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つまり、こういうこと?

先日、主人の仕事つながりの知人とその子どもたち12人が、わが家に遊びにきた。

「いいよ、気にしなくて。2階の部屋にこもって作業してたら?」

ありがたいけれど、さすがに12人となると集中できない。むしろ、部屋にこもったまま顔も出さずにいると「感じの悪い人」になってしまいそう。でもこういう場には参加したほうがいいよね。とはいえ、納品間近。納期に間に合わないとイライラして家族にあたるのが目に見えている。

あぁだこうだウダウダしたけれど、結局その日は外で仕事をすることにした。

なんだかスッキリしないまま家に帰り、主人と娘がどてっと寝ている姿を見て、モヤモヤ。その理由も分からなかった。


翌日、娘とお風呂に入って会話をした。毎日のお風呂タイムでは、リラックスしているからなのか、学校での出来事や友人に対する感情などが飛び出してくる。ここで娘がよく口にするセリフは「つまり、こういうこと?」だ。

「昨日、パパの友だちがたくさん来てくれたでしょ。でもね、ママなんだかモヤモヤしてて。自分でもなんでだろうなって思ってるんだよ」
「ふ〜ん、なんで?」
「う〜ん、思ったより大人数だったからかな。仕事だから仕方ないけど、一緒にいたほうが良かったのかもって思ったり、でも仕事もしなきゃいけないし、難しいね」
「そうなんだ。つまり、こういうこと?もう少し人数が少なければよかった、ってこと?」
「そうかもしれないね。あんまり大人数だと、会話がしっかりできないでしょ」
「まぁね」
「ママはこうやって、ひとりの人とゆっくりボールを投げるみたいに話すのが好きなんだよね」
「ふ〜ん。なんで?」

のぼせないように洗い場に座り込んで話を聞いてくれている娘。会話をしながらしっかり目線も合わせてくれる。友だちでもここまで親身に聞いてくれるだろうか…

話を続けていると、自分でも気づいていなかった想いが湧き出てきた。

「でも、ふたりで話しててもちゃんとボールを取ってくれない人もいるし、投げるスピードが速い人もいるね。ママは、同じペースで長くキャッチボールできる人と話したいのかも」

「そうなんだ。つまり、こういうこと?」

目には見えないボールを投げてくる。それを受けて、少しゆっくり目のボールを投げてみる。楽しそうにしている娘としばらく見えないボールのやり取りを繰り返していると、あぁ、そうそう、絶対取れないところに投げてくる人もいるし、変化球投げてくる人もいるねぇ、パパと言い合いになる時は、全然受け取ってもくれないからなんだよ、なんて。あれこれ話していると、自分の気持ちがまとまってきた。

しっかり目を見て「つまり、こういうこと?」と話をまとめようとする娘からは、自分の中で解釈しようとしてくれているからなのか、1対1で向き合ってくれようとしている想いが伝わってくる。

もうお風呂なんて一緒に入らないよ!と言われるまで、この時間は大切にしたい。




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