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映画の前にブレイキング・バッドを復習していく シーズン1編

10月11日から配信予定のブレイキング・バッド続編映画「エルカミーノ」。

ブレイキング・バッドについて

ドラマシリーズは前に見たことあるけど、シリーズ後半はなんか惰性というか、ふわっと見てたな・・・。という思い出。印象的な場面は覚えているけど、そういえばあのキャラクターって最後どうなったんだっけ? 程度のふがいない記憶。ベター・コール・ソウルは見ているものの、機会があれば見返してみたいけど、他にも見たいドラマとか色々あるし・・・と思ってました。

そんな時に絶好の機会が来ました。8月下旬に発表された続編映画。とこの予告編。

発表からなんと約1ヶ月半後という配信日。最近ではわりと当たり前になった、情報解禁から配信までの期間が短い、このスピード感は最高ですね。これはテンションが上がりました。そしてこの予告編を見て思ったのです。

この話してる人って誰だっけ・・・、と。全く思い出せないよ、と。

これはやばい。このままだと映画版が楽しめない。

ということで、海外ドラマで盛り上がる昨今、これは歴史を振り返る意味でもいい機会。ということでドラマシリーズを復習しました。

ということでまずはシーズン1。

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展開の鬼

全7話という短さながら、どんどん物語は進行していく。

特に1話は、ここで次を見るかどうかが決まってしまう勝負の1話ということもあって、盛りだくさん。

物語のど頭で、疾走するキャンピングカー、倒れた死体、そして白ブリーフの男が拳銃を構える、という強烈なビジュアルで見ている人の興味を引きつけて、そこに至るまで何が起こったのか、遡っていく構成。

冒頭でウォルターの人物設定(教師、洗車場でバイト、生徒から舐められている、義弟がDEAの捜査官、等)をサクッと済ませ、そこから病気の発覚、ジェシーとの出会い、メスの作成、売人へ売ろうとしたらトラブルになり、メスを作るフリをして逆にガスで殺害。そしてアバンのシーンに戻ってくる。というところまでを1話の58分内でどんどん展開していく。

2話以降も、死体処理や殺し損ねた売人をどうするか、というエピソードや、メス作りを開始してからも元締めトゥコの登場で一悶着もあったりと、ユーモアを交えながら、1話ごとにどんどん悪い状態に「導かれるように自ら」踏み込んでいくのがめちゃくちゃ魅力的です。見てる時に「駄目だって駄目だって・・・」と思いながらもウォルターが悪い道へ進んでいく瞬間が、とんでもなく快感です。それがこのドラマの面白さの一つではないでしょうか。

しかし、このドラマ見るの2回目なんですが、ほとんど覚えてなかった。自分の記憶の曖昧さに愕然としました。いっても4、5年くらいに見たはずなのに・・・。8割くらい初見の感じで見てました。予告編の人とかシーズン1から出てた古参キャラだったとは(スニーキーピートだったのね)。

「ガンを宣告された化学教師がドラッグを精製しお金を稼ぐ」というあまりにも優秀なログライン

それにつきるのではないでしょうか。人物や道具立ても丁寧です。死を宣告された主人公の妻を妊娠中にして、「生と死」を際立たせたり、アルバカーキという乾いた土地が背景の、景色の荒涼感。悪事の作戦を立てて実行というシーン展開のケイパーものの側面。途中で使うハイゼンバーグという偽名や、スキンヘッドになって外見が変わるのも主人公の変化を外見から表現していたり、義弟が捜査官、というわりと大胆な設定ですが、テンションを上げるのに役立っている。このドラマ、人物たちの関係がわりと狭いのが独自の濃さを出していると思います。死を目の前にした主人公の行動を社会的に褒められるものではなく、反社会的な行動にして、見る人への興味のひきかた、「彼はどうなってしまうんだ」と思わせる技術も上手く(というか抜群に)機能してます。「生きる」では主人公は公園作りに奔走しますが、こちらではドラッグ作りに奔走する。その皮肉さ。

とにかく名シーンが多い

1話の冒頭や、ガスマスクのビジュアル、溶けた死体が天井から落ちてくる、欠けた皿のパズル、プライドゆえに友人からの援助を断るとこ、強烈なスキンヘッド、まさかの爆弾など、印象的なシーンはつきません。

その中でも7話のメチルアミンの倉庫に忍び込むシークエンスは、化学的知識を駆使して、セキュリティを突破しながらも、なぜか台車も使わず二人で引越し業者のようにゆっくりとドラム缶を運ぶ様子(しかも警備員を閉じ込めた簡易トイレの目の前を)は、このドラマ特有の、ある方面ではプロフェッショナルなのに、犯罪では素人、というユニークな要素をうまく表しているのはないでしょうか(この素人感のニュアンスは後半には消えていき、それが別のトーンになっていくのですが・・・)。

正直、音楽の入れ方や曲調、モンタージュ的な演出など、多少時代を感じる部分はありますが、まだ序章。これから繰り広げられる壮大な泥沼の導入としては完璧なんじゃないでしょうか。全7話で見やすいですし。

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