【予告】第五回「多様性」について
日時 11/28(水) 16:00~17:30
場所 ラーニングコモンズ
〇前提となる議論
2018年8月、あることが明るみになった。省庁による障碍者雇用の水増しである。厚生労働省によると国の33機関であるうちの27機関において3467人もの水増しが発覚したということである。これは、国の機関が雇用しているとした障碍者雇用6900人の半数に上る 。障碍者法定雇用率を達成するための水増しであるとされる。
障碍者法定雇用率は、45.5人以上の従業員を抱える企業に課せられた障碍者雇用の規定である。事業者は法定雇用率を充たすほどの障碍者を雇用しなければならない。現行の制度では、民間企業が2.2%、国、地方公共団体が2.5%、教育委員会などが2.4%となっている。また、100人以上の常用労働者を持つ民間企業が障碍者雇用の法定雇用率を守られない場合、法定雇用率分から現在の雇用数分の人数を引いた数に五万円をかけたものを納付金として徴収されるという罰則も設けられているのである 。
そもそもこの法定雇用率は障害者の雇用の促進等に関する(障碍者雇用促進法)に基づいて規定されている(36条)。障碍者雇用促進法は障碍者の人々の職業生活を自立することを支援するための法律である(1条)。このなかでは、すべての事業主は障碍者雇用の促進を担う責務があるとされる(5条)。それゆえ、事業主には障碍者に対する合理的な配慮が必要であるとされる(36条の2~4)。
今回問題となっている、省庁(ここでは厚生労働省)はそれを監督指導する立場にある(36条5~6)。その立場にある機関が水増しという行為を働いたため、今回の問題は制度自体を揺るがしかねない問題であると考えられるのだ。
障碍者の雇用を促進する要請は公の要請であるように考えられる。国連で制定された障碍者の権利に関する条約、そして憲法、13条、14条、25条から障碍者雇用促進法の条文に現れるような社会の障碍者に対しての態度を見出すことができる。
ひとつ身近な例もあげると浜田市では浜田市障碍者雇用優良事業所として、積極的な障碍者雇用を行った企業を表彰している 。
こういった障碍者雇用促進の公の要請が見られるなかで、また上の問題によってそれが揺らぐなかで、本サロンではこの目的を考え直してみようと思う。具体的に言えば、障碍者の方々の支援を促進する社会の目的とは何か、またそれによってどのような社会がもたらされることが考えられるのかということである。
〇参加者に投げかける問い・テーマ
①我々の社会が障碍者の支援を促進する目的とは何か?
②それによってもたらされる社会とはどのようなものであると考えられるか?
【〇前提となる議論内、参考資料】