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維新が大阪都構想を通せなかった単純な敗因

よく政治の場で「こうすれば勝てたんじゃね?」と思うことがあります。

昨日の大阪都構想選挙なんて、まさにそうでした。

あれはもったいなーと思います。

「言うは易く行うは難し」ですが、もっとやりようはあったのではないかと思います。

そもそも大阪都構想の元々の目的であった「大阪を副首都として、東京一極集中を是正する」は十分にメリットがあり、市民の同意を得られるものだったはずです。

世にも珍しい自治権を放棄させる選挙

大阪都構想の選挙の争点は、蓋を開けてみると「大阪市の政令指定都市指定を解除し、特別区にする」というもので、結構な無理筋だったというしかありません。

よく選挙の敗因が説明不足と言われますが、それ以前に大阪市民の人に全然メリットがありません。説明すればするほど、反対されるという世にも奇妙な選挙です。

事実、大阪都構想は「賛成派」ほど、間違った認識を持っています。


スクリーンショット 2020-11-02 17.52.26いわゆる「大阪都構想」についての大阪市民の理解度に関する調査結果 〜都構想の制度内容等を、賛成派ほど誤って認識している〜 p2

前回の住民投票から何が変わったの?

遡ること5年前、2015年に大阪都構想は住民投票で否決されました。

当時、「維新の党」の代表であった橋下徹氏の進退をかけた勝負です。

住民投票は僅差で敗北し、橋下徹氏は引退しました。

そこから維新が反省したのかと思い、今回の選挙の中身を見たら愕然としました。

変わったところは、

・大阪市を「5つに分割」でなくて「4つに分割」に変えた

・公明党の支持を取り付けました

・進退をかける人が橋下徹氏から松井一郎氏に変わりました(これいる???)

突っ込みたくなります。

いやいや、そうじゃないでしょと。

いくら大阪府と大阪市のトップを維新で固めたからといって、これは自治体の住所や予算配分が変わる大きな改革です。

たとえば、大阪市の企業の住所表記の変更コストを考えるだけでも、相当なものなはずです。

こういった状況下では、市民に十分なメリットを示せなければ選挙は通りません。

大阪維新の会はどうすればよかったのか?

単純に大阪市の名称はそのままで「大阪府から大阪都への移行」を目指せばよかったじゃんないでしょうか。

そもそも大阪府が真似しようとした東京都は特別区があるから、首都になったわけじゃありません。

※ 正確に言うと実は日本の首都が東京都と明記した法律はありません。

もともと東京は実質的な首都として発展していました。

戦時中に、首都である東京市の自治権が強すぎて邪魔だったために、政府が東京市から東京23区に変えたという経緯です。

つまり、東京都が特別区を抱えているのは歴史的に「たまたま」です。

そこを猿真似してどうする。

手段と目的を取り違えてるんじゃないでしょうか。

それなのに維新は、特別区があると都とみなされるのだという変な法律を作ってしまいます。

私はこの法律を作った時点で、大阪都構想の否決の運命は決まっていたんじゃないかと思います。

もちろん上記になる過程で政治上の都合があったのかもしれませんが、そんなもの市民からしたら知ったこっちゃありません。

繰り返します。本来、都になるのに特別区はマストじゃありませんでした。

勝手にそれを条件にして、維新は選挙に負けてしまったのです。

特別区を条件とせず、「大阪府」から「大阪都」に移行できるように法律を改正していたら、選挙をしてもすんなり通ったはずです。

要は、「大阪府」から「大阪都」に移行する選挙を、最初にやってしまえばよかったのではないかと思った次第です。

その方が大阪市の解体を「大阪都構想」と名付けて選挙をするより、よっぽど楽だし誠実だったんじゃないでしょうか。

反対派からしたら、選挙の争点を正しく伝えるだけで否決が簡単になるヌルゲーになってしまいました。

維新は、投票する市民を侮りすぎたのです

まとめ

大阪都構想が目指すところはわかります。

解決したい課題もわかります。

ですが、アプローチが間違っていました。

もともとは優れたアイディアだったのに、戦略ミスで日本の地方分権が進まなかったことが残念でなりません。





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