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小説「魔王と社長の憂鬱」第三話
https://note.com/iggygarixon/n/n7434b915eb67
魔王:「貴様は人間だな?ワシは魔族の王、モルダン。お前は?」
社長:「私は田中。あなたは…まさか、本物の魔王?」
モルダン:「ああ、そうだ。そしてお前は見た所、商人か?」
田中:「ええ、まぁそうです。小さな会社の社長をやっています。」
二人は隣通しに座り、たわいもない会話を交わす。酒が進むにつれて、自然と会話が弾むようになった。
モルダン:「最近、あの勇者がまた私の領地にやってきて、魔物たちを次々と倒している。しかも、新たにドラゴンを仲間にしてきたから大変だ。」
田中:「それは大変ですね。私も社員たちが勝手なことをして、ライバル企業に情報を漏らしたりして困っています。」
モルダン:「勇者なんて、一体何が楽しいのか。私の領地を荒らすだけでは飽き足らず、最近は民の心まで奪っていく。」
田中:「それは辛い。私の会社も、若手社員がワークライフバランスだとか、ちょっと指摘したら、やる気を無くすだの、情熱を失ってしまうことが多い。」
モルダン:「そうか。お前も似たような悩みを持っているのか。」
田中:「ええ、実はそうなんです。」
二人はしばらく沈黙し、お酒を飲みながら互いの境遇を思いやった。
モルダン:「しかし、なぜ私たちはここにいるのだろう。」
田中:「時空の歪みでしょうか。でも、こんなところであなたと出会えて良かったです。」
モルダン:「ああ、私もそう思う。」
田中:「今夜は、これからもお互いの悩みを共有して、心の中を晴らしていきましょう。」
モルダン:「それは良い考えだ。」
二人は夜が明けるまで、お酒を交えて心の中の悩みや愚痴を語り合い、深い絆を築いていった。
時が経つにつれ、二人はお酒の力も手伝って、ますます盛り上がってきた。そして、ある提案が飛び出した。
田中:「モルダン、君と立場を交換してみたいよ。人間界はパワハラだ残業規制だの。昔は会社を大きくするためには手段を選ばず突き進んでたんだけどなぁ。」
モルダン:「ワシもお前と立場を交換したいよ。魔物は話が通じないし、暴力がすべてだからの。穏やかな日常を過ごしたい。」
バーテンダー:「お客様たちがお互いの世界を体験してみたいとおっしゃるのなら、特別な魔法を使って、身体を交換することができますよ。」
モルダンと田中は驚きの表情を見せながら、お互いを見つめ合った。
田中:「それは…面白そうだね。」
モルダン:「私も、そう思う。」
バーテンダーの魔法により、二人は身体を交換することになった。そして、それぞれの世界で新たな日常を迎えることとなった。
つづく
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