目的の、愛のない二次創作」

が大量に生まれる下地が整ってしまいました。

Xはインプレッションに応じた収益も出すようになったので、ちょっとした小銭稼ぎで、生成AIを使ったファンアートを投稿しているアカウントもありそうですね……。

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ちょっと調べるだけでも、「いや明らかにこれはダメだろ」という商品が堂々と販売されていて、しかも多額の利益を出しているので、時間の問題な気はしています。

「ファンが楽しんでるだけだし、まぁいいか」という理屈で「黙認」を貫き、ファンアート文化を育むことは、もう難しくなっていくでしょう。

それを象徴するように、先日デイリー新潮に「現役漫画家が明かした「二次創作」への違和感」という記事がアップされていました。

こうしたメディアが扱い始めているように、今後「無秩序な二次創作」が「問題」として前景化していくのは明らかだろうな、と……。

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今後の流れとしては、

・明らかにNGすぎる二次創作の提供者が、逮捕されたり賠償請求されたりして話題になる
・慎ましくファンアートを楽しんでいる人たちが萎縮してしまう
・とはいえ二次創作は意義があるものなので、IP側で「ファンアートガイドライン」を用意する動きがさらに進んでいく
・以降、ガイドラインを違反する二次創作については、権利者は法的対処を進めていく

という感じになるのでしょう。

今までのような「グレーゾーン」での対応ではなく、白黒しっかりつけよう、という流れですね。

もちろん、完璧に白黒付けられるものでもないので、ある程度のグレーは残るとも思います。

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最後に宣伝めいてしまいますが、ぼくたちが作っているキャラクターブランド「クリプトニンジャ」は、ファンアートを大歓迎しています。

ファンアートガイドラインの範囲であれば、無許諾での商用利用も可能です。

商品を販売して利益が出た場合でも、ライセンス費用を支払う必要はありません。

このキャラクターたちを、「誰でも使える人類の公共財」のようなものにしていきたい考えているからです。

「安心して二次創作ができて、しかも稼いでもいいキャラクターブランド」

というのは、これからの時代、求められていくような気もしています。

ぜひクリプトニンジャを利用して、ファンアートを楽しんでください!

 #ninjart タグで、たくさんの作品が見れますよ〜。賞金100万円のコンペもやっております!

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結局のところ、これからの二次創作文化は、「グレーゾーン」から出ていかざるを得ないんでしょうね。

権利者がしっかりとルールを定め、そのルールの中でファンが楽しむ、というある意味で、当たり前の状況になっていくわけです。

ただ、そうなったときには、今までの自由な雰囲気もまた、一定程度失われてしまうでしょう。

「昔はよかったよね」

と懐かしむようになるのか、はたまた

「昔はぜんぜんクリエイターの権利が守られてなくて、ひどい二次創作が謎に放置されてたよね」

と批判的に振り返ることになるのか、それは時代が進まないとわかりません。

ぼくとしては、日本独自のこの素晴らしい文化は、できるだけ残り、永続的に発展していってほしいと思います。

(だからこそ、クリプトニンジャは二次創作を歓迎しています)

と同時に、クリエイターの権利は第一です。

新潮の取材に答えた漫画家さんのようなケースでは、「二次創作を拒否する」選択肢を取れるようになるといいですよね。

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ここから議論を重ねていくことで、新しい形の「二次創作文化」が生まれてくると信じています。

みなさんはどう思いますか?

特に、古き良き同人文化に詳しい人の意見を聞いてみたいです。

ぼくは実はコミケにも行ったことがない門外漢だったりするので……。

これからの二次創作文化、どうなっていくんでしょうね。

ご意見がある方は、ぜひリプ欄などに書き込んでみてください〜。


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