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「その仕事、全部やめてみよう」は仕事をやめない本。

TwitterのRTで回ってきた本。IT系、特にプログラマの人たちにとても大ウケだったので買った。ちなみに今のわたしは、どっちかっていうと法律扱ってる方で、商品開発の企画や中身をがりがり作るという立場にはない。

この本、端的にいうと筆者が体験した事柄から導き出した教訓をまとめたもの。本というよりブログめいているし具体的な話が多いから読みやすい。経営層の著者が、プログラマや起業家という現場感を維持しているイメージなのが好印象。経営層から現場のリーダーに求められるマネジメントの本質が見え隠れする。そういう観点で将来のIT系モノづくりリーダーを目指す人はとても役に立つたぶん、いやしらんけど(自分違うし)。

さて本の中身だけど、5つの章で構成されている。章ごとにメッセージがあって、確かにそれぞれ大切だと思うんだけど、とりあえずここに感想めいたものを残しておくので、気になるパートがあったらぜひ本を読んで見てほしい。

第1章 「谷」を埋めるな「山」を作れ!
小さい開発企業が大手と張れるモノづくりをするにはどうしたらいいか。認められるプレゼンをするにはどうしたらいいか。GAFAに負けぬ新しい価値を創造し提供していくにはどうしたらいいか。紹介されている体験談や打開策は多種多様だけど、要は短所に気をとられるな、長所を伸ばしてエッジを利かせろと言っている。チームリーダーやスタートアップなんかに近い人、目指してる人は、共感出来て染み込むかもしれない。

第2章 「ハンマーと釘」の世界の落とし穴
これは技術者に対して特に伝えたい話なんだと思う。いい技術者ほど新しい技術をよく取り込むし、それを使おうとする。ただし、価値を提供するビジネスの世界では、技術にこだわってはいけないよ、と戒めている。例えば最近ビジネス界では「DX」って部署がどこの会社でも乱立してるけど、誰向けの何を解決して喜んでもらうんだっけ?っていう本質は変わらない(DXは私の所属する会社にもある)。また、この章では、将来の技術経営者を意識してか、会社の回し方とか事業拡大とかにも言及している。

第3章 「ラストマン戦略」で頭角をあらわせ
技術者じゃなくても役に立ちそうな章(別に他の章が役に立たないとはいってない)。異動が激しい中でスペシャリスト風ジェネラリストを求められる環境の私には、この章は良くも悪くも感慨深かった。
筆者曰く、まずは「この人なら知ってる」という「ラストマン」を目指せという。また「最強のワンオブゼム(=組織の型にはまったジェネラリスト)」にはなるなという。大手って、人事はスペシャリストやエッジのたった人を求めることをいう癖に、結局現場ではジェネラリストしか泳げない企業が多いのが現実だと思う。特にモノづくりをしない企業はそう。そしてそういう企業は給料が高めという現実。ということで、そこで出世を目指さないなら早めに見切りをつけて飲み込まれないようにしたい。ちなみにこの章には癖が強いやつが多いプログラマとの付き合いについても言及している。ここは面白い。

第4章 「To Stop リスト」をいますぐ作る
タイトルに直結する話をしているのがこの章。ここら辺は「めんどうだから簡略化したったw」とか「やめたったw」とかいってる技術者のほうが得意だと思う。で、この章で伝えたいのは、仕事簡略化というより、適度に休んで手を抜いたり、また他人と関わることで生産性があがるんだよっていう経験を語っている。他にもなんかいろいろ言ってるんだけど全体を通して本当に思うことは、筆者は、総じてバランスのいい人だと思う。実にうらやましい。バランスがいいっていうのは、後天的な技術ではない気がする。うらやましい(2度目)。

第5章 職場は「猛獣園」である
実はこの章を読みたいがためにこの本を買ったといっても過言ではない。twitterでこの章がいい得て妙だと話題になったからだ。癖があってデキる技術者どもは、自分の方法にこだわるあまり喧嘩になったりするらしい。そんな猛獣をどう飼いならし成功に導くのか、この章では教えてくれる。かくいう私も技術部署ではないがアマゾネスの巣窟みたいな部署におり、見た目は綺麗だが中身は猛獣という輩ばかりを相手にしている。戦闘力の弱い私は、彼らの餌食にならないよう行動しなければならないので、これまた感慨深く読ませてもらった。「猛獣園」ではリーダーがかなり重要な役割を持ち、成功率はもちろん、チームの雰囲気も左右する。筆者はマネージャーの傾向と、マネージャーを中心としたチームビルディングの在り方を解説している。

以上、長ったらしいが、「その仕事、全部やめてみよう」という本の概要だ。とはいえ上記は感想なので、偏りはあるけど許して。この本は、スペシャリストとして独り立ちし、マネージャーや転職などを考え始めた技術者への一冊だと思う。


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