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個人加入の労働組合によるブラック企業に勝訴の事例が急増中

ひと昔前なら労働者側で泣き寝入りするばかりだったのが、インターネットの普及によって外部労働組合と一般労働者の距離が縮まった結果、個人加入することで団体交渉に望んで勝てるケースが目立ってきました。

Amazonに勝訴した事例

──PIP、コーチングプランでは具体的にどんな課題が与えられるのですか?

鈴木 典型的な例でいうと、大きく分けて2つあります。ひとつは数字で達成目標を示されるケース。数字が目標になっているのであれば評価基準が明確かといえば、そうでもないのが問題です。たとえ課題をクリアできたとしても、後から計算方式を変えられて達成できていないことにされるケースがある。また、先日会見した男性の場合がそうでしたが、数値目標を達成しても、それが業務改善プログラムの達成と見なされないこともある。要は、結果は最初から決まっている茶番なわけですよ。だから、そもそも絶対に達成不可能な目標を課されるケースもありますね。

──出来レースですね。

鈴木 もうひとつの例としては、評価の基準が明確でない課題を出されるパターンですね。たとえば、「企業の理念に合っていない」とか「企業のカルチャーにフィットしていない」という問題に対処するために、通常の業務の他にレポートの提出などを求められるわけです。この場合は数字以上に上長が生殺与奪の権を握ることになる。レポートは評価の基準が曖昧だから、なんとでも揚げ足が取れますよね。文章の書き方であるとか、文字数であるとか。
──現状では、PIPやコーチングプランは外資系企業特有のものであると考えていいのですか?

鈴木 いえ、ここ最近はベンチャー企業を中心に、日本企業でも導入され始めているようです。

日本の労働契約法では、たとえ仕事ができないからといって解雇することは許されないことになっています。たとえば、「セガ・エンタープライゼス事件」という有名な判例がある。これはゲーム会社のセガが従業員に対し、「労働能率が劣り、向上の見込みがない」として解雇したことで裁判になった例です。当時、セガは就業規則に定める解雇事由として「労働能率が劣り、向上の見込みがない」場合を定めていました。しかし、これは裁判で無効となっています。裁判では解雇された従業員が下位10%のローパフォーマーであったことは認められている。でも、それを理由に解雇とすることは権利の濫用であるとされた。日本の労働契約法ではそのような解雇は認められない。

──今日はクビを切る側だった上司も、次の期では自分がクビを切られる側にまわるかもしれない。そんな労働環境、生きにくくて仕方がないのでは。

鈴木 だから、できる限り外の情報を仕入れて、会社の指揮命令の中にも守るべきルールがあるということを学んでおくことが大切ですね。私たちのような労働組合に加入することも選択肢のひとつでしょう。

──最近は日本でも労働組合に入る人の数が増えていると聞きます。

裸の労働者がひとりでずる賢い企業に立ち向かうのは非常に難しい。別に、労働組合に入っていることを会社に言う必要はありません。実際、隠れ組合員みたいな人もたくさんいますから。こういう場所に来ればなかなか学ぶ機会のない法律を学ぶこともできるし、他の会社がどうしているのかの情報交換もできる。あと、いざとなれば、会社を相手に交渉することもできるし、転職情報をもらうこともできる。

アニメ会社に勝訴した事例

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