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エントワールは失敗だったのか?

すごいタイトルですよね、主催がこんなタイトルを書いてすみません。

年の瀬に何言ってんだ?って感じですよね。本当にその通りです。先日はエン企画6作目Entwal(以下エントワ)にいらして下さり誠にありがとうございました。長く企画をしている中で女子だけの登場人物の企画は実は今回が初めてでした。

エンギムナジウム、エンサナトリウム、エンフェアウェル、ENNIVERSARY、Encrows、そしてエントワ。

わたしの中で、ずっと温めていた企画

実はエンギムナジウムの初期メンバーでこの企画を計画しておりました。しかし男装がメインのキャストたちから、女学生の格好への抵抗、一部メンバーからのレオタードという衣装の拒絶(笑)と戦いながらも、撮影に漕ぎ着けましたが、その頃、私生活がバタバタしていたせいで、結局データこそ本人たちに渡したものの、紙媒体にすることが叶いませんでした。

これはエンさんの誕生日にみんなげお願い事を叶えてくれる、という魔法の言葉の力不足でした。結果、一日では撮りきれず、予定していたストーリーでは写真集を作れないという自転で、この企画はお蔵入りにしました(写真は一部ネットに上がってるから探してみてね)

この時、わたしはキャストのメンバーと違う未来をみていたのだな、と思いました。本当はわたしは初期のメンバーと劇団か何かを作って、物作りをしていけたらと心の中で思っていました。でもわたし一人で彼女たちの人生の責任を取ることは出来ないことはわかっていたので、これは皆には伝えることはありませんでした。

コスプレを辞めていく友人、結婚、環境の変化に、エン企画初期メンバーが揃うことはなくなり、中途半端な形で残すよりかは、とENNIVERSARYという企画を提案しました。真新しいメンバーにわたしは心臓がちぎれそうな思いでした。お客様に、何故メンバーを変えたのかと問い詰められることもありました。わたしが聞きたいです。どうして彼女たちは永遠にわたしと狂気の祭りをしてくれないのか、女性はどうして異性と結婚して、その時は今までのこと何もなかったようにこれまでの思い出を手放すことが出来るのか。ぽっと出の男よりわたしの方があなたのこと知っているのに、どうして、どうして時間は止まってくれないのか。どうして女性の自由な時間は、限りがあるのか、と恨んだこともあります。でも、彼女たちが選んだ未来にわたしが思い浮かんだ未来はない。と気づいた時、彼女たちの足を引きずるのではなく、新しい人たちと面白いことを考えるべきだと、わたしは考えました。

新しい携帯は戸惑いを帯びながらもお客さまに受け入れて貰えました。このことはわたしに大きく自信を与えてくれました。なら、インスタレーションという決まりもない、新しいことに挑戦しよう、と思ったのがEncrowsでした。

耽美少年ものはもうエンギムナジウムで正直満足してるから、新しい切り口で何か…と思った時、思いついたのか、黒いケープで群れをなす少年たちの姿でした。これがエンクロのキービジュのスタートです。わたしの大好きなコンセプトなら、人を巻き込んでやろう!と思い、大好きな耽美イラストレーターの方をお呼びし、コロナ渦でも楽しめる企画。では、座席を用意して、子供たちと同じように食事が出来たら面白いかもしれない。耽美少年カフェなんて聞いたことがない。やってみたい!が先走り、すぐに集まったメンバーで衣装から移動ルート等話し合いました。新しいメンバーとの企画に、わたしは大人の文化祭というワードを思い出すくらいには楽しかったです。

勿論キャパシティとスタッフの見合わなさや、座席で見やすい場所、見にくい場所があった、カフェとして提供する時間が想像以上にかかったこと等反省点はいっぱいありました。実家を出てルームシェアをしていたわたしは、リビング中が段ボールに埋もれるのに対して危機感さえ覚えました。

そこで感じた反省点を折角ならもう一度活かせるカフェ企画をやろう、と始めたのが、エントワールでした。企画はエンクロの段階で決まっておりました。衣装をBeletteさんにお願いして、コラボしたら、もっとすごいことになる。本物の学校を借りれるようにロケーション交渉も行きました。自分の写真集を見せて本物の先生にOKもらえるか本当にドキドキしましたが、快諾頂けた時は本当に感謝いたしました。(U先生本当にありがとうございます)

女性のキャラを演じるということ、衣装がワンピースとレオタードだということに対して抵抗があるメンバーはやはりいたので、なるべく土台はそのまま、引き継げるキャストはそのまま、新規に半分、興味あると言ってくれたキャストに声をかけ、エントワ企画はスタートしました。

この時点でわたしはエン企画としてのカフェはこれで最後とうっすらと決めていました。というのもわたしがやりたいことはエンタメなのではなく、あくまでアートである。という答えがはっきりしたからです。わたしの作品において、登場人物の愛称こそあれど、中の人の印象が勝ってはならないという思いがあったからです。(これについてはまた今度説明ちゃんとします)

エントワ企画は写真集を出すカフェとして形は取りましたが、席料やキャパシティに限界があり、本来ならば、エン企画が元々好きな人が、少し高い金額を払って世界観を楽しみながら飲食を楽しめる空間にしたかったので、入場料1000円だった今までの展示会のように気軽に新規の方が来れない形態であったことはエンクロの時点で自覚はありました。

でもそれでも、エンクロの反省点があるままカフェ形態を終えるのは違うなと思い、エントワでもその形を取りました。とにかく少人数、スタッフが管理できるだけの座席数。アクセスと日当たりの良いスペースで。フルカラー124Pに劇中劇の台本をつけ、オリジナルグッズも出しました。

前回よりも準備こそスムーズに出来たものの、エントワはかなりエンタメに近い、ファンミのような空間になったな…というのが個人的な感想でした。キャパが狭い分距離感が近すぎたこと、動ける空間に限りがあったことなど、これもまあ、反省点ですが、カフェという形としてはスムーズにスタッフ陣の協力もあり、やりきった!と思ったので

エン企画カフェ形式一旦辞めるねー!とTwitterで叫びました。

というのも、エン企画でカフェをやるには、カフェに時間を割く時間が増えてしまい、空間演出まで回らない。わたしがやることが増えすぎて、作品を研磨する時間がない。とにかく時間と体力がない。

反省点が多かった企画こそありますが、逆に、フードと物語を絡めるなどと新しいことにも挑戦できて、これはよかったな。と思いました。

トータル反省することといえば、エントワールは赤字です。キャストやスタッフに対して正当な御礼こそ出来たものの、正直主催としては、ビジネスとしては破綻していたな…という結果でした。挑戦としてはいい結果だったし、楽しかったし、でもわたしの中で、かなり胸に刻んでいる言葉があります。

クリエイターがクリエイトし続けるためには、赤字ではいけない。

走り続ける為に必ず売上が必要という言葉です。つまりここで、わたしはイベンターとして白旗をあげなければならないのです。写真に関して一切反省点はなければなんなら写真うめ〜って感動するくらいなんですけど。イベンターとしては出してはならない赤字を出したこと、仕事の振り分けが相変わらず下手なこと、やりたいことだからといって資金に見合わない写真集を出したことなど…自分の力不足さに反省しました。夢を見せるには資金が必要です。なのにその資金を作れないなら、一旦休もう。がわたしの答えです。

ま、常に自分がオワコンと思って生きてるサイトウエンには、こんなことも想定済みです。死ぬこと以外かすり傷です。足りない分は日雇いのバイトでもして補填します。そして、そんなことがあっても、必ずエントワという作品が次の舞台で必ず役に立つように、と今回初の試みをしました。サイトウエンがサイトウエンの名義で戯曲を書いた、という事実です。つまり、そういうことです。

エン企画は一つのコンテンツとして終わりを迎えた。
じゃあ、次、何する? がわたしの問い

わたしがいつも何かを生み出すとき、それは、それを作らずにはいられない。心の中の真っ黒い生き物が大暴れしないように、宥めて、額縁に入れて作品する。そのレーベルがエン企画だっただけで、今度は違うところで、そのよくわからない生き物と寄り添って生きていくことになんら問題はないと思う。エン企画は永遠の産物である。手にとったすべての人に忘れられない限り、私たちの作品に二度目の死はやってこない。だからどうか、語り継いでほしい。今まで、ここは会員制のバーのようなものだった。ここは居心地がいい、ぬるま湯のようで、いつまでもいられるような気さえしてしまう。だけど、体が少しずつ冷えて、コンテンツとしての死を迎えていることにわたしは気づいている。だからら。バスタブごと、保管しよう。透明の器にリボンを結んで木の棚に乗せて大事に閉まって、わたしはそのぬるま湯から出ていく。

観客がどうするかは、わからない。自由にすればいいと思う。廃れるのもよし、その廃墟に差し込む光はちょっと泣いちゃうくらい美しいかもしれない。そんな、曖昧なもの。サイトウエンの次の夢見るステージ覗き見したくありませんか?


エントワール 美しくて 愛おしい わたしの 失敗作。
誰も必要としない 破綻した物語
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Entwal. 写真集 | ensaito
https://ensaito.base.shop/items/70139470
#Entwal


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