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「魔王と社長の憂鬱」最終回

田中は深い眠りから目を覚ました。自分のオフィスの机に座っていた。もしかして、魔界での出来事は夢だったのか。だが、その安堵も束の間、彼はすぐに違和感を覚えた。
会社の風景は変わっていた。彼の知っている社員たちの顔がほとんどない。代わりに屈強な男たち、鋭い眼光を持つエリートたち、そして魅力的な女性たちが彼の周りを取り囲んでいた。何が起こったのか、田中は混乱した。
そして、ある社員が彼のもとにやってきて、新しいプロジェクトの詳細を持ってきた。それは、兵器の部品の設計図だった。彼の会社が手がけていた車の部品の設計とはまるで違うもので、彼はその現実を受け入れることができなかった。
外に出て、工場を覗いてみると、確かに車の部品を作っているように見えるが、その裏には隠された真実があった。田中は秘密の倉庫を発見し、そこには戦場の最前線で使われる兵器の部品が山ほど積み上げられていた。
さらに調査を進めると、モルダンが会社を掌握してから、彼女は違法すれすれの手段で賄賂を渡し、兵器の部品を販売していたことを知る。それにより、会社は急速に成長し、一流の企業へと変貌を遂げていた。
田中は自分の机の引き出しに手を伸ばし、そこにあった写真を取り出した。それは、彼が社長だった頃の社員たちとの集合写真だった。彼はその写真を見つめ、涙を流した。
「これでは、魔界にいた時と何も変わっていない…」と、田中は頭を抱えた。

おわり

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