【まとめ】第4回「AI」について
日時:11/13(火) 18:15~19:45
場所:メディアセンターラーニングコモンズ
参加人数:7名
議題:前提条件:ここではAIが人間の脳を超え、人間ができるすべてのことをできるようになった時代を「AI時代」とし、その状況を仮定する。(感情表現も可能)
①AI時代、私たちはどのように生きるか?②AI時代の幸福論③AI時代と私
①テクノロジーの発展によって人間社会はどのようになるのかという思考実験とそして議論が行われた。まず、AIと人間が共存し、AIと社会性を育んだり、協力関係を築いたり、また恋をしたりする。そして、最終的には体の一部に組み込まれたり、人間という概念がなくなりアップデート可能なものになるなどといった未来世界についての期待の高い想像がなされた。しかし、その一方でAIが人間の上位概念になる、AIが富を独占する、AIと人間の間の階級闘争が発生、超格差社会の到来(AIを使いこなす一部の人間とそうでない人々の差が生まれることによる)という懸念も議論のなかで生まれた。
そして、これらの想像を踏まえたうえで「私たちはどう生きるか?」ということが議論されたのであるが、ここではテクノロジーが発展したなかで「人間に何ができるのか?」ということが話し合われたように思える。他者に影響を与えることを意識して生きる、知性とともに個人が持つ倫理や美徳をより重要視して生きる、既存の労働から解放されて余暇が増えるので遊ぶ、集団の個性、文化の個性、自らの個性といったものを重視して生きるといった一般化できないその人、物が持つものを重要に生きることが必要だろうというように議論がまとまった。
②ここでは、①の議論を掘り下げて、テクノロジーの進歩によってもたらされる幸福の変化や、「AI時代」において何が私たちに幸福をもたらすのかということが話合われたのであった。
そこでは、「果たして幸福は変化するのか?」といった問が多くの人から投げかけられた。テクノロジーが進歩しても、私たちはおいしい食べ物を食べたり、恋人と触れ合ったり、何かに没頭したり、人と人との空気感に幸せを感じることはすることは変わらないのではないかといった幸福というのは揺るがないのではないかといった議論がなされたのであった。その一方で、テクノロジーによる完全性があることが当たり前の世の中の到来によって人間の持つ不完全性、馬鹿なところ、不規則な感情、偶然性などといった今では煙たがられるような要素も逆に赴きとして人々に幸福感をもたらすのではないかといったこと、アイデンティティを表現して誰か他の人に影響を与えることが幸福感になる、アイデンティティを形成するためのプロセスが幸福感につながるといった前者とはまた違ったテクノロジーの進歩によって新たに生まれてくる、またより際立つ幸福についても話し合われたのだった。
③最後に、参加者全員に自分はテクノロジーの発展にともなって個人としてどのように生きたいかということを宣言してもらう形でまとめとした。以下箇条書きは、そのすべてである。
・プロセスと結果の関連性を大切に生きたい。
・変わること、個性を大切にすることを重要視して生きたい。
・物語を紡ぐように生きたい。
・馬鹿をして、笑って生きたい。
・AIと人間の脱構築をして共存したい。
・AIに代替されない職に就きたい。
・誰かに影響力を与えたい。
・何かに没頭したい。
・宇宙を知りたい。
【主催者総括】
「AI時代」というテーマで議論をすることにしたとき悩みがあった。それは、私自身「AI」というものの実体を書籍やニュース記事などといった文面上でしか知り得ず、これからそれがどうなっていくのか、具体的な技術までの知識は持ち合わせていないからだ。主催者がわからないもの、想像ができないものを話し合うこの議論は只の思考のお遊び、机上の空論に終始してしまうのではないか。そういった不安が頭のなかでよぎった。しかし、「テクノロジーの発展」というものは必然的に訪れる。そういったなかで、これらの時代に向けての生き方やあり方を問うことは「善き生」を考える本サロンにおいて必要なのではないかという考えも強くあった。結局のところ、この考えの対立の結果、「AI時代」と名乗ってこれからの到来する未来の姿の思考実験と議論をすることにした。これからの生き方を議論したいという思いが上回ったのである。
今思えば、このテーマで開催したことについてよかったと思っている。議論のなかでは、私が不安を抱いていたAIそのものについての議論よりも、テクノロジーの発展と私たちの生き方、人間とは何か、幸福とは何かといったことに議論が展開したからだ。これからの時代とこのサロンの目的としている「善き生」について議論を参加者のおかげでうまくマッチングさせることができたのであった。それゆえ、結果論的ではあろうが、このテーマで開催したことはよかったと言えるのである。
今回の議論は、エンジニアリングの経験のない主催者が机上で考えた前提が到来しなくとも、テクノロジーの発展とともに生きる皆さまがこれからの生き方について立ち止まって考える90分になったのだろうと予想する。参加者各々が時代の変化に身を置くなかで、時たまこの議論で自らが述べたこと、他の参加者が述べたことを立ち止まって思い出していただけることがあるとサロンの主催者としては幸いである。
最後に夜遅いなかお集まりいただきありがとうございました。
次回は11月28日(水)「多様性について」というテーマで議論します。多くの方の参加をお待ちしております。よろしく。