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【囲碁】役に立つ無料棋譜解説 サバキのハネカケツギの話 20230707

こんにちは。
 
IGOcompany【U】です。

囲碁をビジネスに起業して「宇佐美囲碁教室」っていう教室を運営したり、武蔵小杉の「永代塾囲碁サロン」にて指導碁や交流会をしたり、

「新百合囲碁学園」の学園長を任されたりしながら、世田谷や麹町、大学などで囲碁を教えて、ご飯を食べてます。

今日の写真は、(囲碁とは全然関係なく)家の近所の地植えのバナナなんですが、ちょっと夏って感じがして良いですよね。。。

さて、

今日のnoteのテーマは、

「サバキのハネカケツギ」についてです。

先日、

棋力向上に役立る有料noteのマガジン」を購入して下さった方から、

「こちらの記事に度々出てくるハネカケツギを何回か試したんですがなかなか上手くいきません。ちっちゃく生きるだけになってしまいます。いづれハネカケツギ特集みたいな記事も書いてみていただけたら幸いです。」

ってコメントを頂きましたので、

今日は、

その「サバキのハネカケツギ」について、少し触れてみたいと思います。

ちなみに、解説に行く前に、ちょっと宣伝をば。。。

上で紹介した有料noteのマガジンを5980円で提供しています。1回購入してもらえれば、これから書く有料記事分も含めて(合計25本分以上を)、ずっと無料で読むことができます。

【囲碁】棋力向上に役立つ有料noteのマガジン|IGOcompany『U』|note

これから出版する書籍なども載せる予定ですので、良かったらご購入をご検討頂けると嬉しいです^^。

すみません、宣伝でした!

今日のnoteは、下記にあります無料記事のマガジンの方に追加します。

こちらは、有料記事に比べて、ちょっと軽めの解説ですが、

囲碁の棋力向上の為に役立つ記事もあるかと思いますので、良かったら読んでみて下さい。

それでは、

「サバキのハネカケツギ」について、解説してきましょう!

【ハネカケツギの手筋について】


まず、最初は意識の話から。

現代の碁では、サバキの時に「ハネカケツギ」が多用されます。

こちらは、本当によく出る手筋ですが、捉え方としては「ハネカケツギを打っておいた方が、ちょっとお得」みたいな認識で使うのが良いと思います。

ハネカケツギを打ったから必ず生きるといったような手筋ではなく、打っておいた方が少しは良い(マシ)みたいな感じで捉えておくと、気楽に使えるんじゃないかと。

それでは、まずは下の図を例に取ってみましょう。

【中国流の布石から】

※ちなみに、今日のテーマ図は、解説する為にあえて、その局面にしてみましたので、布石として、すぐにテーマ図の形にするのが最善というワケではありません。

【中国流に対する白6のツケ】

AIの登場によって試されるようになった白6のツケ。

ハネると相手の思惑通りになることも多いので、黒は7のノビで打つことも多いです。そうすると下図のようになります。

右下隅の白石の強弱を気にしたい

黒9まで進み、白はサバキを意識したい(自分の石を強くしたい)立場です。白は、どう打つのが良いでしょうか?

【単に白10とケイマするのは軽い発想ですが…】

まずは、単に白10とケイマで逃げ出してみましょう。

白10のケイマは軽い打ち方ですが…

【黒からの出切りがシンプルにツライ】

これに対しては、黒11からの出切りで打たれて白はちょっとツライ。

白6、8の石を捨てて打つという発想は合ったりしますが…

隅の二目が取られてしまうのは白嫌ですよね。

つまり、単に白10のケイマでは出切りを打たれてしまうのです。

【では、ハネカケツギを打ってからのケイマはどうでしょう?】

下の図のように、白10と12のハネカケツギを打っていたとしましょう。

白14までの形が、中国流に対する白6のツケからの定石形です。

この形に対しては出切りが打てない

中国流の時によく登場する形。白14まででさばけている(白はそんなに攻められない)と言われています。

【ハネカケツギを決めると、出切りはない】

最初の図と同じように、黒からの出切りはどうなるかを見てみましょう。

ハネカケツギがあるだけで、出切りはなくなる

白12のハネカケツギがあるので、黒の出切りに対して白は18のアテで黒の石を取る事が出来ます。

本当に簡単な説明にはなりますが、これだけでも「ハネカケツギを打っておいた方がちょっとお得」ですよね?

黒13と(だいたい)アテを打ってくれるので、白は後手になることも少なく打っておいた方が良い「サバキのハネカケツギ」です。

教室では、生徒さんに、サバキの時は気楽にハネカケツギ打ってみて下さいと伝えているのですが、注意点も勿論あります。

【ハネカケツギを打つ時の注意点】

ハネカケツギを使ってみる時の注意点は、下の図のような白1のツナギを、
「絶対に」打たないということです。

白1のツナギは「重い」

白1とツナギを打つ手は「陣笠」と呼ばれる愚形。

黒2とケイマで打たれたら、右下の白の一団はまだまだ弱く、

そして、「重い」

上で説明した「白14までの形が、中国流に対する白6のツケからの定石形」の格好とは、雲泥の差です。

【黒はいったん大場に向かうのが良いとされています】

下の図のように、白1とケイマで打たれた時、黒はここまででいったん終了にして、左上隅のAの三々などの大場に打つのが良いと言われています。

もし続けて、黒2などと打たれた場合には、ちょっと変わった手に感じますが、白3などと「軽く」サバキの手を打つのがオススメです。

※白3はAIが示している手で最善かはわかりませんが、「軽さ」は伝わりますね。

白△の石は取られても良い!

ちょっとの難しい考え方なのですが、その際には、白△の石達を軽く扱います。黒2と打たれた時点で、白△の石達は、黒の生きている石にひっついている石。これは取られても構わない石と考えることが出来るのです。

仮に、×印の位置に黒が打ってきたとしたら、手抜きをして白は大場に打って十分。白△の石はあげてしまいましょう。

このような「軽い」考え方に触れると(もちろん難しいのですが)、少しは気楽にハネカケツギが打てるのではないでしょうか?

例がひとつだけでは何なので、

中国流の他にも、ハネカケツギを使う場面を解説してみます。

【ダイレクト三々の形から】

下の図。

右下隅はダイレクト三々の形。

白12でいったん保留をして、白は大場に先行するのがポイントです。

白12まででいったん右下隅は止める

【右下隅、白16の切りから戦いの様相】

この後に、ハネカケツギを使う局面を解説します。

※左上隅の両ガカリから、下の図の白16の切りの進行が最善とは限りませんがハネカケツギを使う局面を作ってみました。

白20までで戦いの開始です

【右下隅の黒△の石の強弱に注目しましょう】

下の図の右下隅、黒△の石に注目して下さい。

黒△の石が弱く感じてしまいますが…

【単に逃げると…】

下の図のようにお互いに逃げ逃げで進みました。

右下隅の黒△の石は「そんなに強くはなさそう」

黒1のトビが悪い手とは言いませんが、白4のサガリを打たれてしまうと、黒△の石が弱く感じませんか?

さあ、ここで「ハネカケツギの出番」です。

【ハネカケツギを打った方が弾力のある形】

下の図を見てみて下さい。

上で示した図と、下の図を比較してみましょう。

黒1、3のハネカケツギを打ったおくだけで「ちょっとお得」

ハネカケツギを打った場合の方が、黒の石は弾力のある形。

弾力のある形というのは、例えば、白4のアテに対して(いつか)コウに弾くことも出来るので、生きるために手段が多い(眼を作りやすい)という意味です。

【白8の抜きと黒9の交換は、黒の方が良い】

白4のアテを放置しておくことに違和感を覚える人もいるかもしれませんが、白はすぐには抜いてこないのでアテに対して黒は手抜きが好手。

白8の抜きは、まだ打たない方が良い

仮に、上の図のように白8の抜きを打つと、白は生きている石から黒1の1目を取ってしまっただけ。黒9のカケツギと交換になったとしても(黒9のカケツギを必ず打つかは別として)黒は嬉しい変化になります。

このようにサバキの時は、

・ハネカケツギを打たないよりは打っておいた方が得が多い
・ハネカケツギを打った後は、石を捨てても良いと気楽に捉えておく

というのが基本の考え方です。

小さく生きるくらいなら、ハネカケツギをした石を軽く捨てて、逃げてしまったも良い時はたくさんあります。

最初の頃は、この説明に「?」マークがついてしまうと思いますが、サバキの時は「しっぽの石は差し上げて、本体を逃げましょう」と言ったりもしますね。

【例外 アテに対してツギを打つ場合】

最後に、ちょっと捕捉で、

ハネカケツギを打った後、アタリを打たれたら「絶対にツナギを打たない」と解説しましたが、

ツナギを打つ場合が(例外として)ないかなぁと、色々と知識を掘り返してみました。

下の図のような時は、ツナギを打つ場合があります。

戦いの時は愚形も時によりけり

黒15と17がハネカケツギ、これに対して白18のアテには、黒19とツナギを打ちます。

この図は、

下に示した定石から、

黒13で切りを入れて戦いにする時の打ち方で、

穏やかに打つならこの定石になります

もう一度、同じ図を出しますが、

取るか取られるかの時は「軽く」打てないですね

定石で落ち着くよりは、戦いで激しく打っていこうという場合に選ばれる進行です。だいたいこのような戦いの変化になりますので、一例として示しておきます。

黒17とハネカケツギをしておいた方が、右下星の黒3との距離が近くなる。
愚形とはいえ、黒19のツナギには、白は20(一路上もあります)と打ってくれるなどの理由もあって、白18のアテに対して黒19のツギが容認されます。

これ以外に、ハネカケツギの時にツナギを打つ図はないとは言いませんが、取るか取られるかの戦いの時以外は、ツナギは極力打たないようにするべきとお伝えしておきます。

最後の補足は、蛇足かもしれませんが、サバキの時にハネカケツギを打つことは本当によくありますので、何かの時には使ってみて下さい。

以上、

簡単ではありますが、

「サバキのハネカケツギ」についての解説になります。何か気になる事があったら、コメントで教えて下さい。

少しでも参考になる部分があったら嬉しいです。

最後にちょっと宣伝で、

今週末は、武蔵小杉の「永代塾囲碁サロン」にて、

「こども対局場」と鈴木肇さんの「将棋の集い」があります。

僕の指導碁もありますので、良かったら遊びに来てみて下さい(体験は2,200円です)。

それでは、本日も読んでいただき、ありがとうございました!!



サポートありがとうございます。コロナの影響もあり、今囲碁界はどんどん縮小していっています。どうにかしたいと思っている方は多いと思います。まずは小さな一歩から、囲碁の本を買ったり、近くの囲碁サロンに行ってみたり、周りに囲碁を教えてみて下さい。サポートは囲碁普及に使わせて頂きます。