Canvaとは、何か【trend】
SNS のデザイナー界隈でデザインアプリ「Canva」 (キャンバ) が、ちょっとした話題になっている。と言っても、主力の Adobe に取って代わるものとしてではなく
「Canva があれば誰でもデザインで収益が得られる」
かのような投稿がきっかけのようだ。残念ながら発信元を追いきれなかったが、それに対するデザイナー諸氏の反応が現象として興味深かった。
確かに Canva はデザイン体験を身近にしたと思う。事実ここ note でも記事のヘッダー画像を作れるようになっている。
だが、そこまでだろう。
私自身も利用することがあるが、『Canva は個人的な D.I.Y ツール』という認識だ。身近なアイテムに豊富なテンプレートを活用して、自分の身の回りのものに独自のデザインを施せるという点では楽しいツールだと思うし、私の利用方法もその程度。だからCanva を使ってデザイナーの領域に踏み込んでみようとは思わないのだ。
デザイン (データ) の作成から自分でできれば、印刷物やグラフィック商品から得られる利益は確かに上がるだろう。だが私の仕事では、商用デザインの分野においては「デザイナーとの役割分担」が最適解だと思っている。
クライアントの要望を聞き出してコンセプトメイクをし、それをもとに起こしたラフをデザイナーに伝えアウトプットしてもらうという。長くそうしてきているのだから間違ってはいないはずだ。
業として「デザインが業務(進行上)の重要な要素」である者ほど商用デザインのプラットフォームとしての共通認識のない Canva は業務に使用しないだろう。現状では Canva のデータをもらっても、デザイナーの手間は変わらないし多くの印刷会社も同様だ。
だから、それで「収益が得られる」と煽る向きの人たちに本業デザイナー、特にフリーランスとして独立しているデザイナーが反発するのは至極当然のことだ。業として行う者は、Canva ではできないことをやって生活の糧となる対価を得ているのだから。
誤解して欲しくないのは (デザイナー諸氏も) Canva を否定しているのではないこと。上述したように『Canvaは個人的な D.I.Y ツール』だ。それも優秀な。個人として大いに楽しんで活用すればいい。
プライベートな名刺を作ってみたり、コンビニで事足りる程度の町内会や PTA のお知らせなどの小口プリントなど用途は多かろう。
ま、町内会や PTA は役目を終えても延々依頼されるか、見た目のレベルを上げて後任者にブツクサ言われるかの覚悟は必要だろうが。
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