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最近始まった配信で面白いドラマはこれ。Netflix「アンビリーバブル」

タイトル通りですが、最近始まった配信系で面白かったのはこのドラマでした。

異なるジャンルのいいとこ取りができる、ドラマならではの構成

このドラマは二つの流れで構成されています。レイプ被害者が取り調べによって虚偽の証言と認めさせられ、その後も狂言を行なった者として生活に苦しめられるパートと、その3年後、似たような手口の事件が起き、それを刑事2人が追うパートです。

これらは印象は似ていますが、それぞれ違うジャンルで、犯人を追うサスペンスものと、社会的テーマ性の強い、被害者が主人公のドラマものとして描き分けられています。本来ならそれぞれ単独の作品を作ることができそうなストーリーを合体して描いています。両方のいいとこ取りで、ドラマの尺だからできる表現です。

さらに時系列が違うため(被害者パート、刑事パートで3年の時代の違いがある)、これらはいつ交わるのか、3年後の被害者はどうなっているのかという興味も持たせつつ、巧みな構成で引っ張ります。

しかも1話は被害者パートのみ。刑事たちの物語が始まるのは2話から、というのも面白い。題材的に、真面目に誠実に語られそうなこの物語を、わりとエンタメ的にも楽しめるように作ろうとしているのがわかります。そのエンタメと誠実さのバランス感覚が抜群に良いです。

登場人物が、もしも女性だったら

物語が面白いので全く気にならないのですが、主要な人物の性別をほぼ全て女性にするという、大胆な作劇をしてます。特にサスペンスものなど、過去作られた映画やドラマでは、主人公は男の刑事の印象が強いですが、このドラマでは女性で、しかも二人でバディものです。

おそらく意図的なものだと思われますが、これまで男性が置かれていた役割を敢えて女性に性別を変更することで、これまでの映画、ドラマとの違いを強調する、という宣言しているかのようです。特に家庭での描写など、女性刑事が家に帰ると男性が出迎える、という、もはや風刺的なコメディのような描写になっています。

そうすると当然、犯人や、レイプ被害者に圧をかける男性刑事の存在が際立ちます。こうやって書くと、テーマ的にも性別に対する社会的なメッセージや訴え、女性を主人公にすることへの主張がノイズになってしまうのでは、と思うかもしれませんが、作品のテーマ的にも制作のアプローチとして正しいし(監督も女性)、それ以前にキャラクターたちがとても魅力的なので、あまり気になりません。というよりも、全然いいじゃん! となんだか物語のちょっとした発明を見ているような気分になりました。「ブラックパンサー」や「クレイジー・リッチ」など、それまで起用されなかった立場や人種の主人公が起用され、大ヒットを記録しましたが、この作品もその流れに影響を受けているのではないでしょうか。と思うくらい、意識的な女性の起用感を感じる作品です。

そういった要素も含めて、現代的な価値観の作品だと思います。ちなみに視聴者数が多く、初月に3200万世帯が視聴、と成功しているようです。この記事でもストレンジャーシングスと一緒に成功の一つとして取り上げられています。
https://www.washingtonpost.com/business/2019/10/16/with-competition-looming-netflix-hangs-its-subscribers-now/

題材は重いですが、ともかく面白いのでおすすめです。

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