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学級閉鎖 第一話「閉鎖」

秋の風が高校の窓を優しくたたいていた。リアは新しいノートを開き、今日も一日がんばろうと心に決めていた。

「リア、放課後、図書室に行こうよ!」隣の席のサラがひそひそ声で言った。

「うん、いいよ!」リアが微笑みながら答えた。でもその時、ふと隣の席のノアが大きな咳をした。

「大丈夫?」リアが心配そうにノアに尋ねる。

「う、うん…」ノアは弱々しく頷くが、顔は真っ白だった。

その日の放課後、校内に緊急放送が流れた。

「生徒の皆さん、職員の皆さん、ご注意ください。クラス3-Bに通う生徒からインフルエンザの疑いが報告されました。感染拡大を防ぐため、3-Bのクラスは明日から一週間、学級閉鎖となります。」

「学級閉鎖って、つまり学校に来なくていいってこと?」サラが目を丸くしてリアに尋ねた。

「そうだね、でもみんなの健康のためだから、家でじっとしてないとね。」リアが落ち着いて答えた。彼女は先生から学級閉鎖の説明を聞いたことがあった。

教室に戻ると、先生がすでに待っていた。彼は生徒たちに次の一週間の過ごし方や、オンラインでの授業について説明した。

「皆さん、この期間中は自宅で学習を続けてください。毎日、オンラインで宿題が出されるので、メールをチェックしてくださいね。」

放課後、リアとサラは学校の門を出るときに、不安そうにお互いを見つめた。

「リア、大丈夫かな、家で一週間も…」

「大丈夫だよ、サラ。お互いにメールやビデオチャットで連絡取り合おう。それに、これが終わったらまた学校で会えるから。」

翌日

リアは朝日が部屋を優しく照らす中で目を覚ました。伸びを一つして、スマートフォンを手に取る。画面をスライドして、一通の新しいメッセージが目に飛び込んできた。「学校に来て」それだけ。

「え?なんで?」リアはベッドから飛び起き、もう一度メッセージを確認した。でも、変わりはない。「学校に来て」とだけ。


リアは不安を抱えながら家を出た。通学路を歩いていると、友達のサラとトムが近づいてきた。

「リア、おはよう!君もメール見た?」サラが尋ねた。

「うん、見たよ。でも、なんで?」リアは返事をした。

「わからないけど、気になるよね。一緒に行こう!」トムが提案した。


学校に着くと、校門がいつもと違って大きく開いていた。校庭は静かで、誰もいない。

「なんだか変だね…」サラが小声で言った。

「うん、でも、確かめに行こう!」リアは勇気を出して先に進んだ。


彼らは自分たちの教室に着くと、ドアに大きな紙が貼ってあるのを見つけた。

「これ、何?」トムが指を伸ばしながら言った。

紙には謎のメッセージが書かれていた。「答えは中にあり」

「答え?どんな答え?」サラが目を丸くした。

「分からないけど、中に入ってみよう!」リアがドアに手をかけた。

リア、サラ、トムの三人がゆっくりと教室に足を踏み入れた瞬間、背後でドアがバタンと音を立てて閉まった。リアが振り返り、ドアを開けようとしたが、動かない。

「えっ、開かない!」リアが声を上げた。

「どうして?今入ってきたばかりなのに…」サラが不安そうに言った。

トム何度もドアを開けようとするが、ドアは固く閉ざされたままだった。「うまくいかない…閉じ込められたみたいだ。」

教室には不気味な静けさが広がり、外の光さえもカーテンで遮られていた。三人はお互いを見つめ合った。不安と緊張が空気を支配する。

「どうしよう、リア?」サラが小声で尋ねる。

リアは深呼吸をして、落ち着きを取り戻した。
「大丈夫、きっと何か解決策があるはず。探してみよう。」

「そうだね、何か手がかりがここに隠されているかもしれない。」
トムが言った。彼らは教室内を注意深く見渡し始めた。

黒板に目をやると、そこには「過去を探れ」と書かれているのが見えた。しかし、それが何を意味するのかは誰にも分からなかった。

「過去を探れって…何のことだろう?」リアが考え込む。

「もしかして、この教室に何か隠されているのかもしれないね。」サラが提案した。彼らは本棚、机、教室の隅々を探し始めた。

時計の針の音だけが、重苦しい沈黙を破る。三人は何か出口や手がかりを見つけようと必死になった。教室は彼らに何かを伝えようとしているようだが、そのメッセージが何なのかはまだ謎のままだった。

つづく

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